　消化器系疾患のMeSH用語

　目　次

　（１）膠原線維性腸炎
　（２）腹部ヘルニア（Hernia, Abdominal）と腹壁ヘルニア（Hernia, Ventral）

（１）膠原線維性腸炎

Colitis, Collagenous（膠原線維性腸炎）（２００５　New Descriptor）
（http://www.nlm.nih.gov/cgi/mesh/2005/MB_cgi?mode=&term=Colitis,+Collagenous&field=entry）

Scope Note：
A subtype of MICROSCOPIC COLITIS, characterized by chronic watery DIARRHEA of unknown origin, a normal COLONOSCOPY but abnormal histopathology on BIOPSY. Microscopic examination of biopsy samples taken from the COLON show larger-than-normal band of subepithelial COLLAGEN.

顕微鏡的大腸炎（MICROSCOPIC COLITIS）は、大腸内視鏡的には異常所見を認めず、組織検査によって異常が認められ、慢性水様性下痢に特徴がある。大腸からとられた生検試料の顕微鏡検査結果は、上皮下コラーゲンが正常帯より大きくなっている（蓄積）ことを示している。

○アスピリンや非ステロイド系消炎鎮痛薬（ＮＳＡＩＤ）により胃潰瘍や腸潰瘍、あるいは膠原線維性腸炎collagenous colitisが起きる。（『新臨床内科学』第８版　医学書院）

（２）腹部ヘルニア（Hernia, Abdominal）と腹壁ヘルニア（Hernia, Ventral）

●２００５年のMeSH HeadingとしてHernia, Abdominal（腹部ヘルニア）が採用されました。以前、索引されていたHernia, Ventral（腹壁ヘルニア）はHernia, Abdominal（腹部ヘルニア）の下位概念となりました。

●腹部（Abdominal）と腹壁（Ventral）で、どのようなヘルニアがあるのか。その階層構造とスコープ・ノートから、お腹まわりのヘルニアについてみてみました。

Hernia, Abdominal [C06.405.293.249] （腹部ヘルニア）
　　Gastroschisis [C06.405.293.249.249]（腹壁破裂）
　　Hernia, Femoral [C06.405.293.249.374]（大腿ヘルニア）
　　Hernia, Inguinal [C06.405.293.249.437]（鼠径ヘルニア）
　　Hernia, Ventral [C06.405.293.249.500] （腹壁ヘルニア）
　　　Hernia, Umbilical [C06.405.293.249.500.875]（臍ヘルニア）

Hernia, Abdominal（腹部ヘルニア）
（http://www.nlm.nih.gov/cgi/mesh/2005/MB_cgi?mode=&term=Hernia,+Abdominal&field=entry）

Scope Note：
A protrusion of abdominal structures through the retaining ABDOMINAL WALL. It involves two parts: an opening in the abdominal wall, and a hernia sac consisting of
PERITONEUM and abdominal contents. Abdominal hernias include groin hernia ( HERNIA, FEMORAL; HERNIA, INGUINAL) and VENTRAL HERNIA.

腹部構造が、それを保持している腹壁からはみだした状態をいう。腹部ヘルニアは腹壁の開口、および腹膜と腹の内容物［腸など］からなるヘルニア嚢（のう）［袋状］の２つの部分からなる。腹部ヘルニアには、太ももの付け根の部分のヘルニアである鼠径（そけい）ヘルニア（HERNIA, FEMORAL）と大腿ヘルニア（HERNIA, INGUINAL）および腹壁ヘルニア（VENTRAL HERNIA）とがある。

Hernia, Ventral （腹壁ヘルニア）
（http://www.nlm.nih.gov/cgi/mesh/2005/MB_cgi?mode=&term=Hernia,+Ventral&field=entry）

Scope Note：
A hernia caused by weakness of the anterior ABDOMINAL WALL due to midline defects, previous incisions, or increased intra-abdominal pressure. Ventral hernias include UMBILICAL HERNIA, incisional, epigastric, and spigelian hernias.

前腹壁の弱い場所に原因するヘルニアをいう。正中線欠損、瘢痕、あるいは腹腔内圧力の上昇によっておこる。腹壁ヘルニアには、臍ヘルニア、切痕・上腹部・スピゲリウスヘルニアがある。

（注１）スピゲリウスヘルニア：半月線を通って脱出した腹壁ヘルニアをいう。

（注２）Adrian van der Spigelius（1578-1625）ベルギーの解剖学者：横腹部の半月状の線をスピゲリウス線という。