ちょっと抄訳、勝手に要約　by シン／マリ

PubMedとGoogleの検索は、医学生と若手医師の正しい診断に役立つか？パイロット研究

Falagas ME, Ntziora F, Makris GC, Malietzis GA, Rafailidis PI. Do PubMed and Google searches help medical students and young doctors reach the correct diagnosis? A pilot study. Eur J Intern Med. 2009 Dec;20(8):788-90. Epub 2009 Oct 17. ［抄訳］(2010/01/11) 背景 　World Wide Web時代において、PubMedとGoogleの利用が内科医の診断技能を向上させるための助けとなるかどうか調べた。 方法 　2005年にNew England Journal of Medicineに掲載された症例記録から26件の診断症例を選択し、分析した。　3人の調査対象者（研修医1名と最終学年の医学生2名）は、はじめにPubMedとGoogleを使わずに診断し、その後両者を検索して診断を決定した。 結果 　正しい診断の比率増加は、2つの情報源の使用後、各3人の調査対象者について、特に15.4%、2.9%、11.5%とわずかながら増加が見られた（調査対象者Aは正しい診断が26例中17例から26例中21例に、調査対象者Bは26例中11例から26例中12例に、調査対象者Cは26例中11例から26例中13例に）。　この増加は統計学的に有意でなかった。　調査対象者の1人はGoogleがより有益であり、他の1人はPubMedの方が有益であり、もう一人は2つの情報源が等しく有益であった。 結論 　PubMedとGoogleのような情報源が鑑別診断の過程で実質的に内科医や医学生の助けとなるかどうかを明らかにするためには、更に調査が必要である。

外科学領域のインパクトファクター上位3誌に収載されたRCTの質

Sinha S, Sinha S, Ashby E, Jayaram R, Grocott MP. Quality of reporting in randomized trials published in high-quality surgical journals. J Am Coll Surg. 2009 Nov;209(5):565-571.e1. Epub 2009 Sep 11. ［抄訳］(2010/01/28) 目的 権威ある外科学雑誌に収載された一般外科学的RCTにおける臨床試験法や有害事象に関する報告をCONSORT声明を用いて評価すること。 デザイン 2004年のインパクトファクターから上位3位の外科学雑誌を選んだ。　2005年にこの3誌に収載されたRCTを抽出し、Jadad（ハダッド）scoreを用いて評価を行い、CONSORT声明が支持している雑誌とそうでない雑誌収載の論文を比較した。　また適切な手法が用いられていると評価できた臨床試験法や有害事象に関連する　論文、非薬物的な分析論文数を確認した。 結果 分析した42RCTのうち40％である17論文はJadad scoreが3以上であった。論文収載がCONSORT声明が支持した雑誌かどうかはほとんど関係がなかった(p = 0.3)。適切なRCT手法がとられた論文の平均値は、一般的な臨床試験法では32.5％、有害事象に関する論文では17％、特定の非薬物的な基準に関する論文では36.5％だった。 結論 これら3種類の外科学的RCT全般の質は高くないことが分かった。RCT報告が出版に足りる基準を満たすためには、その質を精査することが必要である。

臨床実習のためのMedlineフィルター：診断検査評価フレームワーク

Garg AX, Iansavichus AV, Wilczynski NL, Kastner M, Baier LA, Shariff SZ, Rehman F, Weir M, McKibbon KA, Haynes RB. Filtering Medline for a clinical discipline: diagnostic test assessment framework. BMJ. 2009 Sep 18;339:b3435. ［抄訳］(2010/01/02) 目的 　臨床医が臨床実習に関連する文献を検索するためのフィルターを作成、検査すること。 デザイン 　作成と検証段階による診断検査評価フレームワーク。 設定 　40の雑誌に2006年に発表された4,657件の論文サンプル。 レビュー 　各論文を手作業で評価し、19.8%は腎臓学領域に関連する情報が含まれた。　1,155,087通りの腎臓関係のフィルターについて、手作業での評価と比較した。 主な評価基準 　各フィルターの感度、特異度、精度、正確性。 結果 　最適の腎臓関連フィルターは、2語から14語または熟語の組み合わせで、"kidney（語尾変化を含む）"、"renal replacement therapy"、 "renal dialysis"、 "kidney function tests"、 "renal"、 "nephr（語尾変化を含む）"、, "glomerul（語尾変化を含む）"、 "proteinuria"が含まれていた。　これらのフィルターは、最高で97.8%の感度と98.5%の特異度を示した。　フィルターの性能は、検証段階で有益だった。 結論 　Medlineは、信頼性が高い方法において腎臓学領域のためにフィルターをかけられる。　これらの高性能な腎臓関連のPubMedフィルターを保存することは、日常の検索で臨床医に有益となりうる。　また、同様の方法を用いて他の臨床領域のためのフィルターを作成することもできる。

根拠に基づく検索に使用されるPubMedフィルターの評価：相対的再現率を使った検証

Hoogendam A, de Vries Robbe PF, Stalenhoef AF, Overbeke AJ. Evaluation of PubMed filters used for evidence-based searching:validation using relative recall. J Med Libr Assoc. 2009 Jul; 97(3): 186-93. ［抄訳］(2009/08/08) 目的 　治療関連の臨床疑問に関するシステマティック・レビューに選択された文献について、PubMedフィルターとそれらの組み合わせの価値を調査する。 方法 　コクラン・ライブラリーのCochrane Database of Systematic Reviewsに2008年1月までに収録された2,629件のレビューの参考文献から、48,514件を除き、35,281件を抽出して、PubMedフィルターの使用の有無の別で調べた。　各レビューの参考文献をフィルターの有無の別で感度、特異度、精度を調べ、すべてのレビューについて平均値も計算した。 結果 　Clinical QueriesのSensitiveフィルターでの感度（92.7%、92.1-93.3）は合理的だが、特異度（16.1%、15.1-17.1）と精度（49.5%、48.5-50.5）は低かった。　Clinical QueriesのSpecificフィルターとSingle Term Medline Specificフィルターの成績は同レベルだった（感度　78.2% (77.2-79.2) 対 78.0%(77.0-79.0)、特異度　52.0% (50.8-53.2) 対 52.3% (51.1-53.5)、精度　60.4% (59.4-61.4) 対 60.6% (59.6-61.6)。　サブセットAbridged Index Medicus（AIM）と、Single Term Medline Specificの組み合わせ（65.2%、63.8-66.6）、Two Terms Medline Optimizedの組み合わせ（64.2%、62.8-65.6）、Clinical QueriesのSpecificフィルターの組み合わせ（65.0%、63.6-66.4）は、最高の精度を示した。 結論 　治療に関する疑問を解決するためのClinical QueriesのSensitiveとSpecificのフィルターは、臨床試験をリストアップするが、方法論的試験だけを検索することはできない。　Clinical QueriesのSpecificフィルターは、ランダム化比較試験では解決できない治療に関する疑問には適当ではない。　AIMサブセットと特定のPubMedフィルターの組み合わせは、コクラン・ライブラリーのデータにおいて最も高い精度を示す。

GenBankとPubMedのつながり

Miller H, Norton CN, Sarkar IN. GenBank and PubMed: How connected are they? BMC Res Notes. 2009 Jun 9;2(1):101. ［抄訳］(2009/06/26) 背景 　GenBankは、幅広く集められた分子配列データの公共の保管庫である。　GenBankには、関連したメタデータ（配列記載、源生物、分類等）に加え、出版情報も記録されている。　与えられた分子配列と関連文献の確認は、研究仮説の作成において重要なステップである。　GenBankデータと関連する出版物の多くは、PubMedなどの補完的文献データベースにリンクされていないかもしれない。　Medlineに収録される文献と関連するGenBankデータは、それらに含まれるPubMedのPMIDによって識別が可能である。 結果 　今回、87,116,501件のGenBank配列エントリの分析の結果、42%が出版物や特許と関連していることが示された。　これらの71%は、PMIDを伴い、PubMedの文献データにリンク可能である。　出版物関連のGenBankエントリの残る29%は、PMIDを持たないかPubMedに現在収録されていない出版物であった。 結論 　今回の分析では、GenBankがPubMedの従来の範囲を越えた分野からも分子配列を含んでいることが示唆された。　この発見は、『従来の』情報源を越えて生物学的知識を統合するためのメカニズムを呈する機会を示している。

臨床疑問の性特定エビデンスのMEDLINE検索：OvidSPの検索フィルター

Moerman CJ, Deurenberg R, Haafkens JA. Locating sex-specific evidence on clinical questions in MEDLINE: a search filter for use on OvidSP. BMC Med Res Methodol. 2009 Apr 14; 9:25. ［抄訳］(2009/07/23) 背景 　最近発表された臨床試験の多くでは性特定データが報告されている。　このような情報は男女両方に対する臨床診断の改善には有用だが、MEDLINEでの検索は容易ではない。　今回の目的は、臨床疑問における質の高い性特定データを報告している研究の検索を容易にする検索フィルターを開発、検証することである。 方法 　臨床ガイドラインのレビューによる75件とその他の5件を合わせた、品質の高い関連文献80件について、タイトルと抄録と索引語（MeSH）のスクリーニングによって検索フィルターを作成した。　OvidSPで利用する検索フィルターは、文献のタイトル、抄録、MeSHに出現する自由語を検索する9つの検索式から成る。　この検索フィルターは80文献中74件（92.5%）が検索可能であった。　検索フィルターを、最近のアルツハイマー病と喘息に関する研究622件について評価した。　622件の中から高品質、臨床関連、性特定エビデンスであった研究98件に対して検索フィルターが検証された。　評価には再現率と精度を使用した。 結果 検索フィルターは、アルツハイマー病と喘息に関する関連する文献の検索で、98件中81件(83%)の再現率と、125件中81件(65%)の精度を示した。　対照的に、性特定用のMeSH用語を使った場合、再現率は98件中30件(31%)に過ぎなかった。 結論 この性特定検索フィルターは、精度が高ければ、関連文献の検索に効果を上げる。　これは、性特定用のMeSHによる検索よりも優れている。　検索フィルターは、性特定的な臨床上のエビデンスを検索する人々にとって有用といえる（例えば、ガイドライン作成者、研究者、医学教育者、臨床医）。

整形外科領域のメタアナリシスに含まれる抄録を除く一次研究のほとんどはMEDLINE、EMBASE、Cochraneに索引される

Slobogean GP, Verma A, Giustini D, Slobogean BL, Mulpuri K. MEDLINE, EMBASE, and Cochrane index most primary studies but not abstracts included in orthopedic meta-analyses. J Clin Epidemiol. 2009 Apr 11. [Epub ahead of print] ［抄訳］(2009/07/26) 目的 　整形外科領域のメタアナリシスにおいて使用されたすべての一次研究がMEDLINEやEMBASEに索引されているという仮説を検証する。 研究デザインと設定 　MEDLINEを使用して、1995年から2005年の期間に発表された整形外科の外科的介入に関するすべての発表されたメタアナリシスを検索した。　各メタアナリシスの一次研究を、"gold standard（ゴールドスタンダード）"として定義した。　MEDLINEとEMBASEについて、それぞれの一次研究を検索し、再現率を算出した。　二次検索では、Web of Science（WoS）と、コクラン・データベースと、CINAHLを使用した。 結果 　ゴールドスタンダードに対する再現率は、MEDLINEが90%とEMBASEが81%と高い数値を示し、これらの併用による検索では91%に上った。　MEDLINEやEMBASEには収録されないタイトルには、抄録45件、雑誌文献8件、未発表研究3件が含まれた。　コクラン・データベースでは、MEDLINEやEMBASEに収録されない36タイトルが検索された。　これら3つのデータベースをすべて使用することで、一次研究の97%の再現率が示された; WoSとCINAHLは再現率を高めなかった。 結論 　今回の結果で、整形外科領域の一次研究が主要データベースによって非常に高い割合で検索できることが示唆された。検索するデータベースの追加によって、発表された文献の検索数を増加させそうにはないが、残りの関連報告を検索するためには会議録と雑誌付録は検索されるべきである。

薬学に関する疑問解決のための原文献検索におけるPubMedとGoogle Scholarの比較

Freeman MK, Lauderdale SA, Kendrach MG, Woolley TW. Google Scholar versus PubMed in locating primary literature to answer drug-related questions. Ann Pharmacother. 2009 Mar; 43(3): 478-84. Epub 2009 Mar 3. ［抄訳］(2009/06/12) 背景 　Google Scholarは公開されて以来、PubMed以上に多くの生物医学雑誌にリンクしているが、原文献の検索における有用性についてはわかっていない。 目的 　Google ScholarとPubMedのデータベース検索で、特定の原文献について、それらの入手可能性と、総文献数、無料全文記事の入手可能性、検索結果の上位100件中の目的の原文献数、を評価する。 方法 　Google ScholarとPubMedの検索性能を調べるために、The Annals of Pharmacotherapy誌の「Drug Information Rounds」コラムに掲載された医薬品情報レビューを特定文献として用いた。　2006年1月から2007年6月までこのコラムに掲載されたレビューが研究対象として適格とされた。　掲載された文献の最低2語のキーワードがPubMedのMedical Subject Heading（MeSH）データベースに含まれる場合、これらの用語を両方のデータベースで検索した。 結果 　33件のうち22件（67%）が適確な「Drug Information Rounds」文献として基準を満たした。　これらの各文献で使用された原文献の中央値は6.5であった（IQR 4.8、8.3;平均+/-SD 8+/-5.4）。　Google ScholarとPubMedで検索された上位100件に含まれていた特定の原文献の平均値について有意差は見られなかった（5.1+/-3.9対5.3+/-3.3; p値 0.868）。　Google Scholarの検索では、PubMedより多くの結果が得られた（2211.6+/-3999.5対44.2+/-47.4; p値 0.019）。　Drug Information Rounds文献ごとの無料全文記事の入手可能性は両者で同様だった（1.8+/-1.7対2.3+/-1.7; p値 0.325）。　2000年以前に発表された原文献は、PubMedに比べてGoogle Scholarで検索されたが（62.8%対34.9%; p値 0.017）、2000年以後発表された文献には両者の間の統計学的有意差は見られなかった（66.4対77.1; p値 0.074）。 結論 　2つのデータベースで、目的の原文献の検索結果において有意差は確認できなかった。　PubMedでの検索は、Google Scholarでの検索より少ない結果であったが、関連性のある原文献についてはGoogle ScholarよりPubMedの方がより特定していたと思われる。

コクラン・システマティック・レビューの検索戦略の分析

Yoshii A, Plaut DA, McGraw KA, Anderson MJ, Wellik KE. Analysis of the reporting of search strategies in Cochrane systematic reviews. J Med Libr Assoc. 2009 Jan; 97(1): 21-9. ［抄訳］(2009/06/28) 背景 　The Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventionsは、システマティック・レビューのオンライン・データベースの検索戦略を必要な要素をリストアップして説明されている。　検索戦略が正確に明記されていると、読者がレビューの質を批判的に評価する際、検索の評価が可能になる。 目的 　オンライン・データベースの検索戦略の記載が一貫しているかどうか確認するために最近のコクラン・レビューを調査した。 方法 　2006年1〜3月にCochrane Database of Systematic Reviewsに追加された83件の新しいレビューが分析のために選択された。　その後、検索がコクラン・レビュー・グループの特別な登録でのみ行われた、18件は除外された。　残りの65件のレビューについて、コンセンサスを得た二重のレビューでCochrane Handbookにリストされるオンライン・データベースの検索戦略記載の7つの要素が分析された。 結果 　分析された65件のレビューのうち、7つの必要な要素が含まれたものはなかった。　4件のレビュー（6%）では、6つの要素が含まれていた。　32％（21/65）は5つ以上の要素を含み、4つ以下の要素を含むのは68%（44/65）であった。　3件は、2つの要素のみ含まれていた。　65件のレビューは、41の異なるコクラン・レビュー・グループによって提供されていた。 結論 　検索戦略を報告するCochrane Handbookの説明は、コクラン・レビューを作成しているグループによって一貫していない。

臨床疑問のためのPubMed文献検索におけるfree full-textでの絞り込みに関する分析

Krieger MM, Richter RR, Austin TM.　An exploratory analysis of PubMed's free full-text limit on citation retrieval for clinical questions.　J Med Libr Assoc. 2008 Oct; 96(4): 351-5. ［抄訳］(2009/07/05) 目的 　（１）PubMedのlimits機能のfree full-text（FFT）による絞り込みがどのように利用されているか、（２）FFTによる絞り込みが検索される文献の"type of articles (Publication Type)"やエビデンスレベルにどのような影響を与えるか、を調査した。 方法 　理学療法の調査計画に基づく4つの臨床疑問について、FFTによる絞り込みの有無両方でPubMedを検索した。　検索された文献について、各疑問との関連性を調べた。　関連文献は、"type of articles"とエビデンス・レベルを確認するために抄録をチェックした。　FFTによる絞り込みの有無両方での検索について、全文献数、関連文献数、"type of articles"、エビデンス・レベルの比較に記述的分析を行った。 結果 　4つの疑問すべてについて、FFTによる絞り込みは、FFTの絞り込みを行わないで検索される全文献数の11.1%まで、文献数が減少した。　さらに、FFTによる絞り込みを行うと、システマティック・レビューやランダム化比較試験のような高品質のエビデンスは落とされてしまった。 結論 　医学図書館員は、検索される文献数、"type of articles"、エビデンス・レベルにFFTによる絞り込みが大きな影響を与えることについて、利用者に教える重要な役割を持っている。

日常診療で起こる質問に対する答えはPubMedよりもUpToDateによって得られるか

Hoogendam A, Stalenhoef AF, Robbe PF, Overbeke AJ. Answers to questions posed during daily patient care are more likely to be answered by UpToDate than PubMed. J Med Internet Res. 2008 Oct 3; 10(4): e29. ［抄訳］(2008/10/31) 背景 　UpToDateとPubMedは、医学情報源として人気がある。　日常診療におけるPubMedとUpToDateの効率に関するデータは十分ではない。 目的 　この観察研究の目的は、これらの情報源によって検索される答えの比率や、異なる医学の主題での検索結果との比較、検索に要した時間を示すことであった。 方法 　大学病院で働く内科の合計40人のレジデントと30人の内科医は、毎日の診療時、観察用画面を使用してPubMedとUpToDateを検索した。　検索に使われた情報源と問題に対する答えを見つけるまでに必要だった時間は、観察用画面で記録された。　答えを得られたかどうかには関係なく、問題に関する情報が検索者によって提供された。 結果 　2005年10月1日から2007年3月31日の期間、PubMedおよび（また）UpToDateが使用された1305件の患者に関連した質問を分析した。　PubMedまたはUpToDateに送られた質問1125件中594件（53%）で、完全な答えが得られた。　部分的であるか完全な答えは、UpToDateで729件/883件（83%）が、PubMedで152件/242件（63%）が得られた（Ｐ値<0.001）。　全ての主要な医学の主題でPubMedよりUpToDateで多くの答が得られたが、問題が病因（Ｐ値< .001）や治療（Ｐ値 = .002）に関する場合だけ、有意差が示された。　答えるまでの時間は、UpToDateで241秒（SD 24）とPubMedで291秒（SD 7）であった。 結論 　内科の専門医とレジデントは、毎日の診療で患者に関連した質問に答えるために一般に5分未満を費やす。　全ての主要な医学の主題について、UpToDateはPubMedより多くの質問に答えを得られた。

世界中のランダム化試験報告へのアクセス強化−コクラン・ライブラリーのCochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)へのEMBASEデータの登録

Lefebvre C, Eisinga A, McDonald S, Paul N. Enhancing access to reports of randomized trials published world-wide - the contribution of EMBASE records to the Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) in The Cochrane Library. Emerg Themes Epidemiol. 2008 Sep 30; 5:13. ［抄訳］(2009/08/01) 背景 　ランダム化試験は、ヘルスケア介入の効果の評価にとって不可欠で、効果のシステマティック・レビューの重要な要素である。　データベース中のランダム化試験報告の検索は、1990年代までの適切な索引語の欠如と、その後の索引語の一貫性のなさに由来する問題が含まれる。 目的 　本研究の目的は、MEDLINEに臨床試験として収録されないEMBASEのランダム化試験報告を検索するための検索戦略を考案し、エルゼビア（EMBASEの出版社）の許可を得て、コクラン・ライブラリーのCochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)にそれらを登録することによって、これらの報告へのアクセスを容易にすることにある。 方法 　EMBASEに収録される臨床試験報告のEMTREE用語（やそれらの組み合わせ）、タイトル、抄録によく現れる自由語とシソーラス用語に基づき、EMBASEのための感度の高い検索戦略を作成した。 　この検索戦略を1980年〜2005年（4語は1974年〜2005年）の範囲でEMBASEで実行し、検索された文献はMEDLINEにランダム化試験としてすでに収録されたものを除きダウンロードされ、印刷、閲覧した。　2005年（本調査時に完了していた最新年）に発表された試験報告について、発表言語の分析を行った。 結果 　22の検索用語が使用された（精度が低いためこのうち9語は後に除いた）。　100万件の3分の1以上のデータがダウンロードされ、精査され、すでにMEDLINEにランダム化試験として収録されているものを除いた、約80,000件の報告が検索された。　これらはコクラン・ライブラリーのCENTRALで容易に検索可能となっている。　累計感度は0.1%〜60%の範囲で、累計精度は8%〜61%の範囲であった。　前方一致検索のための用語'random$'は全試験報告の60％を検索したが、この用語で検索された12万件以降のデータの35%だけが試験報告であった。　サンプルとした2005年での言語分析は、MEDLINEにランダム化試験として収録された18,427件の報告中、959件（5%）が英語以外の言語であったことを示した。　EMBASE検索は英語以外の言語で書かれた新たな658件の報告を検索し、最も多かったのは中国語（320件）であった。 結論 　検索結果は、特に英語以外の言語で、EMBASE中の試験報告へのアクセスを大きく高めた。　今回使用した検索戦略は、テストデータのミニ「ゴールド・スタンダード」から主観的に得たもので、任意のデータで確認されたものではない。　今後、全EMBASEデータベースにおけるこれらの用語の頻度と比較して、検索されるランダム化試験の約80,000件の報告における用語の発生頻度に基づくロジスティック回帰を用いた客観的な検索戦略を設計、確認する予定である。

診療現場でのPubMed検索質問の分析：医学教育病院での検索習慣の観察

Hoogendam A, Stalenhoef AF, de Vries Robbe PF, Overbeke JA. Analysis of queries sent to Pubmed at the point of care: observation of search behaviour in a medical teaching hospital. BMC Med Inform Decis Mak. 2008 Sep 24; 8(1): 42. ［抄訳］(2008/10/11) 背景 　日常診療の疑問解決のためのPubMedの利用は、数件の関連文献の検索となり、時間も制限される。　検索質問のどのような点が関連文献を検索しやすいを調べることにより、PubMedの検索効果を増加させることができる。　本研究の目的は、読まれるべき文献の選択と数に関するPubMedの検索技術とツールを関係づけることによって、関連文献を検索できる質問を調査することである。 方法 　大学病院に勤務する内科医とレジデントを対象にした、PubMedに送られる患者関連の問題に関する質問についての前向き観察研究である。　今回はPubMed用のポータル画面を使って、検索質問、検索結果、検索ツール（MeSH、Limits、ワイルドカード、オペレーター）、抄録と全文の選択を分析した。 結果 　PubMedは1,121件の患者関連の問題の解決に利用され、3,205の異なった検索質問が入力された。　これらのうち999（31％）の質問で抄録が参照され、検索ツールを使った321の質問では126（39%）であった。　各質問の平均の語数は、2.5であった。　4語〜5語の検索質問の40%以上では抄録が選択しており、4語〜5語での検索結果が2〜161件の範囲の場合は63%まで増加した。 結論 　日常診療時、我々の病院の内科医によってPubMedに送られる検索質問は、3語以下であった。　4語〜5語での検索質問では、161件以下の文献を検索し、抄録の参照に最も適していた。　PubMed検索ツールの利用はまれで、4語か5語での検索より効果的でなかった。　より関連した語を使った、正確な検索質問の記述を容易にする方法は、教育と研究に焦点を当てるべきである。

医学生の嗜好調査：PubMed教育のためのオンライン指導と教室の比較

Schimming LM. Measuring medical student preference: a comparison of classroom versus online instruction for teaching PubMed. J Med Libr Assoc. 2008 Jul; 96(3): 217-22. ［抄訳］(2008/09/23) 目的 この調査では、必修のPubMedトレーニングをオンラインで提供した場合に、学習経験に対する医学生の満足度を評価した。 方法 教室での演習またはオンライン・チュートリアルのどちらかでPubMedのトレーニングを受けた医学部1年生455人から回収した、技術評価スコアとフィードバックを分析した。　2006年クラス（n = 99人）は、コンピュータ教室で従来の司書による演習を受けた。　2007年クラス（n = 120人）と2008年クラス（n = 121人）、2009年クラス（n = 115人）は、自分のペースでできるチュートリアルによるトレーニングをオンラインで修了した。　PubMed技術評価のスコアとトレーニングに関する学生のフィードバックをすべてのグループについて比較した。 結果 トレーニングに関する無制限のコメントによって立証されるように、オンライン・チュートリアルを選択した学生は、教室での演習を選択した学生よりも同等以上に学習経験に満足していて、2008年と2009年のクラスは他の2グループよりも大きな満足度を示した（P値<0.001）。　PubMed技術評価の平均スコア（91%）は、学生の全グループで同じであった。 結論 医学部1年生に対するオンラインでの指導は学生の満足度を改善されたが、PubMed技術評価については変わらなかった。　オンライン・トレーニングを受けた学生からのコメントでは、Webによる個人の自由度の向上がオンライン・チュートリアルに対する彼らの満足につながったことが示唆された。

MEDLINE抄録でのUniform Resource Locator（URL）消失の更新とその軽減のための処置

Ducut E, Liu F, Fontelo P. An update on Uniform Resource Locator (URL) decay in MEDLINE abstracts and measures for its mitigation. BMC Med Inform Decis Mak. 2008 Jun 11; 8:23. ［抄訳］(2008/08/17) 背景 　長い間、Uniform Resource Locator（URL）消失や「リンク切れ」は、生物医学分野で大きな不安であった。　本稿では、この問題についてMEDLINE抄録に掲載されたURLの状態を調査し、1994年から2006年までのこれらのデータにおけるURL消失を評価し、現在の有効性を安定させる。 また、著者が論文を書く際に引用したコンテキストが現在同じURLで利用可能かどうか検証するためにURLで提供される情報を調査した。　最後に、URLリンクを保存するために推奨されるすべての方法によって、それらの中のいずれが著者と出版者の間で受け入れられるか検証した。 方法 　1994年から2006年までのMEDLINEデータをExtensible Mark-up Language (XML)形式で米国国立医学図書館から得て、それらに生じた10,208のURLアドレスを処理した。　30日間ランダムに毎日1回アクセスした。　タイトルと抄録についても、WebCite、Persistent URL（PURL）、Digital Object Identifier（DOI）のようなアーカイブ・ツールの存在を調査した。 結果 　平均的なURLの長さは13文字から425文字で平均35文字との結果が示された（標準偏差（SD）= 13.51; 95%信頼区間（CI）13.25-13.77）。　最も頻度の高いドメインは「.org」と「.edu」で、それぞれ34%であった。　URLプールの約81%は利用時90%から100%までで利用できたが、これらの78%だけがMEDLINEデータにおいて言及される実際の情報を含んでいた。　「死んだ」URLは全体の16%を占めた。　最後に、アーカイブ・ツールの利用調査では、1998年の導入以来、チェックされたすべての抄録の519件だけがそれらのMEDLINE抄録でDOIアドレスを採用していた。 結論 URL継続性は、1ヵ月の調査期間にほぼ81%の有効性を示した先行研究と類似の結果が示された。　ピア・レビュー文献が生物医学の主要な情報源として残るためには、これらのリンクの正確性と保持を確実にすることが必要である。

MEDLINEでのURL消失−4年追跡調査

Wren JD. URL decay in MEDLINE--a 4-year follow-up study. Bioinformatics. 2008 Jun 1; 24(11): 1381-5. Epub 2008 Apr 15. ［抄録］(2008/08/10) 動機 　Uniform Resource Locator（URL）によるインターネット上の電子情報源は、科学的出版物において利用が増加を続けるだけでなく、時間に依存する方法ではアクセスできなくなりつつあると、分野を超えた現象として報告されている。　いくつかの雑誌がURL出版物に関する方針を採用し、雑誌のwebサイトの補足情報の保存を始めた際、URLコンテンツの効果的な保存方法を生み出す問題が最初の報告で指摘された。　このように、文献中のURLの発生と消失の再検査は、これらの変化のいずれかによって、問題が大きくなるか緩和されるかを明らかにする。 結果 2003年の研究の後、2004年と2005年、2007年に3つの追跡調査を行った。　残念なことに、いずれの研究でもURLの消失率に有意な変化は見られなかった。　しかし、2回以上引用されたURLの5%が消失したのに対し、1回ないし2回引用されたURLでは20%であった。　コンテンツが消失した最も一般的なタイプはコンピュータ・プログラムで（43%）、次いで学術的コンテンツ（38%）とデータベース（19%）であった。　まだアクセス可能なURLと比較して、失われたコンテンツのタイプは有意に十分な表示がなかった。　Googleを使用してこれらのwebサイトのうちの30を検索すると、11（37%）が異なるURLで再検索されることがわかった。 結論 URL消失は今後も続くが、団体から出版されたURLはより安定している傾向がある。　URLの引用の繰り返しは、電子的なインパクト・ファクター（eIF）の計算が目的となるかもしれない（科学研究におけるインターネット上の情報源のインパクトを量的に評価する方法）。

PubMed、Scopus、Web of Science、Google Scholarの比較：長所と短所

Falagas ME, Pitsouni EI, Malietzis GA, Pappas G. Comparison of PubMed, Scopus, Web of Science, and Google Scholar: strengths and weaknesses. FASEB J. 2008 Feb; 22(2): 338-42. Epub 2007 Sep 20. ［抄訳］(2008/10/03) 　電子化時代の進化はウェブ上の多数の医学データベースの発達をもたらし、特定の主題や引用分析を行うための検索機能を実現した。　本研究では、PubMed、Scopus、Web of Science、Google Scholarの収録範囲と実用性を比較した。 　収録誌の範囲と検索機能制限、更新頻度に関する情報を得るため、各データベースの公式のWebページを調査した。　引用分析機能の評価のための特定の論文と、これらのデータベースの生医学情報検索の有用性の評価のためのキーワード検索の例を用いた。 　全てのデータベースが実用的で、多くの検索機能を備えていた。　PubMedとGoogle Scholarは無料で利用できる。　PubMedによるキーワード検索は、最適の更新頻度で提供され、電子版先行論文を含み、他のデータベースは、重要な索引として引用数によって論文を評価できた。　引用分析について、ScopusはWeb of Scienceより収録範囲が約20%多く、Google Scholarは精度が一貫しなかった。 　PubMedは依然、生医学分野の電子研究において最適のツールである。　Scopusはキーワード検索と引用分析の両方でより広い範囲の雑誌を収録するが、Web of Scienceと比較して最近の論文（1995年以後の発表）に限られている。　ウェブに関しては一般に、Google Scholarが最もあいまいな情報の検索に向いているが、不正確性や更新頻度不足、引用情報によって用途は限られる。

臨床医と研究者のための治療及びレビュー論文を方法論的にPsycINFOを検索する戦略

Eady AM, Wilczynski NL, Haynes RB. PsycINFO search strategies identified methodologically sound therapy studies and review articles for use by clinicians and researchers. J Clin Epidemiol. 2008 Jan; 61(1): 34-40. ［抄訳］(2008/05/24) 対象 　本研究では、PsycINFOで治療及びシステマティック・レビューに関する高品質の研究を検索するための検索戦略を評価した。 研究デザイン及び設定 　マクマスター大学で64誌についてハンドサーチを行った。　次に、方法論的基準として、4,985の候補語の組み合わせのほか、治療に関する論文用の7,463の組み合わせ、レビュー用の5,246の組み合わせを臨床関連論文に適用し、振り分けた。　候補とした検索戦略による結果を、ハンドサーチのそれと比較した。　提案した戦略による検索結果を「診断テスト（実験群）」とし、ハンドサーチによる結果を「ゴールドスタンダード（対照群）」とし、感度と特異度、精度、正確度について計算した。 結果 　716件の治療論文のうち233件（32.5%）は科学的長所の基準を満たし、506件のレビューのうちの58件（11.5%）がシステマティック・レビューの基準を満たした。　治療研究について組み合わせた用語は、感度の最高は97.9%（特異度52.2%）であった。　特異度の最高は、97.7%（感度51.5%）であった。　感度と特異度の差を最少にして両方とも最適化すると、それぞれが79%であった。　レビューのための用語の組み合わせは、81.0%の感度（特異度54.4%）が最高であった。　特異度は、98.1%（感度51.7%）が最高であった。　感度と特異度の差を最少にして両方とも最適化すると、感度と特異度は各65%であった。 結論 　PsycINFOから治療論文とレビュー論文を検索する際、経験的に導かれた検索戦略は、高い感度と特異度を達成することができた。

1996年-2005年のPubMedのエジプトの生医学文献

Afifi M. Egyptian biomedical publications in PubMed, 1996-2005. J Egypt Public Health Assoc. 2007; 82(1-2): 91-104. ［抄訳］(2007/06/19) 目的 　本研究は、PubMed上のエジプトで出版された10年（1996-2005）年の文献を分析することが目的である。 方法 　Medlineの検索は、最近10年間にエジプトの機関に所属する著者の文献総数を得るために、2006年12月12日に行った。　それから検索結果はMedlineフォーマット・テキストファイル形式に保存され、Excelファイルに変換し、SPSSデータファイル・フォーマットの6423件のデータを含むSPSSソフトウェアによる新しいデータベース質問とした。 結果 　その結果、PubMed中の文献の総数からのエジプトの文献の割合は、1996年の0.09%から2005年の0.14%まで増加したことが示された。　総説と臨床試験論文は、全体の文献のそれぞれ3.41%と6.9%を占めた。　文献全体の平均著者数は3.41で、この10年間増加していて、出版形態と掲載誌によって有意に変化した。　J Egypt Soc Parasitolと継続誌のJ Pharm Biomed Anal and East Mediterr Health Jが、エジプト研究に関する1,139誌のトップにあった（それぞれ11.44%、3.07%、2.51%）。 結論 　エジプトの文献の増加にかかわらず、PubMed文献全体の総説に比べその比率は満足なものではなかった。　各文献の著者数は増加が見られた。

PICO Linguist and BabelMeSH：MEDLINE/PubMedのための根拠に基づく多言語検索ツールの開発と部分的評価

Fontelo P, Liu F, Leon S, Anne A, Ackerman M. PICO Linguist and BabelMeSH: development and partial evaluation of evidence-based multilanguage search tools for MEDLINE/PubMed. Medinfo. 2007; 12(Pt 1): 817-21. ［抄訳］(2008/07/06) 　PICO Linguist and BabelMeSHは、母国語が英語でないユーザを対象とする多言語検索ツールである。　UMLS、MeSH、WHO EMRO、UMLFを一次情報源として、英語の用語に対応する他言語の同義語を認識する医学用語データベースが作成された。 　PICO Linguist and BabelMeSHは検索語を母国語で入力できるように検索画面を変更でき、ユーザは出版物の使用言語によって検索結果を限定できるが、検索結果は英語でのみ表示される。電子ジャーナルであればリンクが提供されるが、有償のものは契約が必要である。 　雑誌のキーワードと一般疾患のリストを使用してのフランス語版とスペイン語版の評価は、それぞれ77.5%と86.5%の正確性を示した。　ユーザによる評価は肯定的なものだった。 　PICO Linguist and BabelMeSHは、特に英語での表現が困難な英語以外の医学用語のために、医学文献から最新の根拠となる情報源を見つけることに役立つ便利なツールである。

デジャヴュ−Medlineの重複文献の研究

Errami M, Hicks JM, Fisher W, Trusty D, Wren JD, Long TC, Garner HR. Deja vu--a study of duplicate citations in Medline. Bioinformatics. 2008 Jan 15; 24(2): 243-9. Epub 2007 Dec 1. ［抄録］(2008/04/24) 動機： 　二重出版は科学全体の質に影響を及ぼし、防ぐことが困難であり、そして、研究は範囲とサイズをはるかに制限されてしまう。　この調査では、テキストの類似検索を使用して、抄録中で複製する文献を識別することが可能とした。 結果 　著者の出版行動を調査するため、62,213件のMedline中の文献をサンプルとし、手作業で調査した重複文献のデータベースを作成した。　その結果、共著者のない文献の0.04%が非常に近似していることとがわかり、潜在的に剽窃の可能性もあった。　共著者を持つ1.35%は、複製と考えるのに十分に類似していた。　これは、合計でそれぞれ3,500件と117,500件の二重出版があると推論できる。 有効性 　自動的に文献をマッチングするツールであるeTBLASTはhttp://invention.swmed.edu/で、重複文献データベースであるDeja vuはhttp://spore.swmed.edu/dejavuでそれぞれ無料で利用可能である。

MEDLINEとEMBASEにおける診断精度研究の索引

Wilczynski NL, Haynes RB. Indexing of diagnosis accuracy studies in MEDLINE and EMBASE. AMIA Annu Symp Proc. 2007 Oct 11:801-5. ［抄訳］(2008/09/21) 背景 STAndards for Reporting of Diagnostic Accuracy (STARD)は、2003年に出版され、いくつかの雑誌にのみ推奨されている。 目的 MEDLINEとEMBASEでの診断精度研究の索引の質がSTARD声明の出版から改善されたかどうかについて検証する。 デザイン STARD出版前後に2年間について、STARD（推奨している）雑誌と非STARD（推奨していない）雑誌を比較して、診断精度研究に付与される"accurate index terms"の平均数の変化を評価。 結果 MEDLINEでは、STARD出版前後にSTARD雑誌と非STARD雑誌の間で、質の索引について違いは見られなかった。　EMBASEでは、STARD雑誌での索引は、非STARD雑誌と比較して改善されていた（p値 = 0.02）。　しかしながら、STARD雑誌の文献は、非STARD雑誌の文献の正確な索引語の半分をSTARD出版前後で有していた（p値 < 0.001）。

生物医学文献のきめ細かい索引：MEDLINEのためのMeSHサブヘディング索引ツール

Neveol A, Shooshan SE, Mork JG, Aronson AR. Fine-grained indexing of the biomedical literature: MeSH subheading attachment for a MEDLINE indexing tool. AMIA Annu Symp Proc. 2007 Oct 11:553-7. ［抄訳］(2008/08/24) 目的 　本稿では、NLMのMedical Text Indexerの推奨によるMeSH用語（見出し語）へのサブヘディングの自動付与に関する索引イニシアティブの最新結果について報告する。 方法 　サブヘディングの検索と付与について、いくつかの言語的・統計的アプローチが用いられた。　自動的な方法が索引作業をよりよくするかどうか、NLMの索引作成者にも継続的に協力を得た。 結果 　50,000件のMEDLINEデータについて評価を行った。　見出し語とサブヘディングの組み合わせの推奨では、全ての方法による最高の再現率（64%）で、最高の精度（58%）はポスト-プロセッシング・ルール法（58%）で得られた。　単独のサブヘディングの推奨では、PubMedのRelated Citationsアルゴリズムで最高の結果が得られた。 結論 　サブヘディングが適用する用語に関して有意な進展があった。　更なる評価の後、本研究の一部はMEDLINEの索引作業過程に問い入れられるかもしれない。

Medline検索で動詞を使用する価値

Bertaud V, Said W, Garcelon N, Marin F, Duvauferrier R. The value of using verbs in Medline searches. Med Inform Internet Med. 2007 Jun; 32(2): 117-22. ［抄訳］(2007/06/02) 目的 　新しい発見は、医学画像に関する新たな診断法が継続的に検索される。　これらの新しい発見を文献から検索することは有益である。　本研究の目的は、MEDLINEの検索語での動詞の使用は発見の検索を改善し得るか調査することである。 方法 　発見で使用される動詞には以下を選択した：'to show'（試験は発見を提示(show)する）、'to confirm'（発見は診断を確証(confirm)する）。　これらの動詞について、意味的に近い動詞をWordNetで調査した。　それらの動詞を様々な放射線病理学の検索語に加えることはMedlineにおいて発見の検索を改善する範囲を調査した。　この方法では、筋骨格障害の画像診断に関する2種類のMEDLINEデータのセットを用いた。 結果 　Medlineの検索語に適当な動詞を使用することは、これら2つのデータセットで精度を53%から61%に、53%から74%に、それぞれ強化した。　また、74%と83%の再現率を2つのセット示した。 結論 　関連した動詞を使用することは、Medlineデータから疾患と診断法に関係のある発見の検索を改善するかなり簡単な方法と言える。

文献検索の簡易化：ランダム化比較試験をPubMedから検索するための迅速で感度の高い検索フィルター

Royle PL, Waugh NR. Making literature searches easier: a rapid and sensitive search filter for retrieving randomized controlled trials from PubMed. Diabet Med. 2007 Mar; 24(3): 308-11. ［抄訳］(2007/06/19) 目的 　PubMedでランダム化比較試験(RCTs)を見つけたい忙しい臨床医に適した、迅速でシンプルな検索フィルター（RSSF）の感度と精度を開発し、評価する。　理想的には、無関係な研究できるだけ少なく、すべてのRCTsを検索し、使いやすいフィルターでなければならない。 方法 　RSSFは、Publication Typeフィールドでの'Randomized Controlled Trial'用語の検索などから成る。 2000年から2005年の間で糖尿病のRCTsが最も多数発表された雑誌を特定し、すべてのRCTsを確定するためにハンドサーチを行った。　RSSFの感度はハンドサーチで検索されたRCTs中の比率によって測定し、検索された研究中のRCTsの比率から精度を調べた。　RSSFは、PubMedのために開発された高感度検索戦略（HSSS）と比較した。　Embaseについて、PubMedにないRCTｓを確認した。 結果 　16誌の雑誌に糖尿病に関する発表されたすべてのRCTsの半分が含まれることがわかった。　820件の糖尿病関係のRCTsがハンドサーチによって識別された。　これらとの比較で、RSSFは96.0%の感度（95%信頼区間：94.8%-97.1%）と、93.6%の精度（95%信頼区間：91.7%-95.0%）を得た。　HSSSとの比較では、RSSFはフィルター作業を87%に減少させた。　糖尿病のRCTsのEmbase検索では、PubMedにない36件（2.1%）が見つかった。 結論 　PubMedのための迅速でシンプルな検索フィルターは、必要ない大部分の研究を除外し、ほとんどすべての糖尿病のRCTsを見つけることができ、それによって、検索と結果のフィルター作業、他のデータベースの検索のために要する時間的コストを大きく減少する。

方法論的なシステマティック・レビューの検索に高い感度と特異度を持つEMBASE検索戦略

Wilczynski NL, Haynes RB; Hedges Team. EMBASE search strategies achieved high sensitivity and specificity for retrieving methodologically sound systematic reviews. J Clin Epidemiol. 2007 Jan; 60(1): 29-33. Epub 2006 Jul 20. ［抄訳］(2007/01/19) 目的 　文献のシステマティック・レビューは、研究と診療の橋渡しをするために助けとなり、MEDLINEやEMBASEのようなデータベースに広汎に存在する。　MEDLINEのユーザを援助するための検索戦略はいくつも開発されているが、EMBASEについては経験的な作業は行われていない。　本研究の目的は、EMBASEでの方法論的なシステマティック・レビューの検索を最適化する検索戦略を開発することである。 方法 　4,843語の検索候補語と17,004通りの組み合わせによるEMBASEの検索結果と、55の雑誌のハンド・サーチ結果を比較する、分析調査を行った。　検索候補戦略をEMBASEで実行し、検索結果をハンド・サーチの結果と比較した。　検索戦略の感度、特異度、精度、正確性を計算した。 結果 　レビューとして分類される1,354件の文献のうちの220件（16.2%）は、科学的利益の基本的基準を満たした。　検索語の組み合わせは63.7%の特異度で最高94.6%の感度を示し、特異度を最適化する検索語の組み合わせは61.4%で感度で最高99.3%の特異度に達した。 結論 　経験的に作成した検索戦略によって、方法論的なシステマティック・レビューのEMBASEからの検索に高い感度と特異度を達成することができた。

BabelMeSH：MEDLINE/PubMedのためのCross-Language Toolの開発

Fang Liu, Paul Fontelo, and Michael Ackerman. BabelMeSH: Development of a Cross-Language Tool for MEDLINE/PubMed. AMIA Annu Symp Proc. 2006; 2006: 1012. ［抄訳］(2008/07/05) 背景 　医学文献を探す際、普段最も慣れている言語を使用する方がより簡単である。　MeSHの翻訳は、MEDLINE/PubMedで雑誌文献を検索する際に、英語に対して不安がある医療従事者にとって有益である。　英語以外の雑誌がMEDLINEで索引付けされても、その収録情報は英語である。　ユーザが母国語を使用できれば、英語への翻訳が困難な概念を正確に見つけることが可能となる。 方法 　BabelMeSH（http://babelmesh.nlm.nih.gov）は、多言語インターフェイスとして設計された。　ユーザは、母国語（スペイン語、フランス語、ポルトガル語など）で、医学用語を指示できる。　解析プログラムが多言語MySQLデータベースを使用して検索式を英語に翻訳し、BabelMeSHがＥユーティリティによってPubMedに検索式を送り、ユーザに英語の文献情報を返す。 マルチ言語データベース 　スペイン語とポルトガル語のデータベースの主要な情報源はUMLSメタシソーラスであり、フランス語の情報源は、フランス国立医学衛生学研究所によるフランス語MeSH翻訳とPublique-Hopitaux de Parisのフランス語Unified Medical Lexiconである。　1つの外国語における全ての概念とUMLSで対応するCUIが選択される。　MeSHからのUMLSでの英語の概念が同じCUIとリンクする場合、英語の概念と外国語の概念が対にされ、それ以外は別の用語から英語の概念が選択される。 解析プログラム 　検索式が入力されると、全自動機能により候補語を提供する。 解析プログラムは、翻訳データベース中の用語だけを検索し、他の全ては削除する。 対応する英語の翻訳は、ＥユーティリティによってPubMedに送られる。 用語がアクセントつきで入力された場合はプログラムはアクセントのついた用語を検索し、該当する用語が見つからない場合はアクセントのない形に変換して再度データベースを探す。 BabelMeSHは、正確に該当する用語が見つけられない場合、英語以外の検索式の一部を含む候補語を示す。 ユーザは、PubMedを検索する前にそれらの候補語を修正することもできる。 検証評価 　フランス語、スペイン語、ポルトガル語の雑誌の、45の論文を選択した。　各論文について、著者のキーワードの英語翻訳語を「ゴールドスタンダード」とし、BabelMeSHへの1つの検索式として全ての外国語のキーワードを組み合わせた。　各言語への翻訳の正確度は、フランス語が68.16±24.92%、スペイン語が60.78%±28.22%、ポルトガル語が51.73%±29.37%であった。　エラーの共通した原因は、複合語か単数語かの認識能力不足、不正確な分析と部分的な一致であった。　複雑なフレーズではデータベースで一致したものはわずかだが、単語や複雑でない検索式であれば、BabelMeSHは部分的な一致による候補語を提供できた。　今後の開発ではこれらの問題点が焦点となる。 結論 　BabelMeSHは、英語が母国語でない医療従事者のためにMEDLINE/PubMed検索の他の情報源を提供する。　全自動機能により、データベースの医学用語がユーザに示される。　ユーザの高い関心を受け、今後も開発を続ける。

スペインで行われた研究を検索するためのPubMedの地理的フィルターの開発

Valderas JM, Mendivil J, Parada A, Losada-Yanez M, Alonso J. Development of a Geographic Filter for PubMed to Identify Studies Performed in Spain. Rev Esp Cardiol. 2006 Dec; 59(12): 1244-1251. ［抄訳］(2007/01/25) 目的 　PubMed（Medline）データベースの巨大化は、情報検索の特殊なツール（いわゆる検索フィルター）の開発を必要としている。　PubMedのLimitsオプションの現在の構成では、地理的基準による検索の制限ができない。　本研究の目的は、a)スペイン人に対して行われた研究をPubMedで検索するための地理的フィルターの開発と、b)それらの性能の検証であった。 方法 　これまでの検索戦略の調査によって第二世代フィルターを作成した。　それには以下の3種類のデータの選択が含まれた。 　　a)異なる言語でのスペイン（Spain）を示す用語 　　b)スペインの地名（例：主な自治区や行政区） 　　c)自治区での医療サービスの略語 　検索フィルターの性能（感度と特異度）は、手作業検索結果（ゴールド・スタンダード）との比較によって、代表的なサンプル（MeSH用語の"Myocardial Infarction"がPubMedで索引されている臨床試験）で検証された。　さらに、検索フィルターの性能も、Spain[ad]での単純な検索結果との比較によって評価した。 結果 　検索フィルターの使用は、関連文献のうちの74件（98.7%）を見つけることができた。　その感度（88.1%）は単純検索の結果（45.8%）より高く、両方の事例について最高の特異度（100%）だった。 結論 　スペイン人を含むPubMedの研究を検索するための地理的フィルターは開発可能であった。

PubMed対HighWire Press：2つの医学文献サーチエンジンの比較

Vanhecke TE, Barnes MA, Zimmerman J, Shoichet S. PubMed vs. HighWire Press: A head-to-head comparison of two medical literature search engines. Comput Biol Med. 2006 Dec 19; [Epub ahead of print] ［抄訳］(2007/01/23) 　PubMedとHighWire Pressは両方とも、無料でインターネット上で誰でも利用できる便利な医学文献サーチエンジンである。　本研究では、HighWire PressとPubMedのクイックサーチ機能を使って、検索の正確性、検索件数、検索速度、特徴、検索ツールを検証した。　HighWire Pressでは求める文献の検索により高い尤度が見られ、PubMedの同じ検索より多くの検索件数を示した。　PubMedは、検索設定に関係なく検索結果の表示がHighWire Pressより速かった。　これら2つのサーチエンジンの間に検索機能においてかなりの較差がある。

治療に関する科学性の高い研究を検索するためのPubMed Clinical Queriesの有効性の向上

Corrao S, Colomba D, Arnone S, Argano C, Di Chiara T, Scaglione R, Licata G. Improving efficacy of PubMed Clinical Queries for retrieving scientifically strong studies on treatment. J Am Med Inform Assoc. 2006 Sep-Oct; 13(5): 485-7. Epub 2006 Jun 23. ［抄訳］(2007/02/02) 目的 　本研究では、PubMedのClinical Queriesの検索性能を評価するために、"therapy"の"narrow"検索について、あり得る検索バイアスを避けるように考えられた検索式と比較した。 方法 　 PubMedの検索戦略を、英国式の"randomised"を含め僅かに修正した検索式と比較した。　関心の高いトピックスに関する4つの用語（hypertension, hepatitis, diabetes, heart failure）のそれぞれについて、2種類の検索式を加えて調査した。　特に、PubMedに未収録の文献については精度を計算した。 結果 　 追加語の"randomised"は、どの場合についても検索結果を向上させた。　PubMed未収録文献の検索率は、11.1%から21.4%にわたった。　Randomized Controlled Trial(s) と(RCT)sで有意な件数 (9.1-18.2%)が 、選択された各トピックスについて検索された。　それらは最近出版されたRCTsが多かった。 結論 　Clinical Queriesフィルター（Focusを"therapy"にした"narrow"検索の場合）を使った検索で、最新の科学性の高い情報の検索漏れを避けるためには、補正が必要であると思われる。

臨床疑問に答えるためのランダム化試験：事前評価とMEDLINE検索プロトコールの対比

Patel MR, Schardt CM, Sanders LL, Keitz SA. Randomized trial for answers to clinical questions: evaluating a pre-appraised versus a MEDLINE search protocol. J Med Libr Assoc. 2006 Oct; 94(4): 382-7. ［抄訳］(2007/01/27) 目的 　本研究では、一次医学文献を探すための、2つの異なる検索プロトコールの速度、妥当性、適応性について比較する。 方法 　レジデントを含むランダム化試験を行った。　入院患者の通常回診において、32人の内科レジデントを8人構成の4グループにランダムに分けた。　各検索プロトコールの成功率は、検索時間、解答を得られた疑問数、適用可能で有効だった文献の比率によって評価された。 結果 　MEDLINE優先グループ（プロトコールA）にランダムに入れられたレジデントは120の疑問について調査し、MEDLINE非優先グループ（プロトコールB）にランダム化されたレジデントは133の疑問を調査した。　プロトコールAでは104の解答（86.7%）が、プロトコールBでは117の解答（88%）が、臨床疑問に対して見つかった。　プロトコールAではレジデントは解答の26（25.2%）がすぐに得られたと報告したのに対し、プロトコールBで同程度に「速い」（5分以下）と評価を得たのは55（51.9%）であった（Ｐ値 = 0.0004）。　両方のプロトコールが疑問に関連する解答文献を同程度に見つけ、批判的評価基準に有効性を感じている教職員によって、疑問と文献のサブセット（n = 79）をチェックした。 結論 　レジデントによる臨床上の疑問に対し、両方のプロトコールは、適用可能で有効な文献を同程度に高い確率で見つけた。　MEDLINEを後回しにする検索プロトコールの方が迅速性に優れていることが認められた。　しかしながら、そのようなMEDLINE非優先プロトコールでは、ある程度の疑問（23%）においては、まだ解答を見つけるためにMEDLINEを検索することが必要だった。

オンコロジーにおける補完・代替医療の臨床試験の検索戦略

Bardia A, Wahner-Roedler DL, Erwin PL, Sood A. Search strategies for retrieving complementary and alternative medicine clinical trials in oncology. Integr Cancer Ther. 2006 Sep; 5(3): 202-5. ［抄訳］(2007/01/05) 目的 　オンコロジー関連の補完・代替医療(CAM)文献を検索するためのいくつかのMedline検索戦略がある。　本研究の目的は、最も最適の戦略を確認するために、異なる検索方法を比較することである。 方法 　1965年から2004年までに発表された、癌患者にCAM介入を行ったすべての臨床試験を、4通りの異なるアプローチによって抽出した。　CAM検索フィルターでは、PubMedの補完医療フィルターを使用した。　Ovidの検索は、Ovidの検索エンジンの複合検索戦略を使用して行った。　植物関係を除くCAMのキーワード検索では、"AND (complementary OR alternative)"と"NOT (antineoplastic agents, phytogenic)を、それぞれ検索語に加えたCAM検索フィルターを含めた。　論文は3人の査読者によって、それが臨床試験であるかどうか、介入がCAMに関連があるかどうか、予防・治療状態は癌に関連があるかどうか（基準も含め）について評価した。 結果 　CAM検索フィルターは、10,718件の文献を検索し、Ovidは1,190件を検索し、CAMキーワードは2,895件を検索し、非植物系検索では1,806件を検索した。　CAM検索フィルターと比較して、他の全ての方法はかなり低い感度だった（Ovid：48.3%+/-3.2%、CAMキーワード：5.8%+/-1.5%、非植物系：77.9%+/-2.7%、Ｐ値 < .001）。　Ovid（38.4%+/-2.8%）と非植物系（40.8%+/-2.3%）の検索の特異度は、CAM検索フィルター（8.8%+/-0.5%）とCAMキーワード検索（1.9%+/-0.5%）と比較して、有意に高かった（Ｐ値 < .001）。 結論 　PubMedの補完医療用検索フィルターを使った検索戦略は包括的ではあるけれども特異度に欠け、他の方法はより特異的であるが感度が不足する。　今後、すべてのCAMの臨床試験について、一般の医学件名用語の「補完医療("complementary medicine")」を索引付けするようにすれば、関連文献の効率的な検索が一層容易になるだろう。

MEDLINEとEMBASEで外科的介入の観察研究の検索

Fraser C, Murray A, Burr J. Identifying observational studies of surgical interventions in MEDLINE and EMBASE. BMC Med Res Methodol. 2006 Aug 18; 6:41. ［抄訳］(2008/02/06) 背景 　外科的介入の医療技術評価では、しばしばランダム化されないエビデンスを必要とする。　そのようなエビデンスを検索するための文献検索戦略は、適当な検索用語の使用に絡む不確実性のため、しばしば方法論的要素が除外される。　このため、多くの無関係な文献の検索をもたらされる。　方法論的検索フィルターはこのような問題を最小にし、文献検索をより効率的にし得る。 方法 　主題関連語のみによる機械的な文献検索の結果を精査することで得られる標準により、MEDLINEとEMBASEの検索フィルターを開発することを目的とする。　標準データの調査から、MEDLINE（N = 37）とEMBASE（N = 35）のための検索候補語を得た。　以前の医療技術評価に含まれた２組の研究に関して、検索フィルターを検証した。 結果 　最終的なフィルターは、高い感度(MEDLINE 99.5%, EMBASE 100%, MEDLINEとEMBASEの組み合わせ 100%)を示し、その時の精度は16.7%から21.1%、特異度は35.3%から43.5%、検索結果は30%以上削減した。　確証のための標準に対して、個々のフィルターは、85.2%から100%の文献を検索した。　しかし、MEDLINEとEMBASEの検索フィルターの組み合わせでは、28.4%と30.1%の検索結果の削減で、両方とも標準に対して100%を検索した。 結論 　今回のMEDLINEとEMBASEの検索フィルターは、高い感度があって、検索される文献数を実質的に減らし、効果的な文献検索のための有効なツールであることが示された。

2006年にMEDLINEに収録された中国の雑誌

Pan LJ, Xia XY, Shang XJ, Huang YF, Wang XL. [Chinese periodicals indexed in MEDLINE in 2006] Zhonghua Nan Ke Xue. 2006 Aug; 12(8): 756-9. Chinese. ［抄訳］(2007/02/11) 　初めて、中国科学技術省はMEDLINEに収録された中国の論文に関する分析レポートを発表し、それは中国政府が科学研究の評価においてMEDLINEの役割により一層の注意を払っていることを示すものだった。　合計4,959誌が米国国立医学図書館(NLM)出版のLists of Journals Indexed in MEDLINE (2006)にリストされ、そのうち95誌は中国（香港・台湾も含む）で出版され、その他に2つの中国の雑誌が海外で出版されるものだった。　MEDLINEをより医学研究者に広め、MEDLINEに収録される雑誌に投稿することを助けるために、本論文では2006年にMEDLINEに収録された中国の定期刊行物について、2004年にMEDLINEに収録された中国の医療機関上位10機関をリストアップした。　そして、中国におけるMEDLINEの位置付けについても簡潔に分析した。

ハンドサーチに代わる検索法：再現率を用いた検索フィルターの方法論的アプローチ

Sampson M, Zhang L, Morrison A, Barrowman NJ, Clifford TJ, Platt RW, Klassen TP, Moher D An alternative to the hand searching gold standard: validating methodological search filters using relative recall. BMC Med Res Methodol. 2006 Jul 18; 6:33. ［抄訳］(2006/10/18) 背景 　フィルター検索はEBMにおいて重要な役割を示している。　しかし、それらの発展は、“Gold Standard”といわれるハンドサーチによっている。　Gold Standardに代わる代替的な検索方法として方法論的なフィルター利用の実現可能性を複数のシステマティックレビューの再現率を測ることで、検証した。 方法 　HSSS（HSSS,Highly Sensitive Search Strategy）を利用して105のRCTもしくは擬RCTを含んでいるコクランレビューを選定した。　これらのレビューを含むMEDLINEによりインデックスされた文献の再現率を、既に開発された2つの変数と今回新しく開発した1つの変数を用いて測定した。 結果 　これらの検索をは網羅的に再現されていた。　105のレビューのうち72%はMEDLINEでインデックスされていたが、3つの検索戦略はそのうち98％から91％の高い再現率を示した。 結論 　GoldStandardであるハンドサーチの代わりに方法論的なフィルターを用いる手法は、高い再現率を示し、選定されたレビューとほぼ合致した検索結果となった。　これにより方法論的なフィルターの適合性が認められた。

EMBASEでコスト・経済研究を探すための最適の検索戦略

McKinlay RJ, Wilczynski NL, Haynes RB; Hedges Team. Optimal search strategies for detecting cost and economic studies in EMBASE. BMC Health Serv Res. 2006 Jun 6; 6:67. ［抄訳］(2007/01/07) 背景 　医学文献における経済的評価は、進歩する診断や治療法についてそれらの情報源の利用とその効果を比較する。　このような情報は今日の臨床において重要性を増しており、コストと経済の比較に関する研究から得られる最高のエビデンスは現在拡大を続けている。　研究者と臨床医はこの情報に対する迅速かつ信頼性が高いアクセス方法を求めている。　この種の重要な情報源は、EMBASEのような大きい書誌データベースである。　本研究の目的は、EMBASEから保健医療コスト及び経済学的研究の検索を最適化する検索戦略を開発することである。 方法 　候補となる検索語とそれらの組み合わせによるEMBASEの検索結果と、雑誌のハンドサーチの結果を比較する、分析調査を行った。　6人の研究助手によって、2000年に出版されたEMBASEに収録される55誌のすべての号を閲覧した。　目的と質の基準を使ってすべての論文をランク付け、それらを臨床に関連したオリジナル研究、総説、一般論文、症例報告に分類した。　次に、オリジナル論文と総説論文を目的（例えば、コスト・経済や他の臨床的トピックス）によって分類し、目的に応じて方法論的正確性を『通過（'pass'）』か、『失敗（'fail'）』のように分類した。　候補の検索戦略は経済的およびコスト研究のために開発され、ハンドサーチの結果と比較できるように、55誌のEMBASE収録雑誌について実行された。　検索戦略の感度と特異度、精度、正確性を計算した。 結果 　コスト・経済研究を探すための検索語の組み合わせは、それぞれ92.9%と92.3%の特異度で、100%の感度を達成した。　感度と特異度を共に最大にするという条件では、コスト研究のための検索語の組み合わせは1語での検索よりも、特異度はわずか0.9%低いだけで感度は2.2%以上高かった。　経済研究の用語の最大の組み合わせでの検索は、1語での検索と感度は変わらず、特異度は0.1%だけ増加した。 結論 　選択検索語は、EMBASEから保健医療のコストと経済学関係の研究を検索するために、優れた結果を示した。

MEDLINEでランダム化比較試験を探すための検索戦略の最適化

SZhang L, Ajiferuke I, Sampson M. Optimizing search strategies to identify randomized controlled trials in MEDLINE. BMC Med Res Methodol. 2006 May 9; 6:23. ［抄訳］(2007/01/11) 背景 　コクラン高感度検索戦略（Cochrane Highly Sensitive Search Strategy：HSSS）は、3つのフェーズがあり、MEDLINEでランダムか比較試験（Randomized Controlled Trials：RCTs）を探すために広く用いられている。　LefebvreとClarkeは、査読者がHSSSの4つの改訂版を使用するかもしれないことを示唆している。　本研究の目的は、これらの4つの改訂版を検証することであり、それぞれについて、HSSSの上位2つのフェーズで、自由語、交差、反対、MeSHクロスオーバー研究（Medical Subject Heading CROSS-OVER STUDIES）を組み合わせて行った。 方法 　コクラン・ライブラリーの61のレビューの主題検索を再試した。　MEDLINEに収録された各レビューの含まれた研究は一緒に蓄積され、主題検索と4つの各推奨検索戦略やHSSSの上位2フェーズ、HSSSの全3フェーズの各々と組み合わされた。　これらの検索結果から、各レビューのための6つの検索戦略について、各々の感度と精度を計算した。 結果 　61のレビューについて、HSSS上位２フェーズに対して組み合わされる検索語はHSSS上位２フェーズ単独や他の推奨検索語の組み合わせよりも３つ多く検索できたが、HSSSの全３フェーズを用いれば見つけられたはずの56件の関連文献が漏れてしまった。　調査を終えるために必要だった時間は、HSSSの全3フェーズに1,086時間、戦略対比のために823時間、他の3つの推奨戦略やHSSSの最初の2フェーズのために818時間だった。 結論 　本研究はHSSSの最初の2フェーズと比較して、HSSSの上位2フェーズに対語を加えることは今回ののレビューにおいて感度と精度のある程度のバランスをとることを示したが、差異は非常に小さいものだった。　検索から漏れた関連研究はシステマティック・レビューにおけるバイアスとなるかもしれないことは明らかである。　MEDLINEでRCTsを探すための検索戦略を選択するときは、査読者は条件の長所短所をよく検討する必要がある。

MEDLINEでランダム化比較試験を検索する方法

Glanville JM, Lefebvre C, Miles JN, Camosso-Stefinovic J. How to identify randomized controlled trials in MEDLINE: ten years on. J Med Libr Assoc. 2006 Apr;94(2):130-6. ［抄訳］(2006/10/11) 目的 　MEDLINEでランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial : RCT)の検索に広く用いられている Cochrane Highly Sensitive Search Strategy (コクランHSSS)1994年版を感度や精度、経済性の点で改良する 方法 　はじめに、MEDLINEから選択したRCTデータ1,347件と非臨床試験2,400件を用いて、RCTとそれ以外を区別する能力の高い用語を解析し、最善と思われる検索式を作成した。次に、その検索式を2003年のMEDLINEデータについて、ハンドサーチの結果と比較検証した。 結果 　最良の検索語はPublication Typeの"Clinical Trial"であった。これに更に６つの用語を加えると、妥当なレベルの精度とコクランHSSSにほぼ等しい感度で索引漏れの臨床試験を検索した（抄録中の"randomized"と"placebo"と"randomly"と"trial"と"groups"、サブヘディングの"drug therapy"）。 結論 　MEDLINE中のRCTの大部分はPublication Typeの"Randomized Controlled Trial"で検索できる。今回の結果を基に、コクランHSSSの改訂版を作成した。

MEDLINEとEMBASEで副作用文献を探すための効果的検索戦略の開発

Golder S, McIntosh HM, Duffy S, Glanville J; Centre for Reviews and Dissemination and UK Cochrane Centre Search Filters Design Group. Developing efficient search strategies to identify reports of adverse effects in MEDLINE and EMBASE. Health Info Libr J. 2006 Mar; 23(1): 3-12. ［抄訳］(2007/01/03) 目的 　本研究は、副作用の研究をMEDLINEとEMBASEで検索することへの異なるアプローチを、感度と精度の用語に関して、その有効性を評価する。 方法 　副作用のエビデンスを探すための5つのアプローチを設定した： 　　アプローチ１−特定の副作用を用いる; 　　アプローチ２−サブヘディングを用いる; 　　アプローチ３−自由語を用いる; 　　アプローチ４−索引語を用いる; 　　アプローチ５−特殊な研究デザインで探す。 　これらの5つのアプローチと組み合わせの感度と精度を、7つの抗てんかん薬の副作用のシステマティック・レビューを用いたケーススタディで比較した。 結果 　MEDLINEで最も感度の高い（97.0%）検索戦略は、特定の副作用を表す用語や単独のサブヘディング、『副作用』に関する自由語の組み合わせであった。　EMBASEでは、特定の副作用を表す用語と『副作用』に関する自由語の組み合わせが、最も感度の高い（98.6%）検索戦略であった。　これらの検索戦略の精度は著しく低かった（2.8%）。 結論 　いずれのデータベースにおいても高感度の検索は、アプローチの組み合わせを必要として、低い精度になった。　このことは、副作用に関する報告と索引付けの改善が必要であり、効果的で一般的な検索フィルターがまだ実現可能ではないことを示唆している。

治療研究とレビュー論文を検索するためのCINAHLでの最適な戦略

Wong SS, Wilczynski NL, Haynes RB. Optimal CINAHL search strategies for identifying therapy studies and review articles. J Nurs Scholarsh. 2006;38(2):194-9. ［抄訳］(2006/11/20) 目的 　2000年のCINAHLにおいて、治療研究とレビュー論文を探すための最適な検索式を作成する。 方法 　5,020の検索候補語と、レビューのための5,977通りの組み合わせ、治療研究のための17,900通りの組み合わせによるCINAHLの検索結果を、75誌のハンドサーチと比較した。　すべての論文は、目的と質に関する指標によって評価した。　CINAHLで候補検索式を実行し、ハンドサーチの結果と比較した。　提唱された検索式を研究らしさについて「診断検査」として扱い、手作業による文献のレビューを「ゴールドスタンダード」として扱った。　検索式の動作の特徴を計算した。 結果 　治療に関する1,383件の論文のうち、506件（36.6%）が科学的メリットの基準を満たし、レビューと見なされた711件のうち127件（17.9%）はシステマティック・レビューの基準を満たした。　治療研究らしいとの認識について、３語の検索式では58.3%の特異度ながら最大99.4%の感度を示し、また、２語による検索式は最大98.5%の特異度を示したが、感度は52.0%と低いものもあった。　システマティック・レビューの検索については、３語での検索式は95.4%と高い特異度を保ちながら最大91.3%の感度を示し、１語での検索では最大99.6%の特異度を示しながら42.5%と低い感度のものもあった。　感度と特異度を最適化する３語での検索式は、治療研究の検索に91%以上、システマティック・レビューの検索に76%以上の値を示した。 結論 　索引語と自由語の組み合わせによる検索式は、CINAHLにおいて治療研究とレビュー論文の検索に高い感度と特異度を達成し得る。

MEDLINEで精神医学文献を検索するための最適な検索戦略：分析調査

Wilczynski NL, Haynes RB; Team Hedges. Optimal search strategies for identifying mental health content in MEDLINE: an analytic survey. Ann Gen Psychiatry. 2006 Mar 23; 5:4. ［抄訳］(2006/04/26) 目的 　精神医学分野における最新の研究成果の入手を望む一般開業医、精神神経科医や研究者にとって、MEDLINEのような巨大な電子データベースの検索は難しいかもしれない。　MEDLINEを検索する際、無関係な多くの文献が検索され、重要な文献はしばしば見逃がされる。　本研究の目的は、精神医学分野の文献を検索するための最適な検索戦略を開発し、治療に関する最高の研究を見つけるために調整された方法論的な検索戦略を取り入れることの効果を検証することである。 方法 　分析調査を行い、3,395の検索候補語と11,317通りの組み合わせによるMEDLINEの検索結果と、29の雑誌のハンド・サーチ結果を比較した。　検索戦略の感度、特異度、精度、正確性を算出した。 結果 　29の雑誌に分類された12,233件の文献のうちの3,277件（26.8%）が、精神医学分野において重要であると考えられた。　検索語の組み合わせでは最高で98.4%の感度を50.0%の特異度で示し、特異度について最適化した検索用語の組み合わせでは最高で97.1%の特異度を51.7%の感度で達成した。　治療のために方法論的な検索戦略を検索戦略に含めると、精度を改良し、　目的の文献を見つけるために選別する必要があった文献数は実質的に減少した。 結論 　精神医学分野の内容をMEDLINEから検索するために、経験的に導き出された検索戦略は高い感度と特異度を達成し得る。　内容検索に方法論的な検索戦略を取り入れることは、より正確な検索につながる。

職業関連性疾患に関するMedlineの検索戦略の開発

USchaafsma F, Hulshof C, Verbeek J, Bos J, Dyserinck H, van Dijk F. Developing search strategies in Medline on the occupational origin of diseases. Am J Ind Med. 2006 Feb; 49(2): 127-37. ［抄訳］(2007/01/15) 背景 　PubMed（Medline）で科学的文献を検索する、産業医や研究者、専門家（臨床図書館員(CL)、ガイドライン作成者）をサポートするために、使いやすく効果的な検索戦略を開発し、評価した。 方法 　ゴールド・スタンダードから文献を検索する感度と精度を算出するための4つの症例場面の結果によって、検索用語の異なる組み合わせを検証した。　PubMedのClinical Queriesフィルターも検証した。　それらの結果に基づいて、流れ図を用いた専門的な検索戦略のためのガイドラインを示した。 結果 　産業医のためには、職業を示す用語と産業の種類を疾患の用語と組み合わせ、20%の精度で少なくとも65%の感度が得られた。　産業保健士のためには、検索戦略に危険因子の用語を加えることで90%以上の高い感度を示せた。　PubMedのClinical Queriesの"etiology（病因）フィルター"を"sensitive"で検索用語と組み合わせて、精度が向上した。　PubMedのClinical Queriesの"etiology（病因）フィルター"の"specific"での使用では、関連文献の重大な検索漏れが生じた。 結論 　Medlineで職業関連性疾患の研究を検索するために、職業病の固有名称から始めることを提案する。　そのような名称では存在しない場合、職業を表す特殊用語や産業の種類を疾患用語と組み合わせて用いる。　検索の感度を高めるためには、特殊な危険因子の検索語を加えるべきである。　関連のある職業の論文がない場合、一般的な職業病や職業リスクの検索用語を試してみる価値はある。

EMBASEで臨床関連の質的研究を探すための最適な検索戦略の開発

Walters LA, Wilczynski NL, Haynes RB; Hedges Team. Developing optimal search strategies for retrieving clinically relevant qualitative studies in EMBASE. Qual Health Res. 2006 Jan; 16(1): 162-8. ［抄訳］(2007/01/17) 目的 　質的研究者は、患者ケアに関連する多くの問題に取り組んでいる。　それらの研究は雑誌に掲載され、文献の検索が難しい。　EMBASEのような大きいデータベースは質的調査を検索する方法を提供しているが、本研究では電子的検索の問題を含む出版された論文の非常に小さい一部だけを示した。　質的研究のための検索戦略の開発はほとんど行われていない。　本研究の目的は、2000年のEMBASE上の質的研究を探すための最適な検索戦略を開発することにある。 方法 　検索候補語の組み合わせによるEMBASEの検索結果と雑誌のハンドサーチとの比較による分析調査を行った。 結果 　 検索戦略は、最高で94.2%の感度と99.7%の特異度を示した。　感度と特異度の組み合わせを最適にするための検索用語の組み合わせでは、両方とも89%以上であった。 結論 　本研究では、EMBASEでの質的研究を検索するための高性能の戦略を確認できた。

EMBASEで臨床的治療研究を探すための最適な検索戦略の開発

Wong SS, Wilczynski NL, Haynes RB. Developing optimal search strategies for detecting clinically sound treatment studies in EMBASE. J Med Libr Assoc. 2006 Jan; 94(1): 41-7. ［抄訳］(2007/01/13) 目的 　EMBASEのような大規模書誌データベースにおいて治療法に関する論文を正確に検索する能力は、研究者と臨床医にとって重要である。　この研究は、2000年についてEMBASEで治療研究を探すための最適な検索戦略を開発することを意図した。 方法 　雑誌のハンドサーチ結果を検索戦略候補によるEMBASEの検索結果と比較した。　指導を受けた6人の研究助手が、EMBASEに収録される55誌を調査し、目的と質の指標によって論文をランク付けした。　治療論文を検索するための検索戦略候補を開発・テストし、その検索結果はハンドサーチ結果と比較された。　検索戦略の性能を検証した。 結果 　治療に関するオリジナル研究は3,850件であった。そのうち1,256件（32.6%）は方法論的論文であった。　検索語の組み合わせは、72.0%の特異度と98.9%の感度で、最高の性能を示す戦略だった（random:. tw. OR clinical trial:. mp. OR exp health care quality）。　特異度が最大なのは、（double-blind:. mp. OR placebo:. tw. OR blind: .tw.）という検索戦略が、51.7%の低い感度ながら、96.0%以上の特異度を達成した。　3語による戦略は、感度と特異度ともに92.0%以上と、最も最適な検索を達成した（random:. tw. OR placebo:. mp. OR double-blind:. tw.）。 結論 　検索戦略は、EMBASEで治療研究を探すために高い性能を示した。

PubMedでの分子疫学研究の検索：染色体異常の検索例

Ugolini D, Neri M, Knudsen LE, Bonassi S, Merlo DF. Searching PubMed for molecular epidemiology studies: The case of chromosome aberrations. Environ Mol Mutagen. 2006 Jan 13; [Epub ahead of print] ［抄訳］(2006/03/02) 　分子疫学分野の文献検索のために利用できるツールは、たいへん不足している。 　この分野に関する情報を検索する際の重大な問題を明らかにするために、環境汚染物質にさらされる小児の細胞遺伝的生物マーカーの文献検索の結果に関して調査した。 　検索はPubMed/MedLineデータベースで行い、PubMedのMedical Subject Headings（MeSH）シソーラスと他のツール（自由語や熟語での検索ツール）にリストされたディスクリプタを組み合わせた検索戦略を用いた。 　1980年1月1日から2004年11月30日までの期間に、178件の文献が検索された。　178件の文献のうちの2つだけにMeSH用語の"Epidemiology, molecular" (1994年新設)が付与され、178件中30件にMeSH用語の"Biological markers" (1989年新設)が索引付けされていた。 　この染色体異常（CA）の検索例は、78件の文献中44件（56.4%）は検索に無関係だという象徴的な問題点を示した。 　著者と索引作成者は、文献のタイトルと抄録中の関連用語を用いれば、分子疫学分野で文献検索の有効性を改善することが可能である。 　CAを使用した集団研究の検索の困難性に関しては、生物マーカーとしての染色体異常のための特殊なMeSH用語を用いることで検索過程を改善することができる。

シェークスピアからスタートレックまで：引喩を使った論題の生物医学論文のMedline検索

Goodman NW. From Shakespeare to Star Trek and beyond: a Medline search for literary and other allusions in biomedical titles. BMJ. 2005 Dec 24; 331(7531): 1540-2. ［抄訳］(2006/01/28) 目的 　文学的なものや他の引喩を含む生物医学的論文を検証する。 デザイン 　遡及調査。 設定 　Dialog DatastarのMedline（1951年〜2005年半ば） 主要評価点 　シェークスピア、アンデルセン、ことわざ、聖書、ルイス・キャロル、映画タイトルに関する引喩を、1950年4月から2000年4月の期間で５年おきに調査した。 結果 　1400件以上のシェークスピアの引喩が存在し、それらの３分の１は"What's in a name"「名前が何だというの？」（ロミオとジュリエット）で、もう３分の１はハムレットの"To be or not to be(; that is the question)"「生か死か（それが問題だ）」であった。　シェークスピアとアンデルセンと思われる引喩を使った論題の増加傾向は、キャロルとことわざの引喩に匹敵する。　聖書の引喩の傾向も増えているが、一定ではない。　以前調査された「パラダイム・シフト」を含め、より新しい引喩の傾向も増えている。　引喩による論題は、オリジナル研究よりもむしろエディトリアルやコメントに多いようである。 結論 　このような傾向は特定の博識な著者の習慣と思われる。　新しい引喩は古い引喩より人気があるかもしれない。　引喩による論題は査読者や研究者には役に立たず、多くは今や陳腐な決まり文句である。　それらが読者を引きつけるどうかはわからないが、注意を引くためのもっと良い方法は存在する。

ヨーロッパの医学関係Webデータベースの比較研究

Abad Garcia F, Gonzalez Teruel A, Bayo Calduch P, de Ramon Frias R, Castillo Blasco L. A comparative study of six European databases of medically oriented Web resources. J Med Libr Assoc. 2005 Oct;93(4):467-79. ［抄訳］(2006/03/12) 目的 　５つの品質管理された主題ゲートウェイのWeb情報源の６つのヨーロッパの医学関連データベースの比較 方法 　６つのデータベースについて、特徴、範囲、Web情報源を選択するための方法、データ構造、検索可能性等を2005年2月時点で比較した。　なお、各データベースの性能の目安は、キーワードとして"myocardial infarction"（心筋梗塞）を使用した検索による結果を用いた。対象にしたデータベースは以下の６つ。 　・Computer Aid Learning (CAL) Reviews 　・Catalogue et Index des Sites Medicaux Francophones (CISMeF) 　・Diseases, Disorders and Related Topics (DDRT) 　・Medical Document Hunter (MedHunt) 　・HONSelect search engine 　・Organizing Medical Networked Information (OMNI) 結果 　ほとんどのデータベースは大学や図書館を背景に1990年代に始まり、国際的性格のWeb情報源の全てのタイプが含まれた。　CAL Reviews 以外のデータベースは、索引語としてMedical Subject Headings(MeSH)を使用していた。　１レコードの項目数は3〜19の間で様々であった。　検索画面の使用言語は大部分が英語であり、それらの一部では他言語での検索が可能である。検索試験ではOMNIとCISMeFとDDRTが高い結果を示した。 結論 　これらのデータベースはクイックレファレンスツールとして有効である。　また、それらの収録データはあまり重複しておらず、それぞれが互いに補完的に利用できる。　ただし、Web情報源の記述の標準モデルであるダブリンコアの要素の採用が低く、構造上の標準化が必要である。　そのため、選択基準や利用ガイドのわかりにくさと併せて、信頼性を妨げている。　今後これらのデータベースが継続していくための主な課題は、�@インターネットの不安定性、�A維持管理コスト、�B知名度の低さに伴う利用度の低さの３点が挙げられる。

類似引用文献を含む文献検索への論文構成の摘要：MEDLINEデジタルライブラリーにおける関連文献検索の向上における研究

Tbahriti I, Chichester C, Lisacek F, Ruch P. Using argumentation to retrieve articles with similar citations: An inquiry into improving related articles search in the MEDLINE digital library. Int J Med Inform. 2005 Sep 12; [Epub ahead of print] ［抄訳］(2006/02/12) 目的 　論文検索において引用文献を共有する論文同士の類似性を定義する手法を導入することにある。ここで描かれた手法は共引用を基礎とした類似論文検索の改善のために応用されている。 方法 　PubMedインターフェース上のMEDLINEによる「小活性ペプチド」に関する文献12,500のうち、フルテキストを有する3,200文献が選び、そこから引用リストを抽出した。　抄録を4つの論証部分、「目的」、「手法」、「結果」、「結語」、の論理的グループに区切り、4つの論証部分の比重を調節する。 結果 　引用リストの分析から、引用数の多い一群においては、平均以上の共引用をもつことが分かった。文献検索に最も有効な抄録部分は「目的」、ついで「結果」の部分であった。「目的」の部分だけで65％、「結果」の部分だけで56％の文献検索が可能であった。「目的」部分と「結果」部分のかけあわせにより、さらに5.48％の検索の向上がみられた。 結論 　「目的」や「結果」のセグメントに負荷を与える手法により、類似文献を検索することができた。引用文献については、単に事実の列挙としての引用と、論文内容の核心部分である引用があるが、本論文ではその区別を行わなかったが、今後の課題となるであろう。現在、論文間の論理的矛盾を発見するツールを開発している。デジタルライブラリーやウエブリポジトリーでも引用のネットワークを確認することができた。ウエブ独自の引用ネットワークが論理的関連を示唆している。

MEDLINEにおける使用言語と出版国の優位傾向とその要因

Loria A, Arroyo P. Language and country preponderance trends in MEDLINE and its causes. J Med Libr Assoc. 2005 Jul; 93(3): 381-5. ［抄訳］(2005/08/06) 目的 　34年間分のMEDLINEに収録文献を使用言語と出版国で分類した。 方法 　1966年及び、1970年から2000年は5年おきにMEDLINEの雑誌文献を、出版国（アングロサクソン圏／非アングロサクソン圏）と使用言語（英語／非英語）に分類した。　英語を話す８ヶ国をアングロサクソン圏と見なした。　文献数対時間の線形回帰分析を行った。 結果 　全体の文献数は１年当たり8,142件枚の割合で直線的に増加していた。　アングロサクソン圏と英語の文献も直線的に増加していた（各6,740件／年、9,199件／年）。　英語の増加の25%（2,438件／年）は非アングロサクソン圏の雑誌が占めた。　非英語文献だけは、年1,056件の割合で減少していた。　このような傾向は、MEDLINEでの英語とアングロサクソン圏の文献の圧倒的なシェアにつながった。　2000年には、全文献の68%がアングロサクソン圏の８ヶ国での出版であり、90%は英語で書かれた。 結論 　アングロサクソン圏と英語の優位は、少なくとも2つの現象の結果であると思われる：　(1)MEDLINE及び非アングロサクソン圏の雑誌の編集方針の変化、 (2)非アングロサクソン圏である第三世界の研究者に影響を及ぼす因子（出版制限、移住、補助金不足）。 　これらの仮説についてはさらに検証が必要である。

EMBASEで臨床的な予後の研究を検索するための最適の検索戦略：分析的調査

Wilczynski NL, Haynes RB. Optimal Search Strategies for Detecting Clinically Sound Prognostic Studies in EMBASE: An Analytic Survey. J Am Med Inform Assoc. 2005 Jul-Aug; 12(4): 481-5. Epub 2005 Mar 31. ［抄訳］(2005/07/17) 背景 　EMBASEの臨床現場の利用者は、科学的に十分で、直接診療に関連する文献を検索する時間を持つのが難しい。　そのような利用者の検索を成功させるための検索フィルターを開発した。　MEDLINEの治療や総説の文献のためには多くのフィルターが開発されているが、EMBASEに関してはわずかであり、予後の研究についてはまったくない。　本研究の目的は、様々な方法論的な自由語、索引語、それらのブール演算の組み合わせがEMBASEでどれくらい疾患の予後に関する方法による文献を検索するか確定することである。 方法 　4,843語の検索用語候補と8,919通りの組み合わせをEMBASEの検索で行い、55誌の雑誌のハンド・サーチと比較する分析的調査を行った。　全ての文献について、目的と質について評価し、臨床的に予後に関連した文献を科学的長所の明確な基準をに合うか合わないかで分類した。　候補の検索戦略をEMBASEで実行し、ハンド・サーチの結果と比較した。　検索戦略の感度、特異度、精度、正確性を算出した。 結果 　予後に関する1,064件の文献のうちの148件（13.9%）は、科学的な長所の基本的基準を満たした。　検索用語の組み合わせは、最高で98.7%の感度を50.6%の特異度で示した。　最高の単一検索用語と比較して、最高の複合検索語は感度が12.2%高いが（絶対増加）、その際の特異度は低かった（絶対減少は5.1%）。　検索用語の組み合わせでは、最高で93.4%の特異度を50.7%の感度で示した。　最高の単一検索用語と比較して、最高の複合検索語は特異度が7.1%高いが（絶対増加）、その際の感度は低くなった（絶対減少は8.8%）。 結論 　索引語と自由語を組み合わせる経験的に考え出された検索戦略は、EMBASEからの予後に関する研究の検索に高い感度や特異度を達成することができた。

Medlineで治療に関する科学性の高い研究を検索するための最適な検索戦略：分析的調査

Haynes RB, McKibbon KA, Wilczynski NL, Walter SD, Werre SR; Hedges Team. Optimal search strategies for retrieving scientifically strong studies of treatment from Medline: analytical survey. BMJ. 2005 May 21; 330(7501): 1179. Epub 2005 May 13. ［抄訳］(2005/05/28) 目的 　疾患の治療や予防に関する臨床研究を検索するための、Medlineの最適の検索戦略を開発・検証すること。 デザイン 　分析的調査。 調査対象 　2000年にMedlineに収録された161タイトルの臨床雑誌。 主な検証基準 　4,862語の18,404通りの組み合わせによる感度、特異度、精度、正確度。 結果 　治療に関する6,568件の文献のうちの1,587件（24.2%）だけが、テスト臨床的介入の基準を満たした。　検索用語の組み合わせは、特異度で最大70.4%（95%信頼区間：70.9%−69.8%）、感度で最大99.3%（95%信頼区間：99.8%−98.7%）を示した。　最適の１語での検索と比較して、用語の組み合わせによる検索では感度は最大で4.1%増加したが、感度が最大となる検索では特異度は相当に低くなる（絶対較差23.7%）。　特異度が最大になる用語の組み合わせでは97.4%（95%信頼区間：97.3%−97.6%）に達し、最適な１語での検索（特異度97.6%，95%信頼区間：97.4%−97.7%）とほぼ同じ特異度を示した。　今回の調査では、他の調査結果により検索戦略よりも特異度はやや高いが感度は低いものだった。 結論 　今回報告した新しい検索戦略は、疾患の治療や予防に関する質の高い臨床研究を報告する文献をMedlineから検索するのに最適であることが確認された。

EMBASEで臨床予測研究を検索するための最適検索戦略

Holland JL, Wilczynski NL, Haynes RB; Hedges Team. Optimal search strategies for identifying sound clinical prediction studies in EMBASE. BMC Med Inform Decis Mak. 2005 Apr 29; 5(1): 11. ［抄訳］(2005/07/07) 背景 　臨床予測ガイドは、治療結果に関する診断や予後や判断を形成する際に考慮するべき患者の臨床所見の特殊な要素を示すことによって臨床医を援助するものである。　医学文献における検証された臨床予測ガイドの数は増得てきているが、巨大な生物医学データベースからそれらを検索することには問題があり、医療におけるそれらの理解にとって障害となっている。　そこで、EMBASEから経験的に調べられた臨床予測ガイドの検索のために、検索戦略（"hedges"）の組織的な開発を行った。 方法 　今回実施した分析調査は、2000年に出版された55誌で識別される全27,769件の文献をサンプルに用いて、ハンドサーチによるゴールド・スタンダードに対してEMBASEで実行した検索戦略の検索性能を試験した。　全ての文献は、オリジナル研究、総説、一般論文、症例報告に分類された。　そして、オリジナル研究と総説は、臨床予測ガイドと他の臨床主題について、方法論的な正確性によって『合格』と『失格』にタグ付けされた。　臨床予測ガイドについて表す検索用語は、機関内と、臨床医や図書館員、専門検索者への依頼によって集められた索引語とテキスト語から選択した。　単一語や複合語から成る合計36,232の検索戦略は、臨床予測研究の検索のために検証された。　検索戦略の感度と特異度と精度と正確性が最高のものを特定するためにそれぞれ計算された。 結果 　163件の臨床予測研究が検索され、そのうち69件（42.3%）は科学的長所の基準を満たした。　3語による検索戦略は、91.3%の感度と90.2%の特異度で最適だった。　より高い感度（97.1%）は別の3語による検索戦略で示されたが、特異度は16%低下した。　最高の特異度（98.8%）は2語による検索戦略で示されたが、感度は60.9%までかなり低下を示した。　全ての単一用語による検索戦略は、2語と3語による検索戦略よりよい結果は示さなかった。 結論 　EMBASEからの臨床予測研究の検索は、いくつかの検索戦略によって実現することができる。

経口避妊薬の副作用に関する観察研究のための検索の感度を制限する選択的な曝露の報告とMedlineの索引

Wieland S, Dickersin K. Selective exposure reporting and Medline indexing limited the search sensitivity for observational studies of the adverse effects of oral contraceptives. J Clin Epidemiol. 2005 Jun; 58(6): 560-7. Epub 2005 Apr 18. ［抄訳］(2005/06/03) 目的 　経口避妊薬と乳癌及び副作用の関係性に関する観察研究を識別するためのできるだけ感度と精度の高いMedline検索の方法の開発。 研究デザイン 　経口避妊薬と乳癌発生の関係に関する1996年のシステマティック・レビュー58件の報告を含むゴールド・スタンダードについて、Medlineの一連の検索結果を比較した。　感度（ゴールド・スタンダードのうち検索されたものの比率）と精度（検索結果がゴールド・スタンダードに含まれる比率）を、各Medline検索について計算した。 結果 　検索を経口避妊薬に関係のある用語によって制限しないときは、58件の文献すべてが検索されたが、精度は1%未満だった（6,120件中58件）。　経口避妊薬やホルモンが論題名や抄録（n=8）や本文中（n=2）で言及されないときは、索引に問題があった。 結論 　すべての関連研究を抽出する検索戦略は可能ではあるが実用的でなく、この結論をより一般化するための追加調査が必要である。　著者と編集者は行われたすべての介入と結果が報告し、索引作成者はそれらを確実に索引付けすることを、保証するべきである。　医学的介入に関連のある有害事象の研究の検索を保証するためには、観察研究の集中的な管理と実施されたすべての不確定要素について考慮されなければならない。

臨床医と研究者のための方法論的な診断研究を検索するためのEMBASEの検索戦略

Wilczynski NL, Haynes RB; Hedges Team. EMBASE search strategies for identifying methodologically sound diagnostic studies for use by clinicians and researchers. BMC Med. 2005 Mar 29; 3(1): 7. ［抄訳］(2005/07/30) 背景 　臨床医による正確な診断は、臨床介入の決定にとって必須である。　診断検査に関する研究による最新かつ最高のエビデンスは、科学の進歩によって予測がつかずに変化する。　臨床医も研究者も共に、診断の正確性に関わるエビデンスへのアクセスを必要とする。　EMBASEのような書誌データベースは、この文献が最も広く利用できる入口を提供する。　本研究の目的は、臨床医による利用のためにEMBASEから方法論的な診断研究の検索を最適化する検索戦略を開発することである。 方法 　4,843語の検索候補語と6,574通りの組み合わせによるEMBASEの検索と55誌の雑誌のハンド・サーチとを比較する分析的調査を行った。　全ての文献は目的と品質指標によって評価され、臨床に関連した診断の正確な文献は科学的な長所の明確な基準によって「合格」と「失格」とに分類された。　検索戦略候補をEMBASEで実行し、ハンド・サーチの結果と比較した。　文献の手作業によるレビューを「"gold standard"（ゴールド・スタンダード）」とみなし、考案した検索戦略を「"diagnostic tests"（診断検査）」として検証した。　この検索戦略について、感度、特異度、精度、正確性を計算した。 結果 　診断検査に関する433件の文献のうち、97件（22.4%）が科学的な長所の基本的基準を満たした。 検索語の組み合わせは、70.4%の特異度で100%の感度に達した。　最高の単一用語と比較して、最高の複合用語では、感度が8.2%高かったが（絶対増加）、感度最大時の特異度は下回った（絶対減少6%）。　特異度が最大となる用語の組み合わせよりも、"specificity.tw."の単一用語による検索の方が98.2%の特異度で上回った。 結論 　経験に基づいた索引語とテキスト用語を組み合わせる検索戦略は、EMBASEからの診断研究の検索について高い感度と特異度を示すことができた。　これらの検索フィルターは、臨床医の検索の労力を改善するものである。

オープン・アクセス出版の認識：著者へのインタビュー調査

Schroter S, Tite L, Smith R. Perceptions of open access publishing: interviews with journal authors. BMJ. 2005 Apr 2; 330(7494): 756. Epub 2005 Jan 26. ［抄訳］(2005/04/25) 目的 　オープン・アクセス出版と著者負担に対する著者の態度、著者に課金する雑誌についての彼らの理解、そのような雑誌に彼らが従う気があるかどうか、といった点について調査する。 デザイン 　準構造化された電話インタビュー。 参加者 　2003年にBMJに投稿した世界中の著者からランダムに選択された２３人。 結果 　調査対象となった著者らは、オープン・アクセス出版の概念と支払いモデルについて、以前の報告よりもよく知っていた。　ほとんどすべての著者らはオープン・アクセスの概念を支持したが、BMJ以外に、オープン・アクセスの雑誌に投稿したのは少数だった。　投稿しないことの理由には、オープン・アクセスでの雑誌出版の無認識や、オープン・アクセスの有効性よりも意思決定におけるより高い優先性持つ雑誌の質などが含まれた。　著者らは、制度上のサポートのない著者の費用負担を好まず、発展途上国の著者のための受入や研究助成のないことなどに関心を示した。　しかし、多くの著者らは、たとえ雑誌が著者に負担を強いたとしても、高品質であると認める雑誌への投稿を続けるだろうと答えた。 結論 　著者らは、どこに論文を投稿するべきかについて決めるとき、オープン・アクセスであることより重要な点として、雑誌の質を考えている。　オープン・アクセスの新しい雑誌は、それらの雑誌の質について著者を安心させるためにより努力する必要があるかもしれない。

PubMed収録誌で発表されるランダム化試験の疫学と報告

Chan AW, Altman DG. Epidemiology and reporting of randomised trials published in PubMed journals. Lancet. 2005 Apr; 365(9465): 1159-62. ［抄訳］(2005/04/15) 　ランダム化試験はevidence-based medicineにとって重要であるけれども、それらの全体的な特徴についてはほとんど何もわかっていない。 　我々は、PubMedに収録されている2000年12月に発表された519件のランダム化試験すべてについて、研究方法の詳細の疫学と報告を調査した（平行グループ383(74%)、クロスオーバー116件(22%)）。 　482件（93%）は専門雑誌で発表された。　80件の対象（百分位数10位〜90位、25〜369）の中央値は、平行グループ試験に含まれた。　309件（60%）は盲検化されたものだった。 　パワー計算、主要アウトカム、ランダム系列生成、割付秘匿、脱落の扱い、について適切に記載されていたのは全体の半分以下であった。 　少ないサンプル・サイズは悩ましく、方法論的特徴の報告が十分でないものは、多くの発表された試験の質の評価を妨げとなる。

Medlineからシステマティック・レビューを検索するための最適の検索戦略：分析調査

Montori VM, Wilczynski NL, Morgan D, Haynes RB; Hedges Team.Optimal search strategies for retrieving systematic reviews from Medline: analytical survey. BMJ. 2005 Jan 8; 330(7482): 68. Epub 2004 Dec 24. ［抄訳］(2005/03/30) 目的 　Medlineでシステマティック・レビューを検索するために最適の検索戦略を開発すること。 デザイン 　分析的調査。 元データ 　Medlineに収録される2000年に発行された雑誌161誌。 主な結果評価 　4,862語のキーワードについて1語から5語の782,485通りの組み合わせによるシステマティック・レビュー検索の感度、特異度、精度を、2000年に出版された雑誌161誌のすべて論文（49,028件）をハンドサーチしたもの（基準）と比較によって調査した。 結果 　49,028件の文献のうちの753件（1.5%）だけが、システマティック・レビューであった。　最も感度が高い検索戦略では、5つのキーワードを含み、99.9%の感度（95%信頼区間：99.6%-100%）と52%の特異度（95%信頼区間：51.6%-52.5%）を示した。　感度と特異度の間で最も較差が最小になる検索戦略では、98%の感度（95%信頼区間：97%-99%）と90.8%の特異度（95%信頼区間：90.5%-91.1%）を示した。　複数のキーワードによる検索戦略の最も高い精度（57%，95%信頼区間：54%-60%）は、71%の感度（95%信頼区間：68%-74%）を示した。　"cochrane database of systematic reviews.jn."は、最も正確な単一キーワードによる検索戦略であった。感度：56%（95%信頼区間：52%-60%），精度：96%（95%信頼区間：94%-98%）。　これらの検索戦略は、OVID版Medlineの検索システムのLimits機能で利用可能である。 結論 　Medlineでのシステマティック・レビューの検索において、経験的な検索戦略を用いることで、完全に近い感度や特異度または高い精度の検索を行うことは可能である。

PubMedのランダム化試験でのアウトカム報告バイアスの識別：文献レビューと著者調査

Chan AW, Altman DG. Identifying outcome reporting bias in randomised trials on PubMed: review of publications and survey of authors. BMJ. 2005 Jan 28; [Epub ahead of print] ［抄訳］(2005/03/19) 目的 　発表されたランダム化試験のコホートにおけるアウトカム報告のバイアスの性質と範囲の調査。 デザイン 　文献の遡及的レビューと著者の追跡調査。 コホート 　原文献が2000年12月に発表されたPubMedに収録されたランダム化試験の全ての雑誌文献。 主なアウトカム評価 　試験毎の不完全に報告されたアウトカムの比率； アウトカムを報告しない理由；　報告の完全性と統計的有意性の間の関連。 結果 　553件の文献の519の試験と10,557のアウトカムが検索された。　調査に回答した著者（回収率69%）からは、報告されてないアウトカムに関する情報が得られたが、それらはあまり信頼できなかった（そのようなアウトカムの存在を否定した32%は、それらの文献中に反対のエビデンスがあった）。　平均して、平行グループの試験で測定されるアウトカムの20%以上が不完全な報告だった。　試験内において、そのようなアウトカムは、十分に報告されたアウトカムに比べて、統計学的に意味がない確率が高かった（有効性のアウトカムのオッズ比2.0（95%信頼区間1.6-2.7）；有害性のアウトカムのオッズ比1.9（95%信頼区間1.1-3.5））。　有効性のアウトカムを省略する理由で最も一般的なものは、スペースの制約、臨床的重要性の欠如、統計的有意性の不足などだった。 結論 　ランダム化試験の文献中でのアウトカムの不完全な報告は、一般的で、統計的にも有意性がない。　したがって、医学文献は、研究のアウトカムの選択的で偏ったサブセットを報告し、試験プロトコールは公的に利用可能にされなければならない。

看護の質的なシステマティック・レビューのための文献検索にはMEDLINEとCINAHLが必要である

Subirana M, Sola I, Garcia JM, Gich I, Urrutia G. A nursing qualitative systematic review required MEDLINE and CINAHL for study identification. J Clin Epidemiol. 2005 Jan; 58(1): 20-5. ［抄訳］(2005/03/09) 目的 　看護関係のシステマティック・レビューを行うために、CINAHLとMEDLINEとEMBASEから検索される文献の件数と関連性を分析する。 研究デザイン 　レビューの主題のための検索戦略は、シソーラス用語によって立てた。　本研究では（１）抄録付きの文献、（２）データベース間の重複、（３）文献の関連性、（４）専門家による関連性の一致率、（５）文献のアクセス性についてを分析する。 結果 　書誌検索では、232件の文献が検索された：CINAHL：16%（37件）、MEDLINE：68%（157件）、EMBASE：16%（38件）。　これらのうち、72%（164件）は、抄録が付いていた：CINAHL：14%（23件）、MEDLINE：70%（115件）、EMBASE：16%（26件）。　重複は、2%(5件)の文献について見られた。　関連性の評価では、該当文献は43件（19%）まで減少した：CINAHL：12件（34.3%）、MEDLINE：31件（19.7%）、EMBASE：0件（Z=-1.97; P=.048）。　専門家の間での一致率は、コーエンのカッパ係数で最大0.76（P値<.005）を示した。　CINAHLで検索された文献は、最も入手が困難であった（chi(2)=3.9; df=1; P=.048）。 結論 　看護関係の主題についてシステマティック・レビューのために質のよい文献検索を行うためには、CINAHLとMEDLINEは、検索の正確性を最大にするための必須のデータベースである。

MEDLINE中の医療サービス研究を見つけるための最適な検索戦略

Wilczynski NL, Haynes RB, Lavis JN, Ramkissoonsingh R, Arnold-Oatley AE; HSR Hedges team.Optimal search strategies for detecting health services research studies in MEDLINE. CMAJ. 2004 Nov 9; 171(10): 1179-85. ［抄訳］(2004/12/14) 背景 　医療サービス研究（HSR）によるエビデンスは、現在多くの雑誌を通して広汎に広がっており、医療サービス研究者や管理者、政策立案者が診療ガイドラインについてその適切性、過程、結果、コスト、医療サービスの経済性に関する研究を見つけることを困難にしている。　本稿では、最低限の品質を満たすMEDLINEデータベース中のHSR文献について、検索用語を調査、検証する。 方法 　MEDLINEでの7,445の方法論的な検索語および句の検索性能（試験）を、68誌の2000年に発行された各号（計25,936文献）について、ハンド・サーチで見つけた文献（ゴールド・スタンダード）と比較した。　MEDLINEの検索戦略の感度と特異度と精度（陽性適中率）を算出した。 結果 　結果アセスメント（outcome assessment）として分類された、他の半分よりやや少ない大多数の文献は、方法論的にに許容範囲であると見なされた（コスト研究には方法論的基準は適用しなかった）。　特異度が50%以上の範囲内で感度を最大にするための個々の検索用語の組み合わせは、いくつかのカテゴリーで88.1％から100％の感度を示した（特異度は52.9%から97.4%）。　感度が50%以上で特異度を最大にするために用語を組み合わせると、88.8%から99.8%の特異度が示された。　2つの測定結果の較差が最小で、感度と特異度が最大になるための用語の組み合わせは、ほとんどのHSRカテゴリーのための戦略で、少なくとも80%の感度と特異度を示した。 考察 　感度と特異度の高い検索戦略は、MEDLINEからHSR文献を検索するのに有効であることが確認された。 　これらの戦略は、米国米国医学図書館のWebサイト（www.nlm.nih.gov/nichsr/hedges/search.html）で利用可能である。

専門用語による一般市民の検索質問の改善：パイロット研究

Plovnick RM, Zeng QT. Reformulation of consumer health queries with professional terminology: a pilot study. J Med Internet Res. 2004 Sep 3; 6(3): e27. ［抄訳］(2006/05/21) 背景 　インターネットは、医学情報検索者にとって益々重要な情報源になっている。　しかし、一般市民は効果的な検索戦略をあまり行っていない。　質問の改善は、一般市民の検索の効果を改良する1つの可能な介入である。 目的 　この調査では以下の問題を検証しようとしたものである：「Unified Medical Language System (UMLS)のMetathesaurusによって参照された用語で一般市民の検索質問を改善することは、よりよい検索結果をもたらすかどうか？」 方法 　UMLS Metathesaurus用語にマッピングされる既知の結果（n=16）による一般市民作成による検索質問を、サンプルとして検証した。　一般市民が入力した用語はMetathesaurusで参照された同義語（n=18）に置き換えられ、検索質問が改善された。　検索（n=36）は、一般市民向け情報サイトと一般の検索エンジンを使用して実行された。　オリジナルと改善された検索質問の性能を比較するために、上位30の精度を指標として用いた。 結果 　42パーセントがオリジナルの検索質問より改善されたものによって検索されたもので、19%はより悪い結果を示し、残りの39%は変わらなかった。　このような検索性能の変化の理由として、あいまいな俗語、略語の詳述、不可解な専門用語が確認された。 結論 　俗語や省略形、頭字語を置き換えれば、精度が増加する傾向が見られる。　専門用語で検索質問を改善することは一般市民の情報検索を改善する有望な戦略であるかもしれないという質的根拠を得たが、実際には用語が誤って適用されるか不可解であればそのような機械的な改善によって検索結果がより悪くなることもあり得ることがわかった。

エビデンスに基づく二次的雑誌は、プライマリケア誌に掲載された臨床的に重要な文献については伝えているか？

McKibbon KA, Wilczynski NL, Haynes RB. What do evidence-based secondary journals tell us about the publication of clinically important articles in primary healthcare journals? BMC Med. 2004 Sep 6; 2(1): 33. ［抄訳］(2004/12/20) 背景 　ｉ）内科、一般・家庭医学、一般臨床看護、精神医学の領域で、質が高く、臨床的に関連性がある研究を雑誌が発表しているかどうか、ｉｉ）各雑誌での臨床的に関連性のある論文の比率、を決定するためにこの分析を行った。 方法 　2000年に発行された一般的医学・医療及び専門の雑誌170誌のハンド・サーチの結果を分析調査した。　調査は、診療への応用性の科学的な長所に関する明確な基準を用いて、個々の文献を評価した。　これらの文献の臨床的な重要性については開業医が評価した。　結果測定は、170誌に掲載された質と臨床関連性の高い研究の文献数、それらのうちから4つの専門分野の二次的「エビデンスに基づく」雑誌(ACP Journal Club for internal medicine and its subspecialties; Evidence-Based Medicine for general/family practice; Evidence-Based Nursing for general practice nursing; Evidence-Based Mental Health for all aspects of mental health)での掲載数で評価した。　オリジナル研究と総説は、以下の各目的別に分類された：治療、予防、スクリーニングと診断、予後、疫学、害、臨床予測指針、経済学とコスト、質的研究。 結果 　170誌の60,352件の文献を評価した。　質と臨床的関連性の高さの評価では、3,059件のオリジナル文献と1,073件の総説が基準を満たした。　ACP Journal Club (internal medicine)については、4誌から56.5%の文献を掲載し、残りの43.5%の文献を27誌から掲載していた。　Evidence-Based Medicine(general/family practice)では、5誌から50.7%の文献を掲載し、残りの49.3%は40誌から掲載した。　Evidence-Based Nursing (general practice nursing)では、7誌から51.0%の文献が掲載され、34誌から残りの文献49.0%が掲載された。　Evidence-Based Mental Health（mental health）では、9誌から53.2%の文献が掲載され、34誌から残りの46.8%が掲載されていた。　内科、一般・家庭医学、精神医学（一般臨床看護は除く）領域については、臨床的に重要な文献の数は、Science Citation Index（SCI）のインパクト・ファクターと相関関係にあった。 結論 　多くの臨床雑誌が質が高く、臨床的に関連性があり、重要なオリジナル研究やシステマティック・レビューを発表しているが、各分野とも多くの論文は一部の雑誌に集中していた。　この一部の雑誌は、分野によって様々であるが、本研究での全ての分野については重要な文献の多くは、専門雑誌や準専門雑誌よりもむしろ広範囲をカバーする医学雑誌で発行されていた。

Journal of Bone and Joint Surgeryアメリカ版の論文に対するエビデンス・レベルの適用に関する査読者間での合意

Bhandari M, Swiontkowski MF, Einhorn TA, Tornetta P 3rd, Schemitsch EH, Leece P, Sprague S, Wright JG. Interobserver agreement in the application of levels of evidence to scientific papers in the American volume of the Journal of Bone and Joint Surgery. J Bone Joint Surg Am. 2004 Aug; 86-A(8): 1717-20. ［抄訳］(2005/01/06) 背景 　2003年1月から、Journal of Bone and Joint Surgery のアメリカ版(JBJS-A)に掲載される全ての臨床論文は、エビデンス・レベルの評価が付けられている。　本研究では、これらの臨床試験のエビデンス・レベルの分類における、疫学的技量レベルの多様性による、査読者間での同意について評価することを目的とする。 方法 　JBJS-Aの2003年1月から6月までの目次の機械検索によって、51件の一連の臨床論文が検索された。　各論文の、タイトル、抄録（エビデンス・レベルの記述部を除く）、本文の方法部分だけが査読者にわかるように提供された。　論文は、コード化され、バインダーにランダムに組み合わされた。　コード化された各論文は6人の外科医によって以下の等級別に分類された。（1）試験のタイプ（治療試験、予後試験、診断試験、経済分析、意志決定分析）、(2)エビデンス・レベル（�T〜�Xの段階で）、（3）特定のエビデンス・レベルでのサブカテゴリー。　外科医のうち3人はJBJS-Aの編集委員であり、2人はJBJS-Aの査読者であり、残りの1人はJBJS-Aとは公式には何の関わりもない現役の研究者であった。　各査読者は分類方法に関する正式な訓練は受けなかったが、JBJS-Aで用いられている分類システムの詳細なマニュアルは与えられていた。　95%信頼区間による等級内相関係数は、査読者間における研究タイプ、エビデンス・レベル、そのサブカテゴリに関する合意によって決定された。 結果 　対象となった51件の文献の多く（69%）は、治療に関する研究であり、それらの57%はLevel-IVのエビデンスが認められた。　研究タイプ、エビデンス・レベル、そのサブカテゴリーに関する全査読者間の合意の等級内相関係数は、0.61から0.75までの値を示した。　全体的には、疫学的訓練を受けなかった査読者（分類内相関係数範囲:0.60-0.75）よりも、訓練を受けた査読者（分類内相関係数範囲:0.99-1.0）の方がより多くの合意を示した。 結論 　今回の結果から、疫学的訓練を受けた査読者と受けていない査読者は、エビデンス・レベルの指標を受け入れ可能な合意得た論文に適用できることが示された。　この分類システムの妥当性については、今後の調査が必要な疑問も残されている。

診療ガイドライン作成でのグループとしての判断の決定に関する実験的研究

Raine R, Sanderson C, Hutchings A, Carter S, Larkin K, Black N. An experimental study of determinants of group judgments in clinical guideline development. Lancet. 2004 Jul 31; 364(9432): 429-37. ［抄訳］(2004/09/27) 背景 　診療の質を改良するための臨床ガイドラインは、臨床の一部として定着してきた。　公称グループ法（nominal group technique）のような公式コンセンサス方法がガイドライン作成の一部としてしばしば用いられるが、公称グループによる声明に影響を与える要素については、研究エビデンスによる確実性においてほとんどわかっていない。 方法 　研究対象として、過敏性腸症候群、慢性疲労症候群、慢性腰痛のための認知行動療法、行動療法、小精神力動的人間関係療法、抗うつ薬療法を選択した。　一般医と専門医の混成グループと一般医だけのグループ、文献レビューの提供のあるグループとないグループなどの比較や医療資源の理想的水準や現実性のコンテキストにおける評価が可能な16の公称グループを設定した。　参加者は、それぞれ適切さを評価され、促進会議の後、再度評価された。　4つのグループ討議の録音テープも分析した。 結果 　研究エビデンスによる合意は、192のシナリオのうちの51%だった。　グループに文献レビューが提供される場合、エビデンスが臨床医の信念に合う場合、一般医のみの場合に、より合意がありえるように思われた。　利用可能な資源のレベルに関する前提には影響はなかった。　研究エビデンスにかかわりなく、臨床的社会的きっかけが複雑に影響している。　定性分析では、研究エビデンスに関する臨床経験と信念による影響の緩和が見られた。 考察 　ガイドラインは単にデータだけに基づくことはできず、判断が避けられない。　公称グループ法は、透明で構造化されたやり方で、判断を引き出し、集める方法であり、専門家間の合意レベルに関する重要な情報を提供できる。　しかし、結論は発表されている文献と争うこともあり、その場合は、判断の理由を明確にする必要ことが必要である。

健康人の睡眠に関する研究をMEDLINEで検索するためのMedical Subject Headingsと自由語を使った検索の比較

Jenuwine ES, Floyd JA. Comparison of Medical Subject Headings and text-word searches in MEDLINE to retrieve studies on sleep in healthy individuals. J Med Libr Assoc. 2004 Jul; 92(3): 349-54.. ［抄訳］(2004/07/10) 目的 　MEDLINEから健康な人々の睡眠に関する記述情報を含む基礎研究報告の検索において、2つの検索戦略の効果を調査することが目的である。 方法 　１つははMedical Subject Headings（MeSH）だけを用いる検索戦略（MeSH検索）、もう１つは自由語による検索に基づく検索戦略（テキスト検索）という２つの検索戦略は、ハンドサーチによって事前に選んだ1996年から2001年までSleep誌に掲載された関連研究論文の検索での特異度と感度によって評価した。 結果 　MeSH検索は、テキスト検索より特異度は高かったが（それぞれ66%、47%）、感度は低かった（MeSH検索78%に対し、テキスト検索88%）。　それぞれの検索戦略では、特有の関連性のある検索結果がもたらされた。 結論 　2つの検索戦略は、互いを補完していて、網羅的な検索のためには一緒に用いられるべきである。　MeSH用語の組み合わせでは、関連文献の広範囲で合理的に正確な検索を提供することができなかった。　自由語での検索にはMeSH検索に相当する感度と特異度があった。　さらに、検索の最後で「normal(正常)」「healthy(健康な)」「control(管理)」といった自由語をタイトルや抄録に含むものに限定することは、いずれの検索戦略でも特異度を上げる効率的な方法であった。

MEDLINEで臨床関連の質的研究を検索するための最適な検索戦略の開発

Wong SS, Wilczynski NL, Haynes RB. Developing optimal search strategies for detecting clinically relevant qualitative studies in MEDLINE. Medinfo. 2004; 2004:311-6. ［抄訳］(2005/01/14) 背景 　エビデンスに基づいた診療体制における質的研究に対する関心の高まりにより、質的研究の検索を強化する正確な検索戦略の必要性も高まっている。　これまで質的研究を検索するための最適な検索フィルターを開発する研究はほとんど行われてこなかった。　本研究は、質的研究を含めるための最適の検索戦略の開発に関する筆者らの以前の研究を発展させたものである。 目的 　MEDLINEに収録される2000年に発表された臨床関連の質的研究を見つけるための最適な検索戦略の開発。 デザイン 　医学分野のコアジャーナル161誌の2000年に発行された各号について、手作業での調査（「ゴールド・スタンダード」）とMEDLINEでの方法論的な検索戦略の成績の比較。 方法 　集中的に調整、訓練を受けた6人の経験豊かな研究補助員によって、2000年に発行された161誌の全ての号を調査した。　各文献は、「形式」（オリジナル研究、レビュー文献、通常文献、症例報告のどれか）、「内容」（人間の医療にとって重要かどうか）、「目的」（治療、診断、予後、因果関係、経済学、コスト、臨床予測のどの範疇に入るか；質的性格に関するもの、あるいは他のことに関するものであるか）の３つに系統的に分類された。　検索戦略は、質的研究を含む全ての目的カテゴリーに対して開発された。 主な結果測定 検索語の単独と組み合わせの、感度（再現率）、特異度、精度、正確度。 結果 　MEDLINEからダウンロードしたデータとハンドサーチによるデータのマッチングによって49,028件の文献が検索され、そのうち366件（0.75%）が質的研究に分類された。　検索語の組み合わせは、最大で95%の感度を示した。　最良の単一用語と比較して、ある３語による検索戦略が質的研究の検索の感度を23.6%（絶対増加）増加させたが、最大の感度では特異度が損われた。　検索語が最適な感度と特異度の組み合わせとなる場合、それぞれの数値は最大で90%を超えた。 結論 　MEDLINEでの質的研究の検索において、いくつかの検索戦略で高い性能を示すことができた。

臨床疑問を解決するオンライン・エビデンスの効用の臨床医の評価

Magrabi F, Westbrook JI, Coiera EW, Gosling AS. Clinicians' assessments of the usefulness of online evidence to answer clinical questions. Medinfo. 2004; 297-300. ［抄訳］(2004/09/16) 　日常の臨床業務でオンライン・エビデンス検索システムを利用している家庭医の経験について調査した。 　彼らの臨床の疑問に答えるオンライン・エビデンスの効用に関する参加者の評価は、以下の３つのフィードバック・チャネルを使って決定した：試験中の任意のオンライン・フィードバック;特定のオンライン・エビデンス検索の間の無作為のフィードバック;試験後の反応。 　ウェブ・ログの分析によると、検索結果は実行した検索と開いた文献の数に関する検索パターンに関係していた。 　大多数の臨床医の検索は患者のケアに関するもので、検索された情報はこれらの疑問の解決に役立つと評価された。 　平均的な臨床医は１つの臨床の疑問につき、２つの検索を行い、１つの文献を見ていた。 　臨床の疑問への『完全な解答』ができた検索は、わずかだった。 　３つのフィードバック・チャネルでは、一貫した全体的な結果以外の異なる情報が提供された。 　オンライン・エビデンス利用の臨床医の評価は検索パターンに関連し、オンライン・フィードバックはシステムの効果を測定することに役立つが示された。

エビデンスに基づく診療のための主要な精神医学雑誌の評価

Shumway M, Sentell TL. An examination of leading mental health journals for evidence to inform evidence-based practice. Psychiatr Serv. 2004 Jun; 55(6): 649-53. ［抄訳］(2005/02/15) 目的 　本研究では、エビデンスに基づく診療を知らせるために必要なデータが主要な精神医学雑誌に見つかるかどうか調べた。 方法 　12の主要な精神医学雑誌に1999年に発表された文献について、臨床介入を評価しているか、厳正な研究デザインを使用しているか、日常の診療状況で行われているか、明確な診断群と異種の対照群を含めているかどうかを調査した。 結果 　調査した1,076件の文献のうち27パーセント（N=295）は、介入を評価した調査だった。　これら295件の文献のうち、64パーセントは薬理学的介入を、33パーセントは心理社会学的または精神療法学的介入を評価したものだった。　介入を評価した文献のうち、60パーセントはランダム化された研究デザインが述べられていたが、サンプル数は多くなく、25パーセントは31人以下の参加者の報告だった。　295件の文献のうち、84パーセントは特定の精神医学の状況において実施された研究であり、一般的な診療状況である、公衆精神医学やマネージド・ケア環境で行われた研究はわずかであった（4パーセント）。　大部分のサンプルは診断的に明確だったが、精神分裂病と気分障害以外の診断のための治療のエビデンスは限られたものであった。 結論 　このシステマティック・レビューでは、エビデンスに基づく診療を知らせ、進めるために必要なデータの優れたメディアが主要な雑誌であることは示されなかった。　調査した研究の４分の１だけが臨床介入を評価し、薬理学的介入を報告した文献は心理社会学的や精神療法学的介入を報告した文献の２倍発表されていた。　厳正な研究デザインの点では優れていたが、サンプル・サイズはささやかだった。　日常の診療環境での治療効果について、エビデンスは不足していた。

MEDLINEで臨床的な予後の研究を見つけるための最適の検索式の開発：分析調査

Wilczynski NL, Haynes RB; The Hedges Team. Developing optimal search strategies for detecting clinically sound prognostic studies in MEDLINE: an analytic survey. BMC Med. 2004 Jun 9; 2(1): 23. ［抄訳］(2004/07/14) 背景 　臨床現場のMEDLINE利用者には、科学的で臨床に直接関連する文献を検索するのが困難な場合がある。　利用者の検索の成功率を高めるために検索フィルターが作製されてきた。　多くの検索フィルターは治療法やレビューに関する文献を対象にしているが、予後に関してはほとんど作製されていない。　本研究の目的は、様々な方法論的自由語（テキスト語）やMeSH（Medical Subject Headings）用語とそれらのブール演算での組み合わせが、MEDLINEでどれくらいよく健康障害の予後に関する方法論的な文献を検索することができるかを調べることである。 方法 　分析調査を行い、検索のための候補語と組み合わせによるMEDLINE検索と雑誌のハンド・サーチとを比較した。　6人の研究協力者によって、2000年に出版された161誌の雑誌全ての号を閲覧した。　全文献を目的と質を表す指標を使って評価し、臨床に関連のある原著論文、総説、一般文献、症例報告に分類した。　そして、原著と総説は、予後とその他の臨床トピックスにおける方法論的正当性について、「合格」と「失格」とに分類された。　候補語による検索戦略を予後のために作製し、MEDLINEで実行し、ハンド・サーチによるデータと比較した。　検索戦略の感度、特異度、精度、正確性を計算した。 結果 　予後として分類された文献の12%は、臨床応用を調べる科学的長所の基本的基準を満たした。　用語の組み合わせは、最高で90%の感度に達した。　最適な単一の検索語と比較して、複数の検索語は感度を25.2%増加し（絶対的な増加）、特異度も増加したが、感度が最大になるのは非常に少なかった（1.1%）。　感度と特異度の両方を最適化する用語の組み合わせは、感度と特異度のそれぞれのほぼ83%を示した。 結論 　経験的に導かれた索引語と自由語の組み合わせによる検索戦略は、MEDLINEで予後に関する文献を検索する際に高い感度と特異度を達成することができる。

インパクトの倍化：整形外科学雑誌のシステマティック・レビューの出版

Bhandari M, Montori VM, Devereaux PJ, Wilczynski NL, Morgan D, Haynes RB; The Hedges Team. Doubling the impact: publication of systematic review articles in orthopaedic journals. J Bone Joint Surg Am. 2004 May; 86-A(5): 1012-6. ［抄訳］(2005/02/11) 背景 　研究者は、自分の所見をできるだけ広く読んもらうために、主要な雑誌に研究を発表しようとする。　文献のシステマティック・レビューは、現在提唱されているエビデンスの階層において最も高い位置を占める。　この調査では、主要な整形外科学の雑誌に発表されたシステマティック・レビュー（またはメタ・アナリシス）の引用回数（科学者の関心度）が、同じ雑誌で発表される叙述的レビューの引用回数より大きいのではないかと仮定した。 方法 　整形外科関係の各専門分野でScience Citation Indexのインパクト・ファクターが高く、科学的成果と臨床関連性が大きい研究とレビューが掲載されていると思われる雑誌１５誌を選んだ。　6人の仲間が１５誌の2000年に掲載された各文献について、科学的かどうか（正確かどうか）を方法論的基準によって検証した。　対象となった3916件の文献のうち、2331件は原著論文かレビュー論文だった。　2003年3月、ISI社のWeb of Scienceを使って、叙述的レビューとシステマティック・レビューの両方を発表している全ての雑誌のレビュー論文について、それぞれのその後の引用回数を確認した。 結果 　１５誌に2000年に発表された2331件の文献のうち、110件がレビュー論文であった。　110件のレビュー論文のうちの17件（15%）だけが、我々の基準での正確なシステマティック・レビューと言えた。　正確なシステマティック・レビューは、その他のシステマティック・レビューや叙述的レビューと比較して、平均２倍の引用を受けていた（13.8：6.0、p値 = 0.008）。　レビューの正確性は、他の整形外科学雑誌の引用回数を有意に予測した（p値 = 0.01）。　さらに、正確性は整形外科学以外の雑誌の引用回数とも有意な関係があった（p値 = 0.03）。 結論 　これらの発見は、方法論的正確性のための標準ガイドラインによって、雑誌編集者と著者がそのレビュー論文において、関連性と学術的関心（引用回数によって示される）を改善しうることを示唆している。

Medlineから診断に関する科学的な研究を検索するための最適な検索戦略：分析的調査

Haynes RB, Wilczynski NL. Optimal search strategies for retrieving scientifically strong studies of diagnosis from Medline: analytical survey. BMJ. 2004 May 1; 328(7447): 1040. Epub 2004 Apr 08. ［抄訳］(2004/07/30) 目的 　健康障害の診断に関する臨床研究を検索するためにMedlineで最適の検索戦略を開発すること。 デザイン 　分析調査 対象 　2000年に発行された170誌のうちMedlineに収録された161誌。 主な検証点 　17,287通りの組み合わせでの4862の用語の感度、特異度、精度（陽適中率）、正確性について、2000年発行の161誌に掲載されたすべての論文（49,028文献）のハンド・サーチ（「ゴールド・スタンダード」）の結果との比較により調査した。 結果 　診断検査に関する778文献のうち147件（18.9%）だけが、科学的有意の基準を満たした。　検索語の組み合わせは、最高で98.6%の感度を74.3%の特異度において示した。　最適な単語と比較して、最適なの複合語は感度を6.8%増加させ（単純増加率）、感度が最大な場合に特異度も増加させた（単純増加率6.0%）。　検索語を特異度を最大とするように組み合わせた場合、単語でspecificity.tw.とする検索の方が組み合わせ検索を上回る（98.4%）。　本研究では、感度がわずかに高く（99.3%対98.6%）特異度が低い（54.7%対74.3%）一つの検索戦略を除いて、これまでの他の検索戦略より性能が優れた新しい方法を報告している。 結論 　Medlineでの新しい経験的な検索戦略は、診断に関する質の高い臨床研究を報告している文献の検索を最適化することが可能である。

西欧にとっての隠れたエビデンス：日本の雑誌に報告された敗血症と全身炎症反応症候群に関する多機関共同ランダム化比較試験

Bellomo R, Uchino S, Naka T, Wan L. Hidden evidence to the West: multicentre, randomised, controlled trials in sepsis and systemic inflammatory response syndrome in Japanese journals. Intensive Care Med. 2004 May; 30(5): 911-7. Epub 2004 Mar 30. ［抄訳］(2004/11/19) 目的 　全身炎症反応症候群（SIRS）と敗血症に関して日本で行われ、日本語で発表され、英語の医学データベースには収録されていない複数機関でのランダム化比較試験（MC-RCTs）の評価。 デザイン 　方法論的レビュー。 主題 　SIRSと敗血症に関する全ての日本のRCT。 介入 　日本の電子図書館を使った文献の検索。　Methodological Quality Assessment Scoreの修正版とCONSORTのチェックリストを使った研究デザインと報告の質に対する批判的分析。 結果 　3つのMC-RCTsが検索された。　一つ目は、敗血症性ショックの患者147人に対する、メチルプレドニソロン（1000 mg i.v.）とプラシーボによるランダム化試験。　二つ目は、SIRSによる急性肺障害の患者221人に対する、毎時0.20mg/kgと毎時0.004mg/kgのsivelestatによるランダム化試験。　三つ目は、504人の患者に対する、免疫グロブリン（3日間で5g）と対照群とにランダム化した試験。　研究デザインの質の平均点は、同じような欧米の試験よりも高かった。　報告の質（CONSORTチェックリスト）は、同じ期間に発表された欧米の研究と同程度だった。 結論 　比較的多くの日本の救命救急の臨床試験から得られる情報は、質の高い研究デザインにも関わらず、英語圏の研究者には広く利用されておらず、そのため、メタ・アナリシスでは無視されている。

Journal of Music Therapyに発表された文献に関するPubMed/MEDLINE、Ingenta、Music Therapy World Journal Indexを使った検索

Gilbertson SK, Aldridge D. Searching PubMed/MEDLINE, Ingenta, and the Music Therapy World Journal Index for articles published in the Journal of Music Therapy. J Music Ther. 2003 Winter; 40(4): 324-44. ［抄訳］(2005/04/05) 　本研究の目的は、2002年12月以前にJournal of Music Therapy誌に発表された論文に関して、PubMed/MEDLINEとIngentaデータベースと実際に発表されたものを比較することである。 　この比較のために、我々は選択した音楽療法に関する雑誌の完全な索引を含む、Music Therapy World Journal Indexと称する新しいデータベースを作成した。　Journal of Music Therapyで1964年以降に発表されたすべての文献がこのデータベースに収録されている。 　調査の結果、PubMed/MEDLINEで検索されなかった多数の文献を認めた。　Journal of Music Therapyおよび、音楽療法の臨床応用性や研究の領域において発行された文献の量の両方を代表するものがなかった。　Ingentaデータベースは総合的であるが、古い年代の収録範囲において限界があった。 　文献の総合的調査を行うためには、完全性の明確なレベルを保証するMusic Therapy World Journal Indexのような専門的なデータベースを参照することが必要である。

システマティック・レビュー：発表場所と引用回数に関する横断研究

Montori VM, Wilczynski NL, Morgan D, Haynes RB; Hedges Team.Systematic reviews: a cross-sectional study of location and citation counts. BMC Med. 2003 Nov 24; 1(1): 2. ［抄訳］(2005/02/01) 背景 　システマティック・レビューとは、定義された医療の疑問に関してすべての関連するエビデンスを要約したものであり、臨床科学者の研究や臨床医の最新知識の維持を直接的に助ける。　本研究の目的は、システマティック・レビューが集中する臨床雑誌のグループの大きさや、レビューの形式（叙述的か系統的）による引用回数への影響の範囲などを調査することである。 方法 　一般内科、プライマリ・ケア、看護、精神医学の分野の170誌の臨床雑誌について、2000年のレビュー論文を探すためにハンド・サーチを行った。　「レビュー」の定義は、タイトルや冒頭でreviewやoverviewやmeta-analysisと明記しているものや、特定の主題に関して文献をレビューしたり要約する著者の意図が本文中で示されているフルテキスト論文とした。　多くのシステマティック・レビューが掲載された上位5誌について、レビュー論文の引用回数を調べた。 結果 　11%の雑誌に、すべてのシステマティック・レビューの80%が集中していた。　インパクト・ファクターは、システマティック・レビューの出版と若干の相関性があった（R2 = 0.075、P値 = 0.0035）。　叙述的なレビュー（中央値 8、IQR 20、P値 0.0001以下）よりも、システマティック・レビュー（中央値 26.5、IQR 12-56.5）の方がより多くの引用があった。　システマティック・レビューは、同じ雑誌に掲載された叙述的レビューの２倍引用されていた（95%信頼区間1.5-2.7）。 結論 　わずかな臨床雑誌に、大部分のシステマティック・レビューが掲載されていた。　叙述的なレビューよりもシステマティック・レビューをよく引用する著者は、「エビデンスの階層」を間接的に承認している。

MEDLINEによるSDIサービスの比較研究

Shultz M, De Groote SL. MEDLINE SDI services: how do they compare? J Med Libr Assoc. 2003 Oct; 91(4): 460-7. ［抄訳］(2003/12/13) 序 　Selective dissemination of information（SDI）サービスは、選ばれたトピックスに関する新しい情報を利用者に定期的に知らせるものである。このようなサービスは、利用者が最新性を維持するのを助け、効率性と生産性にいい影響をもたらす。現在、利用者がMEDLINEの検索式を作成し、保存し、自動的に実行させることができる機能が数多くある。 目的 　MEDLINEのSDIサービスについてまとめ、それらを評価、比較する。 対象 　本研究のために、以下のSDIサービスを選択した：PubMedのCubby、BioMail、JADE、PubCrawler、OVID、ScienceDirect. 方法 　上記の6つのSDIサービスのうちの4つで、同一の検索式を作成し、2ヵ月間にわたって毎週実行させた。様々な検索条件の下でのパフォーマンスを調べるために、8つの検索式を各システムで実行した。PubMedのCubbyシステムを他のシステムの比較のための基準とした。使いやすさや結果送信の頻度、MeSHを使用する能力、検索式へのアクセスと編集のための能力、書誌管理ソフトへのダウンロードする能力を含む他の側面も、6つの各サービスにおいて評価した。 結果 　同一の検索式を使った場合でも、全てのMEDLINE SDIサービスが、同一の結果を取り出すというわけではなかった。本研究では、提供される特徴や機能によってサービスは様々であることも示された。

クラスターランダム化比較試験でのバイアスのリスクのエビデンス：総合医学雑誌３誌で発表された最近の試験のレビュー

Puffer S, Torgerson D, Watson J. Evidence for risk of bias in cluster randomised trials: review of recent trials published in three general medical journals. BMJ. 2003 Oct 4; 327(7418): 785-9. ［抄訳］(2005/02/25) 目的 　最近発表された研究のサンプルについて、クラスターランダム化試験のデザインと実施に伴うバイアスのリスクを調査する。 デザイン 　1997年1月から2002年10月までの間にBMJ, Lancet, New England Journal of Medicineに発表されたクラスターランダム化試験の遡及的レビュー。 主要評価点 　クラスタの安全なランダム化の有意度、ランダム化前の参加者の確認（割当の予知の回避のため）、治療手段間の差異補強、入出基準の差異適用、差異消耗。 結果 　検索された36件の試験のうち、24件はBMJで発表され、Lancetに11件、New England Journal of Medicineでは1件だけが発表されていた。　クラスタ・レベルでは、15件（42%）の試験は安全な割当のエビデンスが示され、25件（69%）が層状割当を用いていた。　クラスタ・レベルでバランスのとれていないエビデンスを示した試験はほとんどなかった。　しかし、個人レベルでのバイアスのリスクを示す若干のエビデンスは、14件（39%）の試験に存在した。 結論 　最近発表されたいくつかのクラスターランダム化試験は、研究デザインの内的妥当性の脅威に対する警戒に、十分な予防措置をとっていないと思われる。

研究方法論的検索フィルター：PubMedでエビデンスに基づく獣医学の研究を検索するために効果的か？

Murphy SA. Research methodology search filters: are they effective for locating research for evidence-based veterinary medicine in PubMed? J Med Libr Assoc. 2003 Oct; 91(4): 484-9. ［抄訳］(2003/12/04) 目的 　本研究では、ヘインズと同僚によって開発され、エビデンスに基づく獣医学（EBVM）関係の文献を検索するためにPubMedのClinical Query機能として利用される研究方法論的検索フィルターの効果について調査した。 方法 　一般に読まれる獣医学関係の６誌に掲載された文献について手作業でレビューを行った。各文献を、フォーマット（オリジナル研究、総説、一般文献、会議録、診断分析、症例報告）と目的のカテゴリー（病因、予後、診断、治療）によって分類した。それから、PubMedのClinical Query機能にリストされる検索戦略でテストし、感度、特異度、精度を算出するために手作業でチェックしたデータと比較した。 結果 　702件のオリジナル研究を検索するために手作業で914件の文献をチェックした。検索結果#1は、最も感度が高く、診断と治療に関しても75%以上の十分な感度を示す検索語を含んでいた。検索結果#2は、最も特異度が高く、病因、予後、治療に関しても75%以上の特異度で結果を返す検索語を含んでいた。 考察 　各検索の精度が低かったことは、次のような疑問点を示した：研究方法論的検索フィルターは、EBVMの実践のための文献を検索するために実用的なのだろうか？ 　EBVMのための文献を検索するフィルターを作成するためには、さらに臨床獣医学研究のために適当な研究方法に関連した検索語の研究が必要である。

メタ・アナリストはMedlineに加えてEmbaseも検索しなければならないか？

Sampson M, Barrowman NJ, Moher D, Klassen TP, Pham B, Platt R, St John PD, Viola R, Raina P. Should meta-analysts search Embase in addition to Medline? J Clin Epidemiol. 2003 Oct; 56(10): 943-55. ［抄訳］(2003/11/11) 　メタ・アナリストは多様なデータベースを検索するべきであることは広く認識されている。データベースの選択は、研究によるエビデンスによって支えられるように、理想的にはプロジェクトに対する各々のデータベースの潜在的な有効性やデータベースが除外された場合の潜在的なバイアスに基づいて行われる。 　そこで、Embaseの検索が、メタ・アナリシスに影響を与える更なる臨床試験を集めるかどうかについて調査した。MedlineとEmbaseを検索したメタ・アナリシスを探した。 　ランダムな影響に重点を置いた平均的方法を、Embaseだけに収録された文献と他のデータベースのものの介入効果の比較に用いた。 　平均で、Embaseに固有の臨床試験は、有意に少ない29%近くが検索され（オッズ比比率[ROR] 0.71、95%信頼区間[CI] 0.56-0.90）、その影響はわずか平均6%ほどであった（オッズ比比率[ROR] 0.94、95%信頼区間[CI] 0.88-0.99）。 　Embaseを除いたMedline検索は、より大きい値を示す研究の発見によってメタ・アナリシスにバイアスをかける危険性があるが、他のデータベースも総合的に検索されるならば、その危険性はわずかなほど十分に低いと思われる。

MEDLINEで臨床予測論文を検索するための最適な検索戦略の開発。

Wong SS, Wilczynski NL, Haynes RB, Ramkissoonsingh R. Developing Optimal Search Strategies for Detecting Sound Clinical Prediction Studies in MEDLINE. Proc AMIA Symp. 2003;: 728-32. ［抄訳］(2004/09/10) 背景 　根拠に基づく医療の普及に伴う、臨床医の効果的な臨床現場での診断を助けるための、臨床予測ガイドの利用に対する関心によって、臨床予測研究を正確に検索する必要が出てきた。 　臨床予測ガイドの利用の増大にもかかわらず、このような種類の研究を検索するために最適の文献検索フィルターを作成するような研究はなされていない。 　本研究は以前の我々の臨床予測ガイドを含む最適な検索戦略の開発を拡大したものである。 目的 　2000年に発表された方法論的な臨床予測研究をMEDLINEで見つけるための最適な検索戦略を開発する。 デザイン 　2000年の162の主要な医療雑誌162誌の各号の各文献の手作業による精査（「ゴールド・スタンダード」）と、MEDLINEでの方法論的な検索戦略の検索性能の比較。 方法 　訓練され、集中的に調整された6人の経験豊かな研究協力者は、2000年に出版された162誌の全ての号をレビューした。 　各文献は、形式、内容、目的、方法論的な正確さについて分類された。 　検索戦略は、臨床予測ガイドの研究を含む全てのカテゴリーについて開発された。 主な結果計測点 　シングルと組み合わせでの検索用語の感度（再現率）、特異度、精度、正確性。 結果 　臨床予測ガイドとして分類されたオリジナル研究の39%は、方法論的に検索された。 　用語の組み合わせは、最高で95%の感度を示した。 　最高の単一語と比較して、３語での検索は感度を17%増加させたが（絶対増加）、感度が最大のとき特異度をわずかに損ねた。 　検索用語が感度と特異度を最適化するように組み合わされたとき、これらの値約90%に達した。 結論 　いくつかの検索戦略は、臨床予測研究の検索を強化し得る。

臨床的な病因に関する研究をMEDLINEで検索するための最適な検索戦略の開発

Wilczynski NL, Haynes RB. Developing Optimal Search Strategies for Detecting Clinically Sound Causation Studies in MEDLINE. Proc AMIA Symp. 2003;: 719-23. ［抄訳］(2004/08/15) 背景 　臨床現場のMEDLINE利用者は、臨床行為に直接関連する科学的な文献を検索できなければならない。　方法論的な検索フィルターの利用は、そのような研究の検索の正確性を改善することが示されている。　このようなフィルターは治療や診断に関するものはあるが、病因に関する文献のための検索戦略はあまり研究されていない。 目的 　病因に関する文献を方法論的に検索するために、MEDLINEの方法論的な用語の検索の特徴を検証する。 デザイン 　コアな医学雑誌162誌のハンドサーチによって見つけた文献（ゴールド・スタンダード）を、MEDLINEでの文献の検索のための方法論的な検索用語やフレーズと比較する。 方法 　研修を受けた経験豊かな6人の研究協力者によって、2000年に出版された162誌のすべての号を精査した。　各文献の目的及び品質の指標について評価し、臨床的に関連性のある原著論文、総説、一般論文、症例報告に分類した。　そして、原著論文と総説は、治療／質の改良、診断、予後、病因、経済、臨床予測、総説の分野における方法論的な正確性について、「合格」と「不合格」に分類した。　検索戦略は、病因を含むすべてのカテゴリーについて開発した。 主な結果評価 　各検索戦略の感度、特異度、精度、正確性。 結果 　病因に分類された研究の12%が、臨床応用試験のための科学的メリットの基本的基準を満たした。　用語の組み合わせは、最高で93%の感度を示した。　最適な単一語と比較して、複数語での検索は15.5%（絶対増加）感度が増加したが、感度を最大にすると特異度がやや損なわれた。　感度と特異度を最適化するための用語の組み合わせは、感度と特異度とも80%以上に達した。 結論 　MEDLINEに収録される病因関係の研究の検索は、索引語と自由語（textwords）の適切な組み合わせによって、実質的な強化が可能である。

脊椎の触診：様々なデータベースを使った情報検索の試み

Murphy LS, Reinsch S, Najm WI, Dickerson VM, Seffinger MA, Adams A, Mishra SI. Spinal palpation: The challenges of information retrieval using available databases. J Manipulative Physiol Ther. 2003 Jul-Aug; 26(6): 374-82. ［抄訳］(2003/09/02) 目的 　本研究は、2つの疑問について述べている：第一に、補完医療・代替医療（CAM）の研究に関する、PubMedの検索結果は他のデータベースと比較してどうか、第二に、脊椎の触診に関するサンプル検索で、効果的な検索方法は何か。 方法 　本稿では以下の研究疑問を定式化した：「脊椎の触診手順の信頼性とは何か？」　この疑問に対して、整骨医療や逆症療法、カイロプラクティック、理学療法で使われるようなキーワード（自由語）と、特定のMedical Subject Headings（MeSH）を選定した。はじめにPubMedを使って検索テンプレートを作成し、それを12種類の他のデータベースに適用した。さらに、採用基準を適用して、関連のある研究の検索についての精度と感度を評価した。 結果 　13のデータベースでのオンライン検索の結果、本研究の疑問に関係性があると思われる1189件の文献が検索された。採用基準に満たないものや重複、不適切な引用などを除いて、49件の文献が残った。PubMedでは19件が検索され、用手療法データベースのMANTIS（Manual Alternative and Natural Therapy Index System）では35件の文献が検索された。オンラインで見つかった49件の文献のうち26件は、3つ以上のデータベースで重複して収録されていた。主題の専門家と手動による検索によって、さらに11件の研究が検査された。本研究の疑問について論じた文献が合計で60件検索された。この検索のために使用されたデータベースの費用は、無料のものから（１ユーザでのネットワーク契約で）年間43,000ドルまでの範囲だった。 結論 　一般に使用されるデータベースは、しばしば補完医療・代替医療（CAM）の出版物について正確な収録や索引付けを行っていない。主題を特定した専門データベースが推薦される。ただし、専門データベース利用のアクセス方法や費用、容易さは、利用を制限する要因となっている。

ランダム化比較試験デザイン：医学図書館員の気付かれざる機会

Eldredge JD. The Randomised Controlled Trial design: unrecognized opportunities for health sciences librarianship. Health Info Libr J. 2003 Jun; 20 Suppl 1:34-44. ［抄訳］(2003/07/08) 目的 　ランダム化比較試験（RCT）の基本的な構成要素と主なバリエーションについて述べること; 医学図書館員シップに潜在的に関連のある医学文献で見られるRCTデザインのより斬新なものについて述べること; 医学図書館員シップのおけるRCTsの限られた数を議論すること。 方法 　PubMedと図書館文献データベースにおける特別な検索パラメータと一致した限られた範囲での検索による物語的レビュー。また、医学図書館員シップのRCTsを検索するための、特別な雑誌のハンドサーチを含むより系統的な方法。 結果 　医学における多くのRCTsがより従来のパターンを踏襲する一方で、特定のユニークな特徴を持つRCTsもいくつかある。選択した例では、医学図書館員に関連する可能性のある疑問に答えることにこの実験デザインが適応することを示している。著者は、RCTの図書館と情報科学での応用において、バイアスの制御のためのいくつかの戦略を提供し、RCTsのブラインド面を利用する多くの機会の提供における電子時代の可能性を認識している。医学図書館員シップでのRCTsは、教育のような限られた数の主題領域に落ち着く。この限られた範囲は、Evidence-Based Librarianship（EBL）を現実にするための利点と不利を提供する。 結論 　RCTデザインは、現在までのデザインで指摘されてきたより、はるかに多くのEBLの疑問に答える可能性をもたらす。図書館員は、EBLの実現を容易にするために、新しい主題領域に多様なRCTデザインを使って、それらの地平線を広げることだけが必要なのである。

文献検索のためのMEDLINE以外の方法

Conn VS, Isaramalai SA, Rath S, Jantarakupt P, Wadhawan R, Dash Y. Beyond MEDLINE for literature searches. J Nurs Scholarsh. 2003; 35(2): 177-82. ［抄訳］(2003/08/15) 目的 　広範囲の文献検索のための検索方法の検討。 構成 　MEDLINEは、しばしば統計学的に有意の所見の限られた研究に偏った文献を検索するため、多様な検索方法が必要とされる。 方法 　多様な検索方法の再現率と精度に関するエビデンスを経験的に提示する。各検索方法の難度と強度を確認する。 結果 　各検索方法の再現率と精度は様々であった。しばしば、感度と特異度は反比例の関係にあった。有用な検索方法は、多種多様なコンピュータ・データベースの調査、引用文献検索、被引用文献検索、調査レジストリの調査、雑誌のハンドサーチ、「見えない大学」とのコンタクト、抄録の調査、インターネット検索、総合情報源とのコンタクトといった方法を含む。 結論 　研究者は、MEDLINE以外にも検索を拡大することで、より系統的で広範囲の検索を行うことができる。

ナイジェリア・ラゴス医科大学の医学生によるCD-ROM版MEDLINEの利用

Ogunyade TO, Oyibo WA. Use of CD-ROM MEDLINE by medical students of the College of Medicine, University of Lagos, Nigeria. J Med Internet Res. 2003 Jan-Mar; 5(1): e7. ［抄訳］(2003/08/02) 背景 　特に先進国において、情報入手における情報技術の利用（特にCD-ROMとオンライン版のMEDLINE）について特定の地域や地区で評価されてきた。CD-ROM版MEDLINEは、認識の欠如、不十分なパソコン、不定期の訓練、高い使用料などの理由により、ナイジェリアのラゴス大学の医学生には、まだあまり利用されていない。金銭的な制約のために、オンライン版MEDLINEとネットワーク化されたコンピュータ・システムがない。 目的 　それらの外国の対応する物の認識で、ラゴス大学の医学生のCD-ROM版MEDLINEの検索の認知度と外国の医学生のそれとを比較するために、発展途上国であるナイジェリアの状況について報告すること。これは、コンピュータ・システムとネットワークの拡大と共に、PubMed検索の準備に向けた第１段階である。 方法 　医学生と図書館スタッフに対する、アンケート、詳細なインタビュー、フォーカスグループのディスカッションなどを用いた横断的比例サンプリングに基づく。本研究では、２年生から６年生（最終学年）の医学生を対象にした。 結果 　インタビューした250人の学生のうち、130人（52%）はCD-ROM版MEDLINEが情報検索のためのものであることを知っていた。CD-ROM版MEDLINEを利用したことがあるのは60人（24%）だけで、9回以上CD-ROM版MEDLINEを利用したことがあるのは2％、7回から9回は4％、4回から6回は8％、1回から3回は19％だった。CD-ROM版MEDLINEを利用した学生のうち、診察の準備のためは22%、研究のためが24％、患者ケアのためが6％、臨床症例とアサインメントのためが26％だった。CD-ROM版MEDLINEの利用を阻害する大きな要因としては、認識（52%）の不足とCD-ROM版MEDLINE検索のコスト（46%）が確認された。 結論 　上記の要因が重要であると認識されているにもかかわらず、CD-ROM版MEDLINEが利用されない理由は多元的であると結論された。CD-ROM版MEDLINEの利用の少なさは、以下のような主要な要因に帰される：中央のサーバーに接続された、ネットワーク化されたパソコンの欠如; CD-ROM版MEDLINEの利用を特に必要とする医学生に対する必須のアサインメントの不足;大学管理における財政的な制約; CD-ROM版MEDLINEの利用に関する定期的オリエンテーションの不足。したがって、パソコンの数が増加されるべきであり、図書館スタッフはCD-ROM版MEDLINEを使った検索法を臨床前の学生や医学実習生に定期的にトレーニングしなければならないことが示唆された。これらのステップにより、将来PubMedが十分利用可能になったときに、医学生がPubMedの恩恵を被ることを可能にする。

Medlineに加えて：拡張システマティック・レビュー検索によるバイアスの縮小

Savoie I, Helmer D, Green CJ, Kazanjian A. Beyond Medline: reducing bias through extended systematic review search. Int J Technol Assess Health Care. 2003 Winter; 19(1): 168-78. ［抄訳］(2003/07/24) 目的 　システマティック・レビューのためのランダム化比較試験（RCTs）の検索における様々な拡張検索法の感度と精度を評価すること。 方法 　RCTsの2つのシステマティック・レビューで使用される拡張検索法（専門データベース、試験レジストリ、参考文献リスト、ハンドサーチ、私的コミュニケーション、インターネット）の前向き分析。ゴールド・スタンダードは、主なデータベース（MEDLINE、EMBASE、他）によって検索されたRCTsの総数とし、拡張検索法と統合した。感度は、どの拡張検索法によっても検索される全ての既知のRCTsの比率。精度は、実際にRCTsであったどの拡張検索法でもカバーされなかった全ての項目の比率。 結果 　拡張検索法は、主要なデータベースで検索されたRCTsに加え、システマティック・レビューのための94件の追加のRCTsを検索した。専門データベースと試験レジストリは、脂質低下プロジェクトのために、最も高い感度と精度を示し（それぞれ、13.6%、52.7%; p値 < .05）、参考文献リストのチェックが続いた（感度 7.2%、精度 41.9%; p値 <.05）。ハンドサーチは、私的コミュニケーションやインターネットより効果的だった（感度 1.7%、精度 12.2%; p値 < .05）。刺鍼プロジェクトではわずかに異なり、参考文献リストのレビューも専門データベースや試験レジストリと同様に、最も高い感度（14.2%）を示した。精度は、脂質低下プロジェクトと同様の傾向だった（専門データベース 17.6%、参考文献リスト 8.3%; p値 < .05）。事後分析では、94件のRCTsのうち75件が主なデータベースに収録されていたが、主要なデータベース検索では漏れることが示された。 結論 　拡張検索は、主なデータベースにおいて見つかるRCTsに加え、システマティック・レビューのための追加のRCTsを検索した。専門データベースと試験レジストリが、最も効果的だった。RCTsの重要な数が、主要なデータベース検索によって漏れていた。この結果は、データベースでの索引のタイミングと正確性によるものと言えるかもしれない。RCTsをカバーしない方法とカバーされない項目の質とシステマティック・レビューの結果へのそれらの影響の間に関連性があるかどうかに関係なく、決定的な基準はまだ確立されていない。

ドイツ語で発表された歯科学のランダム化比較試験の約半数はMedlineに含まれていない

Turp JC, Schulte JM, Antes G. Nearly half of dental randomized controlled trials published in German are not included in Medline. Eur J Oral Sci. 2002 Dec; 110(6): 405-11. ［抄訳］(2003/07/21) 　ランダム化比較試験（RCTs）は、臨床介入研究で最も信頼性が高いと考えられている。しかし、RCTsの全ての報告が、Medlineでアクセスできるというわけではない。これは、システマティック・レビューの結果の妥当性を妨げる可能性がある。 　ドイツ語の歯科学雑誌10誌に1970年から2000年の間に発表された比較対照試験の報告を手作業で検索した。publication typeを確定して、Medlineと比較した。 　15,777件の文献のうち、RCTsの報告は210件、非ランダム化比較対照試験（CCTs）の文献は410件が検索された。RCTsの56%とCCTsの75%だけが、Medlineに収録されていた。Medlineに収録されていた118件のRCTsのうち、15件は正しいPublication Typeが索引されていた。 　我々のデータは以下のことを示唆している。(a)臨床歯科学試験の報告の検索ではハンドサーチは価値のある方法である、(b)Medlineでの文献検索は不完全な結果をもたらす可能性がある。

MEDLINEの臨床文献のための経験的な検索方法の有効性

Wilczynski NL, Haynes RB; Hedges Team. Robustness of empirical search strategies for clinical content in MEDLINE. Proc AMIA Symp. 2002;: 904-8. ［抄訳］(2003/07/16) 背景 　臨床にも直接関連する文献を検索することを可能とすることは、MEDLINEの臨床のエンドユーザーにとって重要である。メソドロジックな検索フィルター（例えば医学の介入研究のための「ランダム割付け」）の使用は、そのような研究を探す正確性を増すことが示されている。メソドロジックな検索フィルターは、以前のMEDLINEデータベースで試験したが、索引は変化を続けており、現在のMEDLINEでのこれらの検索フィルターの検索の特徴についてはわからない。 目的 　1991年に開発した経験的な検索方法が、2000年のMEDLINEにおける臨床文献の検索で有効かどうかを決定する。 デザイン 　あらかじめ決められた科学的長所と臨床的関連性のための質のインジケーターを使って、主要な医学雑誌171誌のハンド・サーチによる調査。 方法 　6人の訓練された、経験豊かな研究補助員が、171誌に2000年に出版された全ての号を読んだ。各々の文献を、目的と質のインジケーターを使って評価し、臨床的に関連のあるオリジナル研究、総説論文、一般論文、症例報告に分類した。そして、オリジナル論文と総説を、治療/質の改良、診断、予後、因果関係、経済性、臨床予測、質的な総説文献の分野における、メソドロジックな正確性に『パス』するかしないか分類する。1991年に開発した検索方法を、2000年のデータベースにおいて試験した。 主な結果の評価点 　検索方法の感度、特異度、精度、正確性。 結果 　一般に1991年に開発した検索方法は、治療、予後、病因、診断の研究の高感度のMEDLINE検索のための、最善の検索語も用語の組み合わせも、2000年についても少なくとも同様の結果を示した。例えば、「臨床試験（Publication Type）」の正確性は、治療の高品質の研究の検索に91.6%から94.4%に上がった（P値<0.05）。 結論 　1991年に開発したMEDLINE検索方法の大部分は、2000年における検索の際にも効果があった。

MEDLINEでの診断研究の検索：読む必要のある文献数の削減

Bachmann LM, Coray R, Estermann P, Ter Riet G. Identifying diagnostic studies in MEDLINE: reducing the number needed to read. J Am Med Inform Assoc 2002 Nov-Dec; 9(6): 653-8. ［抄訳］(2002/12/26) 目的： 　PubMedでの検索フィルターは、エビデンスに基づく診療における情報検索の必須のものとなった。しかし、診断研究のためのフィルターは、感度の高い検索では精度が低いので、充分に満足できるものではない。本研究の目的は、MEDLINEに収録されている診断文献を、特に精度に重点をおいて検索するために、より良い検索式を作成し、検証することであった。 デザイン： 　比較調査、遡及分析を行った。1989年と1994年に出版された医学雑誌４誌を診断研究についてハンドサーチした。他に４誌は、1999年についてハンドサーチした。検索された３つの研究のセットを、ゴールド・スタンダードとした。 1989年の研究セットを使って新しい検索式を作成し、テストを行い、1994年と1999年の両方のセットを使って検証した。我々は、抄録の頻出語分析によって検索式の候補となった自由語で検索した。検索された用語の出現頻度によって、それぞれの用語毎に検索した。あらゆる候補語について、感度と精度、それと読む必要のある文献数（１／精度）を計算した。最も高い感度×精度による結果は、MeSH用語の「SENSITIVITY AND SPECIFICITY」と自由語をブール演算子のORで足して掛け合わせた場合に得られた。1994年と1999年のセットで、我々が作成したフィルターと、現在PubMedにあるフィルターとを詳細に比較した。 測定法： 　感度と精度と読む必要のある文献数（１／精度）を、異なる検索フィルターに用いた。 結果： 　最も出現頻度の高い３語（diagnos*; predict*とaccura*）を前方一致でMeSH用語の「SENSITIVITY AND SPECIFICITY」と合わせて検索したところ、98.1％の感度（95%信頼区間：89.9-99.9%）を生産し、読む必要のある文献数は8.3（95%信頼区間：6.7-11.3%）であった。PubMedフィルターと新フィルターを1994年と1999年のセットを使って直接比較したところ、新フィルターがより高い精度を示した（1999年で4.3%対5.0%、1994年で8.2%対12.0%。それぞれの95%信頼区間は0.05%〜7.5%（p値 0.041）と-1.0%〜2.3%（p値0.45）だった）。新フィルターは、1994年と1999年の両方のセットで現在のPubMedのフィルターよりも僅かに良い感度を示した（すなわち98.1%と96.1%（p値 0.32）対95.1%と88.8%（p値 0.125））。 結論： 　PubMedの診断研究のための現在利用できるフィルターの検索性能は、過大評価かもしれない。単一の外部の検証でさえ、フィルターの性能が楽天的には見られないことを示している。精度は、感度よりさらに不安定に見える。感度に関しては、診断研究のための我々のフィルターは、現在のフィルターよりも僅かながらよりよい検索結果を示し、1994年のセットでは精度に関してよりよい検索を行った。これらの改良が実際に検索に有益かどうか決定するために、さらに調査が必要である。

UMLSにおける機械学習と概念的関係に基づくあいまいな用語の自動分解能

Liu H, Johnson SB, Friedman C. Automatic resolution of ambiguous terms based on machine learning and conceptual relations in the UMLS. J Am Med Inform Assoc 2002 Nov-Dec; 9(6): 621-36. ［抄訳］(2003/01/02) 背景 　UMLSは、情報検索や情報抽出システムのような自然言語処理で使われている。UMLS概念への自由語テキストのマッピングは、これらの処理にとって重要である。マッピングの改良には、多角的なUMLS概念を備えた用語を明確にする方法が必要である。一般的な英語では、機械学習技術はあいまい用語の意味（あるいは概念）が注釈された（大部分は手作業で）意味をタグ付けられたコーパスに適用される。そして、意味の一義化分類によって、自動的にあいまい用語の意味（あるいは概念）を決定される。しかし、手作業によるコーパスの注釈は、高価な作業である。MEDLINEの抄録を使用したUMLSで、あいまい用語のために意味をタグ付けたコーパスを構築する自動的方法を提唱する。 方法 　多角的UMLS概念を表す用語Wについて、Wを含むMEDLINE抄録の集合を抽出する。その集合の各抄録について、UMLSで定義されたWとの関係を持つ概念を自動的に検索する。それから、意味をタグ付けたコーパス（Wの意味が注釈されている）を、検索された概念に基づいて引き出す。その方法は、自動的に引き出されたゴールド・スタンダードを使用した３５の頻出するあいまいな生物医学関係の略語のセットで評価した。引き出された意味をタグ付けたコーパスの質を、精度と再現率を使って測定した。 結果 　引き出された意味をタグ付けたコーパスは、92.9%の全体的な精度と47.4%の全体的な再現率だった。余り用いられない意味を外し、密接に関連のある意味を持つ省略形を無視すると、全体的な精度は96.8%であり、全体的な再現率は50.6%であった。 結論 　自由テキストをUMLS概念にマッピングするとき、UMLS概念上の関係とMEDLINE抄録は自動的にあいまい性を解決するために必要とされる知識を得るのに用いることができる。

MEDLINEに基づいたオンライン略語辞典の作成

Chang JT, Schutze H, Altman RB. Creating an online dictionary of abbreviations from MEDLINE. J Am Med Inform Assoc 2002 Nov-Dec; 9(6): 612-20. ［抄訳］(2003/01/10) 目的 　生物医学文献の増大は、人間の読者と自動アルゴリズムに対して特別な挑戦をもたらしている。そのようなチャレンジの一つは、文献における一般的で統制のとれていない略語の使用にみられる。個々が追加する略語は、その分野の語彙の実際の大きさを増加させていく。そのため、略語を自動的に発生し維持するレキシコン（辞書）を作るために、我々はテキスト上の略語をその正式名と整合するためのアルゴリズムを開発した。 デザイン 　我々は、注釈を付けた略語の訓練セットにそれらの類似点に基づいた正式名を記録するために、統計的学習アルゴリズム（論理回帰）を用いた。それをMedstract（略語とそれらの正式名に手動で注釈を付けたMEDLINE抄録のコーパス）に適用した。そしてMEDLINEの全ての抄録でアルゴリズムを走らせ、生物医学の略語辞典を作った。データベースの範囲を試すために、China Medical Tribuneから各々に作成した略語のリストを使用した。 測定 　我々は、Medstractコーパスから略語を識別する際のアルゴリズムの再現率と精度を測定した。データベースに対してChina Medical Tribuneから略語を捜すときの再現率も測定した。 結果 　Medstractコーパスで、我々のアルゴリズムは、80%の精度で最高83%の再現率を達成した。アルゴリズムをMEDLINEの全てに適用すると、781語のデータベースと632の高いスコアの略語が示された。China Medical Tribuneからのリストでの全ての略語のうち、88%はデータベースに含まれていた。 結論 　我々はテキストから略語を識別するためのアルゴリズムを開発した。我々は、これを公共の略語サーバーとして使えるようにしている（http://abbreviation.stanford.edu/）。

健康医学情報検索での医療消費者の用語法の特徴

Zeng Q, Kogan S, Ash N, Greenes RA, Boxwala AA. Characteristics of consumer terminology for health information retrieval. Methods Inf Med 2002; 41(4): 289-98. ［抄訳］(2003/01/15) 目的 　何百万もの医療消費者が健康医学情報をオンラインで検索するとき、彼らの用語法と情報源の用語法の間の不適当な組合せは、検索を失敗させる主要な障壁になりうる。 この問題に関して、我々は健康医学情報検索の医療消費者の用語法の特徴を研究した。 方法 　本研究は、消費者医療サービスのWebサイトと消費者医療情報のWebサイト上で用いられる消費者の質問に焦点を当てた。 我々は、サイト利用記録のデータを分析し、患者とのインタビューを行った。 結果 　医療消費者の情報検索は非常に貧弱であることが示された。 情報源の用語と標準的な医学語彙と消費者の用語との間には、全てのレベル（語彙、意味、心理モデル）での有意不適当な組合せがある。 結論 　医療消費者の情報検索には、全てのレベルで総合的な用語のサポートが必要とされる。

3つの書誌データベース（Medline、IPA、SCI）に収録される薬剤疫学

Arrebola-Pascual I, Garcia-Lopez JA. Presence of pharmacoepidemiology in three bibliographic databases: Medline, IPA and SCI. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2002 Sep; 11(6): 499-502. ［抄訳］(2003/08/21) 目的 　本研究の目的は、3つの書誌データベースから将来の計量書誌学的研究に最も適当なものを選択するために、国際的な研究の薬剤疫学への発展と分布を比較することである。 方法 　文献検索は、'pharmacoepidemiology'（薬剤疫学）という用語を使用して以下のデータベースで行う：Medline（1966-1999年）、IPA（1970-1999年）、SCI（1990-1999年）。これらの検索を基礎として、年ごと、雑誌ごと、原著論文の数を調査した。科学的出版の量の増大は、Priceの法則に適合していた。 結果 　合計845件の原著論文が検索された（IPAから467件、Medlineから219件、SCIから159件）。年間の原著論文数で最も高い平均値（33.4）は、IPAデータベースで得られた。プライスの指数関数的増加パターンは、全てのデータベースで見られた。原著論文が掲載された雑誌の総数は、Medlineで102誌、IPAで65誌、SCIで60誌であった。１件だけ原著論文を掲載している雑誌は、Medlineの65%、IPAとSCIの61%を占めた。 結論 　薬剤疫学の国際的な研究は、Priceの法則に従い、指数関数的増大パターンを示した。それらの出版のばらつきは大きかった。IPAが原著論文を最も多く含む書誌データベースであることがわかった（約半数が薬剤疫学と薬物安全性について発表された）。以上のことから、薬剤疫学分野の計量書誌学的研究に適当なデータベースはIPAであると考えられる。

PubMedに収録された1996年〜2001年のスペイン人による小児科に関する論文

Bonillo Perales A.[Spanish pediatric publications in PubMed between 1996 and 2001][Article in Spanish] An Esp Pediatr 2002 Aug;57(2):152-6 ［抄訳］(2002/08/01) 目的： 　1996〜2001年のPubMedデータ中で著者がスペイン人の小児科学関係論文とJournal Citation Reports (JCR)を評価・比較する。 対象と方法 　PubMedを使って1996〜2001年の範囲で、著者がスペイン人（所属[affiliation]がSpainの論文）で、小児に関する（"newborn OR neonate OR children OR child OR infant"）論文を検索し、最初の200件について調査した。カイ二乗検定やステューデントｔ検定を使って、研究デザインの質、サンプルサイズ、論文の主題、インパクト・ファクター、著者の専門を比較した。インパクト・ファクターが２以上の雑誌に掲載された論文に関係のある因子について、論理的回帰分析を使って分析した。 結果 　調査した論文のうち、小児だけに特定していたのは３５%だけだった。1996〜2001年の間に、Journal Impact Factorに含まれるスペイン人による小児科関係の論文は３７．５%増加していた。これらの年のインパクト・ファクターは、似た値だった（1.776対1.823; p：NS）。インパクト・ファクターが２以上なのは、小児科以外の雑誌に出版され（オッズ比：3、95%信頼区間：1.17-7.69、p 0.018）、統計解析の多重回帰分析を含んだ論文であり（オッズ比：3.27; 95%信頼区間：1.12-9.56; p 0.028）、多施設共同研究のものであり（オッズ比：4.2、95%信頼区間：1.1-22.4、p 0.048）、そして、免疫学や分子生物学分野の論文（オッズ比：2.45; 95%信頼区間：1.01-5.92; p 0.044）であった。 結論 　JCRに含まれる雑誌に掲載されたスペイン人による小児科論文は、最近５年間で３７．５％増加した。我々は、品質の高い研究デザイン（臨床試験やコホート研究）や、より大きなサンプル・サイズ、多施設共同研究による論文の発表を促進するべきである。

ランダム化比較試験の検索のためのハンドサーチとMEDLINE検索の比較

Hopewell S, Clarke M, Lusher A, Lefebvre C, Westby M. A comparison of handsearching versus MEDLINE searching to identify reports of randomized controlled trials. Stat Med 2002 Jun 15; 21(11): 1625-34. ［抄訳］(2002/08/11) 　本研究は、医学専門誌においてランダム化試験のの検索に、簡単なMEDLINE検索とハンドサーチとを比較することが目的である。 　まず、２２種類の医学専門誌（英国で出版されているもの）について、比較対照試験（コクラン共同計画の定義による）の報告すべてをハンドサーチで検索した。明らかにランダム化試験と判断される報告を、各雑誌につきランダムに選んだ３年分の中から検索し、本研究での１単位とした。MEDLINEの検索では、publication typeの'randomized controlled trial'と'controlled clinical trial'を使用し、同様の作業を行った。それから、ハンドサーチによって検索された試験の報告と、MEDLINEによって検索された報告を比較し、両者での違いについて調べた。MEDLINEで検索され、ハンドサーチでは検索されなかったランダム化試験の報告を、それらがランダム化試験の報告に関するコクランの基準を満たしているかどうか個々に評価した。 　全部で７１４件のランダム化試験の報告が、ハンドサーチとMEDLINEの検索によって見つかった。これらのうち、３６９件（５２％）はハンドサーチでだけ検索され、３２件（４％）はMEDLINE検索でだけ検索された。ハンドサーチでだけ検索された報告のうち、２５２件はMEDLINEに収録されていないデータであり、さらにそのうちの２３２件（９２％）は学会抄録やsupplementsに掲載されたものだった。MEDLINE収録分のランダム化試験４６２件のうち、１１７件（２５％）がコンピュータ検索ではヒットしなかったが、その理由はそれらのデータにはpublication typeとして'randomized controlled trial'や'controlled clinical trial'が付与されていなかったためである。 　この比率は、ランダム化試験の報告が発表された時期（MEDLINEでの上記のpublication typeの新設の前か後か）に従って変化した。MEDLINE検索との比較で、ハンドサーチが最も高い値を示したものは、1991年より前に発表されたランダム化試験の報告の検索と、MEDLINEに収録されていない雑誌からの検索であった。 　本研究の結果は、ランダム化試験の報告を適切に検索するには、MEDLINEとハンドサーチの組み合わせが必要であることを示唆している。 (コメント） 　英国コクランセンターの医師による調査である。MEDLINEの収載誌でないものが検索されないのは当然としても、Publication Typeができた1991年以前のものが意外と遡及索引されていない（特に米国以外のもの？）ことは興味深い。結論は妥当なものだが、数値的目安が得られたという点では有益である。　（シン）

医学生の情報検索と応用技術の評価モデル

Berner ES, McGowan JJ, Hardin JM, Spooner SA, Raszka WV Jr, Berkow RL.. A model for assessing information retrieval and application skills of medical students. Acad Med 2002 Jun;77(6):547-51 ［抄訳］(2002/07/14) 目的 　情報検索とその応用技術を評価するモデルを開発、検討し、そのような技術を教育された学生と教育されない学生の能力を比較すること。 方法 　著者らは、いくつかのサブタスクを持つ４つの検査ステーション１組を開発し、２つの医学部の学生に対して調査を行った。一方の学校の学生には、文献検索と情報の質を見分ける技術を集中的に指導し（教育グループ）、他の学校の学生にはこれらについて最低限の指導しかしなかった（非教育グループ）。ステーションは、小児科に関する内容について、MedlineとWWWの検索、研究論文の評価、Web上の正確な情報の選択、患者診断への情報の適用などの技術について検査する。著者らは、ステーションの心理測定的特徴を決定し、２つのグループの学生の能力を比較した。 結果 　教育グループの学生は、非教育グループの学生よりも４つのタスクにおいて優位な差を示し、変動も少なく、７つのタスクについては違いは見られなかった。非教育グループが教育グループよりも優位な差を示したタスクはなかった。 結論 　このステーションのプロトタイプは、カリキュラム全体における予想された較差を示し、それが情報検索とその応用の重要な技術の評価ツールとして有益であることを示した。

データベースに収録される医学分野の電子ジャーナルの質的・量的評価

Weller AC. Qualitative and quantitative measures of indexed health sciences electronic journals. JAMA 2002 Jun 5;287(21):2865-6 ［抄訳］(2002/07/25) 背景： 　データベースに収録される医学分野の電子ジャーナルに関する質的・量的特徴についてはあまり知られていない。 方法： 　データベースに収録される医学分野の電子ジャーナルの質的・量的特徴とピアレビューの実態について調べるため、MEDLINEに収録される３種類の電子ジャーナルを比較した。（タイプ１は印刷体を発行しない完全な電子ジャーナル、タイプ２は印刷体と電子ジャーナルの両方で発行されるがそれぞれに独自のコンテンツも含むもの、タイプ３は印刷体と電子ジャーナルの両方がまったく同じ内容で発行されるもの）。 結果： 　調査した対象は、タイプ１の雑誌は１３誌、タイプ２は１６誌、タイプ３は１６誌であった。どのタイプでもほとんど（８５−９４％）の雑誌では、ピアレビューを行っていることを明記するか暗示していた。各タイプの間で有意な差が見られたのは、各電子ジャーナルの複雑な出版形態（臨床試験、ランダム化比較試験、メタアナリシス、診療ガイドライン）（１５−１００％）、エディトリアル（０−７５％）、レター（１０−８８％）、症例報告（１７−９４％）などのコンテンツと、MEDLINEへの平均収録数（22.5-544.5）と出版形態、エディトリアル、レター、症例報告の数との間に有意な差が見られた（P<.05、分散分析法）。 結論： 　タイプ１の電子ジャーナルには、伝統的な印刷体雑誌の質的・量的複雑性がない。ピアレビューについての編集部の記述は同様でも、３つの異なるタイプの電子ジャーナルでは、それぞれのコンテンツのタイプや数には差が見られた。

MEDLINEの抄録中の省略形の研究

Liu H, Aronson AR, Friedman C. A study of abbreviations in MEDLINE abstracts. Proc AMIA Symp. 2002;: 464-8. ［抄訳］(2003/07/01) 　一般に、省略形は広く使われているが、省略形の理解は自然言語処理アプリケーションにとって重要である。省略形は必ずしも文中で定義されず、非常にあいまいである。省略形とそれらの関連語から成る知識ベースとあいまいさを解決する方法が必要である。 　この論文では、MEDLINEの抄録での省略形のあいまい性、関連語の多様性、UMLSのカバー範囲について調査した。なお、この研究では、挿入句的な表現で定義される3文字の省略形のみに限定した。 　類語のグループ化とグループによって関連語を表す際、対応するグループの範囲内の総数が100語より少ない関連語を除くと、関連語の82.8%はUMLSにマッチし、グループの範囲内と思われる93%以上をカバーし、各関連語の平均7.74倍を有していた。省略形は非常にあいまいであり、省略形の81.2%はあいまいで、平均16.6の関連語を持っていた。しかし、5語未満の関連語を除くと、省略形の64.6%があいまいで、平均4.91語の関連語を有していた。

臨床上の疑問に答えるためのMEDLINE検索とにエビデンスの適用に関連する要素

Hersh WR, Crabtree MK, Hickam DH, Sacherek L, Friedman CP, Tidmarsh P, Mosbaek C, Kraemer D. Factors associated with success in searching MEDLINE and applying evidence to answer clinical questions. J Am Med Inform Assoc 2002 May-Jun; 9(3): 283-93. ［抄訳］(2002/08/20) 目的： 　本研究では、医学と看護の実習生について、臨床上の疑問を解決するためのエビデンスを得て、うまく疑問に答えることと関連する要因を調べるために、MEDLINEを使う能力を評価した。 方法： 　医学と看護の実習生の簡単なサンプルを集めた。人口統計変数、コンピュータと検索の態度と経験、認識力の計測を終えた後、被検者はMEDLINE検索とEBMの技術に関して簡単な説明を受けた。それから、被検者はあらかじめ用意した２０個の疑問の中から５つの疑問が与えられ、Ovid版MEDLINEシステムとオレゴン医学図書館を使用した２つのセッションで答えさせられた。各々の疑問は、エビデンスの質を反映した考え得る３つの回答を使って答えられた。すべての活動はOvidシステムによって可能な限り記録した。統計解析は一般的な評価要因に基づくモデルを使用して行った。再現率と精度の関連性については、最終質問の定義と研究には無関係の医師による意見によって判断された。 結果： 　４５人の医学生と２１人の看護学生は、３２４の疑問に対する有用な答えを見つけ出した。正答率は、医学生は３２．３％から５１．６％まで、看護学生は３１．７％から３４．７％まで増加した。疑問に正しく答える能力は、検索前の答えの正確性、MEDLINEの機能に関する経験、EBMの疑問型、、空間映像化スコアに強く関係があった。空間映像化スコアは、学生の種類（医学生対看護士開業医）で多共通直線を示した。医学生と看護学生は、類似の再現率と精度（いずれも正解だった）を示した。 結論： 　本研究の対象となった医学生と看護学生は、文献検索の助けを借りて正しく臨床の疑問に答えることにある程度成功した。 この結果は、臨床の業務の達成のためには検索する能力と検索された情報を使用する能力の両方を評価することの重要性を確かめた。

日本と米国の臨床雑誌の研究デザイン、統計手法、エビデンス・レベル

Fukui T, Rahman M, Sekimoto M, Hira K, Maeda K, Morimoto T, Goto M, Suzuki H, Shimbo T.Study design, statistical method, and level of evidence in Japanese and American clinical journals. J Epidemiol. 2002 May; 12(3): 266-70. ［抄訳］(2004/12/25) 　日本の雑誌に掲載される臨床研究は、研究デザインが貧弱で、洗練されない統計と低レベルの臨床のエビデンスが特徴とされている。 　米国と日本の各２誌を対象に、1990年、1993年、1996年、1999年に掲載された原著論文と総説について、研究デザイン、統計手法、臨床エビデンスのレベルの差を調査した。 　米国の雑誌には1,689件、日本の雑誌には308件の原著論文が掲載されていた。　研究デザインに関しては、米国の文献の方がより多くランダム化比較試験／比較対照試験／臨床試験（米国27.9%：日本14.3%，p値=0.001）、コホート研究（米国21.6%：日本6.2%，p値=0.001）、症例対照研究（米国6.5%：日本0.3 %，p値=0.000）をそれぞれ行っていた。　米国と日本の雑誌の原著論文で使用される統計手法の平均数は、それぞれ1文献につき2.4と1.7であった（p値=0.000）。　レベルの高い臨床エビデンス（グレードIa、Ib、IIa）を提供している文献の比率は、米国の雑誌の方が日本の雑誌より非常に大きかった（31.1%：12.7%，p値=0.001）。 　以前のデータと比較して、現在、日本の医学文献の全体的な状況は、少なくとも統計手法については、より多様化かつ洗練された手法を用いる方向へ改善されていると思われる。

MEDLIINEマッピング機能の比較研究

Gault LV, Shultz M, Davies KJ. Variations in Medical Subject Headings (MeSH) mapping: from the natural language of patron terms to the controlled vocabulary of mapped lists. J Med Libr Assoc. 2002 Apr;90(2):173-80. ［抄訳］(2002/06/13) 目的： 　本研究は、６種類のMEDLINEデータベースのMeSHインターフェースについて、検索者の自然語のMeSHへのマッピング機能を比較した。 方法： 　シカゴのイリノイ大学医学図書館で９ヶ月間に利用者から受け付けた検索依頼から得られたデータを使った。検索依頼の内容は単語か熟語に解析し、NLMの冊子体資料を使ってそれぞれにMeSH用語を割り当てた。それぞれの用語（自然語）を６つのMEDLINEのインターフェースに入力し、どれくらい効果的にMeSH用語にマッピングされるかを調査した。特に、マッピングの過程、マッピングリスト中でのMeSH用語のアクセス性、各リスト中でのMeSH選択の総計についてデータを集めた。 結果： 　調査した６つのMEDLINEのインターフェースは、同様の方法で同様の自然語をマッピングするものはなかった。また、常に適当なMeSH用語と思われるものにマッピングしていなかった。 結論： 　検索者がMeSH用語へのマッピング機能を最大限に使ってMEDLINEを検索するならば、マッピングの結果はインターフェースによって様々な結果となる。このようなバラツキは最終的な検索結果に影響を与えると言える。MEDLINEのインターフェースを選んだり、利用者に使い方を教えるときには、このような違いについて考慮に入れておかなければならない。

肝胆汁系疾患のランダム化比較試験の引用バイアス

Kjaergard LL, Gluud C. Citation bias of hepato-biliary randomized clinical trials.JJ Clin Epidemiol 2002 Apr; 55(4): 407-10. ［抄訳］(2002/08/06) 　本研究の目的は、肯定的な結果（統計学的に有意等）を示した臨床試験の報告の方が否定的な試験の報告よりも頻繁に引用されるかどうか判断することである。 　1985〜1996年のMEDLINEに収録される１１の英文誌に発表された肝胆汁系疾患に関する５３０件のランダム化比較試験を調査した。各試験について、基本的研究結果（肯定的か否定的か）、疾病の範囲、方法論的品質（無作為化や二重盲験法）の統計的有意性を抽出した。出版後２年間の引用数は、Science Citation Indexから得た。 　統計学的に有意な研究結果と引用頻度の間には、明らかに関係があった（ベータ：0.55、95%信頼区間：0.39-0.72）。疾病領域と文献数の分布も、引用頻度についての有意な指標であった。 　これらから、肯定的結果の試験の方が否定的な試験よりも頻繁に引用されるとの結論を得た。その関係性は、疾病領域や方法論的な質によっては説明されなかった。

Cochrane Libraryのシステマティック・レビューは救急医療にどれだけ関連があるか？

Emond SD, Wyer PC, Brown MD, Cordell WH, Spooner CH, Rowe BH. How relevant are the systematic reviews in the cochrane library to emergency medical practice? Ann Emerg Med. 2002 Feb; 39(2): 153-8. ［抄訳］(2003/06/19) 目的 　Cochrane Libraryのデータベースの一つであるThe Cochrane Database of Systematic Reviews (CDSR)は、メタ・アナリシス的な要約した統計によって定期的に更新されるシステマティック・レビューを集めたものである。我々は、このデータベースの救急医療との関連性を評価するためにCDSRの研究を行った。 方法 　まず、2人のレビューアーがそれぞれ個別に、演繹的に決定した基準を使って、2000年4月版のCDSRから救急医療との関連性のありそうなレビュー795件を選択した。次に、5人のレビューアーがそれぞれ個別に、これらのレビューを関連度ごとにランク付けした。判断の一致度は、kappa統計量を用いて判定した。不一致は、コンセンサスや判定によって解決した。 結果 　795件のレビューのスクリーニングでは、「たぶん（"possibly"）関連する」もの136件（17%）、「おそらく（"likely"）関連する」もの151件（19%）が検索された（単純一致率74%、kappa統計量=0.82）。さらに個別の評価では、「おそらく（"likely"）関連する」システマティック・レビュー151件のうち、44件（6%）が間接的に救急医療に関連していたのに対して、95件（12%）は直接関連していた（単純一致率77%、kappa統計量=0.45）。最も救急医療に関連したシステマティック・レビューを作成しているCochrane Review Groupsは、急性呼吸器感染症（14件 [ 10% ]）、外傷（14件 [ 10% ]）、妊娠と出産（13 件[ 10% ]）、脳卒中（12件 [ 10% ]）、気道（11件 [ 8% ]）を含んでいた。対照的に、Heart Review Groupによって作成されたシステマティック・レビューのうちの1件（0.1%）だけが、直接救急医療に関連するとみなされた。 結論 　CDSRの3分の1以上は救急医療や退院計画に何らかの関連を持ち、12%は直接関連があった。特定の条件はかなりカバーされているけれども、他の重要な救急医療の領域はそうでもない。救急医は、Cochrane Libraryを救急医療的な介入のための重要なＥＢＭ情報源と考えるべきであり、救急医学に関連するレビューの数を増加させる方法を検討しなければならない。

歯科学領域におけるランダム化比較試験のMedline検索の妥当性

Sjogren P, Halling A.(Kristianstad University, Sweden.) Medline search validity for randomised controlled trials in different areas of dental research. Br Dent J 2002 Jan 26; 192(2): 97-9 ［抄訳］(2002/06/20) 目的： 　歯科学分野のランダム化比較試験（RCT-Ds）の検索における、Medline検索の妥当性をMeSHを使って決定する。 デザイン： 　Medlineデータベースを使って、1999年に発表された歯科学分野のランダム化比較試験（RCT-Ds）を、歯科学研究の各領域に合ったMeSH用語で検索した。全てのRCT-Dsについて、歯科学研究の各領域との関連性とMedlineの検索結果との対照表について手作業で調査した。感度、特異度、ポジティブ（精度）とネガティブな適合率についても、検索結果の正確性と同程度に算出した。 結果： 　RCT-DsのMedline検索で最も妥当性が高かったのは、歯内治療学(endodontics)で次いで歯科矯正学(orthodontics)であったのに対し、最も妥当性が低かったのは、小児歯科学(pediatric dentistry)と保健歯学(public health dentistry)だった。MeSH用語による小児歯科学の検索は、RCT-Dsの十分な検索のためには感度が低すぎた。 結論： 　MedlineでのMeSH用語検索は、歯科学研究の大部分の領域においけるRCT-Dsの迅速な検索のための有効なツールである。しかしながら、検索の妥当性には大きなバラツキがある。検索妥当性の低い歯科学研究領域のRCT-Dsの検索のためには、より洗練された検索戦略が要求される。

消化器病学文献における費用効果用語の使用：システマティック・レビュー

Marshall JK, Cawdron R, Yamamura DL, Ganguli S, Lad R, O'Brien BJ. Use and misuse of cost-effectiveness terminology in the gastroenterology literature: a systematic review. Am J Gastroenterol 2002 Jan; 97(1): 172-9. ［抄訳］(2003/06/02) 目的：医学的介入の評価における経済分析の人気の増加は、経済構造と用語が使われる正確さに対する懸念を引き起こしている。正しい費用対効果分析は、他の介入のコストと結果を考慮するものである。費用対効果がどれくらい適切に評価されるかについて調査するために、消化器病学文献のシステマティック・レビューを行った。 方法：1980年から1998年の間に消化器病学分野の主要な雑誌に発表される全ての研究について、医学的介入の費用対効果を評価したと抄録で述べているものを構造的なMEDLINE検索法によって検索した。経済用語と重要な経済構造の用途を評価するために、標準的基準を用いる2人のレビューアーが、適格な研究を秘匿性を保って評価した。矛盾点は、両者のコンセンサスによって解決した。研究は、費用と効果の両方を評価することによる適切性の「広めの基準」と、1つの戦略の優位を示すか徐々に増加する費用と徐々に増加する効果を考慮する適切性の「厳しい基準」を満たした。 結果：110の適格な研究のうちで、77（70.0%）は広めの基準を満たし、62（56.4%）は厳しい基準を満たした。これは、雑誌のインパクト・ファクターと出版年のどちらによっても変化はなさそうである。徐々に増加する費用対効果の比率を報告している18の研究のうち、8つだけは外部の標準と比較していた。 明確に分析的展望を述べている研究はほとんどなく、1年より長く将来の費用や効果について見越したものも少数だった。 結論：大部分の研究が費用対効果の用語をよく使用しているようだが、経済用語と構造が適用される正確性を改良する余地は残っている。

PubMedを使った比較対照試験文献の検索のための感受性の高い検索式の開発

Robinson K.A., Dickersin K. Development of a highly sensitive search strategy for the retrieval of reports of controlled trials using PubMed. International Journal of Epidemiology 2002 31:1 (150-153) ［抄訳］(2002/06/24) 目的： 　コクラン共同計画改訂版のためのOVID MEDLINE検索を通して、PubMedを使った比較対照試験の報告を検索するための非常に感受性の高い検索式を開発すること。 方法： 　元の非常に感受性の高いコクランの検索式は、現在のPubMedの独特な機能と同じくらいに、すべての追加のMeSHと他の用語を取り出すように修正された。PubMed形式に検索式を翻訳する前後に、元のコクランの検索式と修正された検索式による検索を比較した。最後に、PubMed形式に修正された検索式を検証するため、特定の雑誌を機械と人手の両方による検索で見つかった比較対照試験の報告を集めた「ゴールド・スタンダード」データベースを使用した。 結果： 　修正された検索式は、精度を高めるために修正された検索文を含み、自由語として「latin square」を、MeSH用語として「Cross-over Studies」を加えた。元のコクランの検索式に比べ、修正された検索式は、OVID版MEDLINEに収録された５３もの比較対照試験の報告を新たに抽出した。修正版とオリジナル版のコクランの検索式がPubMed形式に変換されるとき、修正された検索式は元の検索式によって抽出されない９０の比較対照試験の報告を検索した。最後に、PubMed形式に修正された検索式は、ゴールド・スタンダードのデータベースにおいて全ての比較対照試験の報告を検索した。比較対照試験報告のゴールド・スタンダードの９８％が、最適のPubMed検索式のPhase Iによって検索された。 結論： 　システマティック・レビューのために全ての関連性のある臨床試験を検索できないということは、バイアスが生じ得るということである。元のコクランの検索式よりも、より関連のある文献を検索し（より高い感度）、より関連性のない文献を減らす（より大きい精度）PubMedの検索のために、比較対照試験の報告の非常に感受性の高い検索式を開発した。

臨床上の疑問の提起：科学的質疑のための疑問の定式化

McKibbon KA, Marks S. Posing clinical questions: framing the question for scientific inquiry. AACN Clin Issues 2001 Nov; 12(4): 477-81. ［抄訳］(2002/10/01) 　看護実践の多くは、質疑を通して発生する情報に基づいている（常に基づいてきた）。臨床現場において起こる疑問のために、迅速かつ効果的な最良の答えを見つけることは、患者管理を容易にし、看護効率を増加させ、患者の予後と満足度を改善する。臨床上の疑問の提起は、看護師が知識を見つけ、ギャップを埋め、臨床診療の進歩についていくことができ、仲間（ピア）やチームのメンバーや患者とその家族との相互作用を強化することを助けることも可能にする。臨床上の問題を解決し、患者診断に直結するような、しっかりした根拠に基づく解答の定式化には、時間と訓練が必要である。本論文中の情報は、看護師が能率的かつ効果的に臨床上の疑問を定式化する技術を習得することを助ける。

MEDLIINEにおける臨床予言規則(clinical prediction rules)の検索

Ingui B.J., Rogers M.A.M. Searching for clinical prediction rules in medline.Journal of the American Medical Informatics Association 2001 8:4 (391-397) ［抄訳］(2002/06/28) 目的： 　臨床予言規則(Clinical prediction rules)は、診断や治療や予後の評価において、臨床判断を強化し得るメカニズムとして支持されている。その利用に対する関心の再来にもかかわらず、無秩序な用語法が、機械化された検索システムによる索引付けや検索を困難なものにしている。論文の中で述べられている臨床予言規則を探すことについて妥当なアプローチは何もない。本研究の目的は、米国国立医学図書館のMEDLINEデータベースを使用して、臨床予言規則を検索するために最適の検索フィルターを導き出し、検証することである。 デザイン： 　比較研究および遡及分析を行った。1991年から1998年までの特定の雑誌に掲載された全ての論文を手作業で検索したものをゴールドスタンダードとし、その中には、導出(derivation)や検証、評価などの臨床予言規則の様々な側面をカバーする論文が含まれている。検索フィルターは、雑誌の7月号から12月号に掲載された論文から（導出セット）、文中の語（タイトルと抄録中の語）と各論文に付けられている医学件名標目(MeSHシソーラス)を分析することにより導き出した。臨床予言規則の検索におけるこれらのフィルターの正確性について、その後1月号から6月号に掲載された論文を使って判断した（検証セット）。 測定： 　いくつかの異なる検索フィルターについて、感度、特異度、高適中率、高尤度比を測定した。 結果： 　検索フィルターの"predict$ OR clinical$ OR outcome$ OR risk$"は、臨床予言規則の98％を検索した。"predict$ OR validat$ OR rule$ OR predictive value of tests"のような4つの検索フィルターは、感度と特異度とも90％以上だった。検証セットでの高適中率と高尤度比の最高に効率的だった検索フィルターは、"predict$.ti AND rule$."であった。 結論： 　いくつかの検索フィルターでは、高い検索の値を示した。 検索者の目的と時間的制約に応じて、これらの検索フィルターのを用いることが可能である。

ＭＥＤＬＩＮＥの小児歯科学文献の計量書誌学的分析

Yang S, Needleman H, Niederman R. A bibliometric analysis of the pediatric dental literature in MEDLINE. Pediatr Dent 2001 Sep-Oct; 23(5): 415-8. ［抄訳］(2002/08/28) 目的 　本研究の目的は、MEDLINEでの計量書誌学的分析を使った小児歯科学の７つの分野の1989年と1998年の間の歯科学文献の状況を調査することと、青少年と成人におけるそれとの比較を目的とする。 方法 　検索式は、各分野ごとにMEDLINEのMedical Subject Heading（MeSH）から得られる歯科学用語を用いて作成した。人工歯根、歯内治療学、口腔医学／放射線学、口腔外科学、歯科矯正学、歯周病学および歯科修復学といった７つの分野について、MEDLINEで検索される論文数を、青少年および成人（13歳以上）と小児（12歳以下）とを比較した。 結果 　７分野で出版される歯科学関係の文献は毎年平均8,097で、歯内治療学の年327論文から口腔医学／放射線学の年2,765論文まで、８倍の開きがあった。毎年出版される平均的文献数のうち、6,824件（84%）は青年・成人に関するもので、1,273件（16%）は小児に限ったものだった。小児に関するすべての文献における７分野の論文の数とパーセンテージは、人工歯根の年7件（1%）から口腔医学／放射線学の年528件の論文/年（42%）までの幅があった。歯科インプラントに関する文献は年に25%の割合で最も急速に増加していて、次いで、歯科修復学（9%）、歯内治療学（9%）、口腔外科（6%）、歯科矯正学（6%）、歯周病学（3%）、口腔医学／放射線学（2%）の順で文献が増加していた。 結論 　小児歯科学における臨床決定の基礎を形成する相当量の文献が存在する。この莫大な文献の中で、今回調査した歯科学分野では様々な変動が確認された。最新知識を保つためには、75誌以上の雑誌から一年中52週にわたって毎週約24の論文を読み、理解することが必要になる。さらに、文献の量は年々増加していて、それらを手に入れることすら困難になってきている。このような傾向は、臨床的に有益な文献を検索し、アクセスを容易にするコンピュータ・システムの必要を示唆している。

書誌データベースからの医療のための最高のエビデンスの検索の強化：文献のハンド・サーチの検定

Wilczynski NL, McKibbon KA, Haynes RB. Enhancing retrieval of best evidence for health care from bibliographic databases: calibration of the hand search of the literature. Medinfo. 2001; 10(Pt 1): 390-3. ［抄録］(2005/01/24) 背景 　開業医には認識されていない情報ニーズがある。　医学研究の普及は「需要」と「供給」の問題で苦しんでいる。　可能な解決の一つは、書誌データベースから臨床的に適切で科学的に堅実な研究報告の検索を容易にする、方法論的な検索フィルター（"hedges"）を作成することである。　そのような検索フィルターを作成し、検証するために、文献のハンド・サーチが直接、文献を検索できたかできなかったか調査した。 目的 　６人の研究者が、文献をハンドサーチしたとき、明確な研究基準によって文献の分類について同意することができる範囲を決定する。 デザイン 　盲検化された評価者間信頼性研究。 設定 　カナダ、オンタリオ、ハミルトン、マクマスター大学。 参加者 　医学研究の研究方法に関する広範囲の訓練と経験を経た6人の研究者。 主な結果尺度 　評価者間信頼性は、カッパ統計量（カッパ値）を用いて計測した。 結果 　１年間の集中的検定の後、研究スタッフは、全てのクラスの文献の機会での予想（カッパ統計量）より、少なくとも80%大きい一致レベルに達し得た。 結論 　文献のハンド・サーチにおける文献の分類の際、広範囲の訓練によって多様な評価者が高いレベルで合意に達することは可能である。

システマティック・レビューの拡大(explosion)の有効性：効果的なMEDLINE検索

Shojania KG, Bero LA. Taking advantage of the explosion of systematic reviews: an efficient MEDLINE search strategy. Eff Clin Pract 2001 Jul-Aug; 4(4): 157-62. ［抄訳］(2002/08/23) 背景 　文献のシステマティック・レビューは、臨床医のための重要な情報源である。残念なことに、これらの論文を検索するための検索式は、大学医療の外では広く利用できないMEDLINEを含め、わずかしか発表されていない。さらに、これらの検索式の評価もわかっていない。 目的 　一般に利用できるMEDLINE（PubMed）を用いて、システマティック・レビューを検索するための検索式を作成して、それを評価すること。 デザイン 　診断検査アセスメント。 感度の定義 　検索式によって検索されるシステマティック・レビュー（Cochrane LibraryのDatabase of Abstracts of Reviews of Effectiveness [ DARE ]またはACP Journal Clubに収録される）と認められるものの比率。 精度の定義 　システマティック・レビューの最小限の定義を満たす3つのサンプル検索（結腸直腸ガンのためのスクリーニング、静脈血栓塞栓症の血栓溶解剤治療、痴呆の治療）のうちの1つで検索された論文の比率。 結果 　我々のPubMed検索式は、DAREに収録されたシステマティック・レビュー100件中93件を検索し、感度は93%だった（95%信頼区間 86%-97%）。ACP Journal Club（n = 103）から抽出したシステマティック・レビューのサンプルのうち、PubMed検索式は97%の感度（95%信頼区間 91%-99%）を達成した。3つのサンプル検索文字列を使うと、検索された論文の約50%はシステマティック・レビューの我々の最小限の定義を満たした。対照的に、（MEDLINEによる索引が）reviewタイプの論文に制限する同様のPubMed検索の精度は、10%未満だった。 結論 　この検索式は、ユーザを多数の偽陽性結果で困惑させることなく大部分のシステマティック・レビューを検索した。この検索式に基づく「シングルクリック」フィルターは、現在PubMedのClinical Queries機能の一部として利用できる。

大学医学図書館におけるレファレンスサービスのベンチマークテスト：予備的調査

Robbins, K. Daniels, K. Benchmarking reference desk services in academic health science libraries : a preliminary survey. College Research Libraries 2001 ; 62 : 348-353.　（リンクなし） ［抄録］(2002/07/21) 　この予備的調査は、一般的なアンケートを用いて大学の医学図書館におけるレファレンス・サービスので基準机サービスの利用者理解度をベンチマーク・テストするように設計された。 　利用者の反応は、５つのサービス段階に沿って、全体的に最高品質のサービスを提供した図書館を決定するために比較された。 　調査した全ての図書館は非常に高い評価を得たが、いずれも設備の外観から期待される以上の評価を得たところはなかった。 　本研究が他のいかなるサービスの質の較差を示さなかったため、この結果はいずれの図書館のサービスの改善にも用いることはできなかった。 　しかし、この予備的調査の結果は、将来のベンチマーキング戦略の計画に役立つものといえる。

股関節部骨折後の患者の栄養補給に関する、コクラン・ライブラリーでのシステマティック・レビュー検索のレッスン

Avenell A, Handoll HH, Grant AM. Lessons for search strategies from a systematic review, in The Cochrane Library, of nutritional supplementation trials in patients after hip fracture. Am J Clin Nutr 2001 Mar; 73(3): 505-10. ［抄録］(2002/10/23) 背景 　ランダム化比較試験（RCTs）のシステマティック・レビューを実施する重要な目的は、可能な限り全てのエビデンスを含むことである。試験が不適当な検索によって見落とされると、重大なバイアスが生じるかもしれない。 目的 　股関節部骨折後の患者の栄養補給に関する臨床試験のシステマティック・レビューの一部として、コクラン・ライブラリーでのRCTsの検索計画を評価することが目的である。 デザイン 　電子的データベースであるBIOSIS、CABNAR、CINAHL、EMBASE、HEALTHSTAR、MEDLINEや、臨床試験報告の参考文献、他の関連した論文を使って関連のある研究を検索した。また、情報の専門家や研究者にも相談し、栄養学関係の雑誌4誌を手作業で検索した。 結果 　あらかじめ定義した採用基準を満たした15のRCTsが検索された。検索計画によって、EMBASE、HEALTHSTAR、MEDLINEで各8件、BIOSISとCABNARで各7件の臨床試験が検索された。BIOSISでだけ検索された臨床試験が2件あった。11件の臨床試験が電子的データベースで検索され、2件の未発表の臨床試験がその分野の専門家によって見つけられた。栄養学関係誌の手作業検索（ハンドサーチ）によって、学会抄録としてだけ発表された臨床試験が1件見つかった。コクラン・ライブラリーでのレビューのためのプロトコールの発表後、他の未発表の臨床試験が知らされた。 結論 MEDLINEや他のデータベールのうち一つだけを用いた限られた検索計画では、半分近い臨床試験が検索から漏れることが示された。バイアスを防ぐためには、栄養的な介入のシステマティック・レビューのため検索計画は広範囲なものでなければならない。

労働衛生看護師の情報探索行動。看護師はどのように最新の健康情報を得ているか

Lathey JW, Hodge B. Information seeking behavior of occupational health nurses. How nurses keep current with health information. AAOHN J. 2001 Feb; 49(2): 87-95. ［抄録］(2004/01/21) 　専門看護師の情報探索習慣を調査するために作成したアンケート用紙を、ニューヨーク州の600人の労働衛生看護師に郵送した。 　回収率は28%（有効回答165）だった。 　調査の結果、回答者が最も必要としていたのは、ケアに関連のある政府の規制、専門化の進む領域での新しい進展、医薬品情報、疾患の心理学的側面であることが示された。 　回答者が重要な情報源として最も頻繁に目を向けるのは、所属機関の同僚や仲間、個人のファイルと図書、専門機関であった。 　回答者は、専門的な目的のための情報源としては、インターネットやMEDLINEまたは病院図書室に依存することが少なかったのに対して、38.8%はそれが健康関連情報を探すためにインターネットを多用すると回答していた。 　また、回答者の多く（65%）は、可能であれば、インターネットを使った健康関連情報へのアクセスに関する継続教育に関心を示した。 　本研究では、専門看護師団体には、会員に新たな情報技術を使った情報へのアクセスや評価を促進することによって、会員のニーズに応じられる機会があることを示唆している。

Clinical Otolaryngology誌に掲載された論文のMEDLINEと雑誌目次での正確性

De S., Jones T., Brazier H., Jones A.S., Fenton J.E. The accuracy of MEDLINE and journal contents pages for papers published in Clinical Otolaryngology. Clinical Otolaryngology and Allied Sciences 2001 26:1 (39-42) ［抄訳］(2002/06/25) 　MEDLINEは、医学雑誌文献を検索し、概観するためのデータベースとして広く使われている。一般にその正確性は、出版された雑誌自体の目次ページと同様に、当然のことと思われている。この研究では、1976年から1998年の間にClinical Otolaryngology and Allied Sciences誌に掲載された論文の書誌の正確性について調査を行った。MEDLINEの収録情報を、雑誌の目次ページの情報や実際の論文と比較した。雑誌に発表された1651の論文の、25件（1.5%）は間違って収録されていて、88件（5.3%）は目次ページの記載が間違っており、1件はMEDLINEに収録されていなかった。MEDLINEの記載ミスのうちの21件（84%）は、著者名のものだった。診療や研究のための不完全な情報検索は別として、記載ミスは結果として論文の著者に出版の不信感をもたらすことがありうる。

共出現するUMLS概念の関係の意味のを調査方法

Burgun A, Bodenreider O. Methods for exploring the semantics of the relationships between co-occurring UMLS concepts. Medinfo 2001; 10(Pt 1): 171-5.　（リンクなし） ［抄録］(2003/03/21) 目的 　1990年から1999年のMEDLINEデータにおいて、MeSHディスクリプタとして共出現するUMLS概念の中での関係性を調べる。 デザイン 　7,928,608対の誘導された概念のペアに関係する18,485のUMLSの概念を研究した。C1-C2概念のそれぞれに誘導されたペアについて： (i)UMLS Metathesaurusを用いてC1の「ファミリー」を作成し、C2がC1のファミリーに属すか否か調べた; (ii)C1とC2の関係の意味を明らかにするため、UMLS Semantic NetworkとSemantic Groupsを通してMetathesaurus概念の意味的カテゴリー化を使用した。 結果 　6.5%の誘導されたペアにおいて、C2の概念がC1「ファミリー」の範囲内で見つかった。詳細な結果が得られた。最も頻繁なのは、「Disorders（疾患）」と「Chemicals and Drugs（化学製品と薬品）」と、同様に「Chemicals and Drugs」と「Chemicals and Drugs」のペアだった。 考察 　本研究では、UMLSで表される記号的でかつ統計的な情報を利用して、それらの重複を分析した。更なる調査が必要である。

Medlineの臨床歯科矯正学のエビデンスに関するベンチマーク・テスト

Sun RL, Conway S, Zawaideh S, Niederman DR. Benchmarking the clinical orthodontic evidence on Medline. Angle Orthod. 2000 Dec; 70(6): 464-70. ［抄訳］(2003/10/04) 　本研究の目的は、エビデンスに基づく臨床診断決定のための、歯科矯正文献（すなわち、直接臨床で応用可能な基本的方法論的基準を満たす病因、診断、治療、予後のような臨床研究）の検索と定量である。。これは、オンライン診断決定分析システムの開発への第1ステップである。 　歯科矯正学を表すMedical Subject Headings（MeSH）に基づく検索式を、Ovid版MEDLINEの検索のために作成した。感度と特異度の方法論的検索フィルターを、情報の4つのカテゴリーを検索するために使用した。そして、結果について、傾向を識別するために年ごとに分け、情報源を識別するために並べ直した。 　1990年〜1998年に、MEDLINEでは歯科矯正学に関する6938件の英語文献が検索された。一年あたりの文献の平均数（+/-SD）は、感度の高い検索では314+/-214、特異度の高い検索では42+/-25を示した。特異度や感度の高い検索による文献の数は、毎年14%〜21%増加している。臨床カテゴリーによって分けると、特異度と感度の高い検索での年ごとの文献の平均数はそれぞれ以下のようであった：病因 19+/-15と 91+/-37、診断 11+/-5と80+/-35、治療 3+/-1と50+/-23、予後 10+/-7と93+/-33。5つの歯科系雑誌は、これらの文献のほぼ半数を占めた。 　以上の結果から、いくつかの重要なことがわかる： (1)臨床診断の基礎となる歯科矯正学の臨床関連文献はかなり存在する; (2)それらの情報は、病因、診断、治療、予後の間でバランスよく見られる; (3)文献の約45%は5つの雑誌に掲載され、残りのものは最新のものを追跡するのが困難な他の66誌に掲載されている; (4)文献数は、年ごとに有意に増加している; (5)最新性を維持するためには、一年間52週の毎週1〜6件の文献を読む必要がある; (6)このような傾向は、コンピュータ・ベースの臨床知識システムの必要を示している; (7)今回使用した方法は、最良かつ最新の臨床歯科矯正学のエビデンスを検索するためにすぐに用いることができる。

労働衛生学分野の文献を選択する方法：Medlineとインパクト・ファクターの有効性

Gehanno JF, Thirion B. How to select publications on occupational health: the usefulness of Medline and the impact factor. Occup Environ Med. 2000 Oct; 57(10): 706-9. ［抄録］(2002/10/18) 目的： 　労働衛生の分野での出版は、他の医学の専門分野を含む様々な雑誌に見られる。この研究は、この分野の専門医のための文献のフォローアップを行っている。Medlineとインパクト・ファクターをもとに、この多様性について評価し、労働衛生医療で最も関連のある雑誌を選択する経済的な方法を提唱している。 方法： 　Medline検索を使って、主な主題として「職業病」または「職業上の曝露」で、1998年に発表された全ての文献を検索した。これらの文献は、掲載された雑誌に基づいて分類した。そして、雑誌を、それらの主題領域、研究分野で発表された文献数、それらのインパクト・ファクターによって比較した。 結果： 　検索の結果、1998年では、577の異なる雑誌で発表された、2247件の文献が検索された。この期間に、各雑誌に1件から105件の文献が発表されていた（平均3.89件）。しかし、1.4%の雑誌だけで、発表されたすべての文献の25%以上を占めた。文献の半分以上は、労働衛生よりも一般診療や専門医学を扱う雑誌で発表されていた。検索された雑誌の66%だけにインパクト・ファクターがあり、文献の80%以上はインパクト・ファクターが2より低い雑誌に発表されていた。 結論： 　単に労働衛生学の雑誌を追跡しただけでは、労働衛生学の専門家のニーズは十分には満たされない。さらに、インパクト・ファクターの利用がフォローアップを評価するための研究ツールとして信頼できるとは思われない。これらをもとに、8誌と38誌の2つのリストを作成した。それらは特殊な研究分野でそれぞれ27%と52%の文献をカバーしていて、時間と文献数のバランスでの最適の妥協案と考えられる。最後に、インターネット上で文献を追跡し、雑誌から抄録を得るための実践的手順を提案した。

データベースでの臨床試験医学文献の検索：MEDLINE単独では不十分

Suarez-Almazor ME, Belseck E, Homik J, Dorgan M, Ramos-Remus C. Identifying clinical trials in the medical literature with electronic databases: MEDLINE alone is not enough. Control Clin Trials. 2000 Oct; 21(5): 476-87. ［抄録］(2003/10/16) 　本研究の目的は、慢性関節リウマチ（RA）と骨粗鬆症（OP）と腰痛（LBP）に関する、英語で発行された比較対照試験（CCTs）の文献の検索のために、MEDLINEとEMBASEの性能を比較することである。 　MEDLINEとEMBASEを使って、1988年と1994年に発表された文献を検索した。そして、最初に文献がCCTsであることを確認し、研究の質を評価した。 どちらのデータベースでも検索されないCCTsを見つけるために、いくつかの雑誌を選択し手作業で探した。 　全体的に、4111件の文献が検索され（RAは2253件、OPは978件、LBPは880件）、そのうち3418件（83%）は英語文献であった。EMBASEは、MEDLINEより78%多くの文献（2895件対1625件）を検索した。全体的に、1217件（30%）は両方のデータベースで検索された。243件の論文が、CCTsのものであった。これらの3分の2は、両方のデータベースで検索され、3分の1は一方だけで検索された。どちらのデータベースによっても検索されない16件のCCTsは、手作業検索（ハンドサーチ）で検索された。 　これらを考慮して、EMBASEはMEDLINEより16%多くのCCTsを検索し（220件対188件）、EMBASE検索は、MEDLINEで73%のCCTｓが検索されるのと比較して、CCTsの85%を検索した。CCTｓのMEDLINEでの検索漏れとEMBASEでの検索漏れの平均的質とサンプルサイズについて、有意な差は観察されなかった。これらのことは、CCTsの検索にMEDLINEを単独で利用することは不適当であることを示唆する。 　2つ以上のデータベースの利用と選択した雑誌の手作業検索が、広範囲の検索の実行のために必要である。

MEDLINEとEMBASEでのリハビリテーション関連文献の検索：クロスオーバー検索の例

Minozzi S., Pistotti V., Forni M. Searching for rehabilitation articles on MEDLINE and EMBASE.. An example with cross-over design. Archives of Physical Medicine and Rehabilitation 2000 81:6 (720-722) ［抄録］(2002/06/27) 目的： 　生物医学データベースであるMEDLINEとEMBASEのリハビリテーションにおける有用性を分析し、包括的な検索をするのに必要なディスクリプタとテキスト用語について調べる。 方法： 　神経科、整形外科、呼吸器科、泌尿器科、リウマチ科のそれぞれのリハビリテーションに関する、1990年以降に発表された論文を検索した。リハビリテーションに関する全てのディスクリプタとテキスト用語を探し、それらを掛け合わせた。 結果： 　EMBASEで159件、MEDLINEで165件の論文が検索され、それらの重複は17%だけだった。MEDLINEで検索された論文の32％とEMBASEで検索された論文の35%だけが関連があった。重複していない214件の論文のうち、84％は両方のデータベースの収録誌で発表されたものだが、索引付けは異なっていた。 結論： 　包括的な文献検索を確実にするためには、少なくとも2つのデータベースとも使わなければならない。MEDLINEの後、EMBASEの検索で、25件の論文（32%）が得られた。内容の違いのため、リハビリテーション関係の文献検索は特に複雑である。包括的な検索を確実にするためには、情報専門家と臨床医の協力が必須である。

皮膚科学文献のランダム化比較試験のレベル

Adetugbo K, Williams H. How well are randomized controlled trials reported in the dermatology literature? Arch Dermatol 2000 Mar; 136(3): 381-5. ［抄訳］(2002/10/29) 目的 　ある１つの主要な皮膚科学の専門誌に発表されたランダム化比較試験の研究デザインと報告の方法論的な質を評価する。 研究デザイン及びデータ 　すべてのランダム化比較試験を調査するために、1976年から1997年までにClinical and Experimental Dermatologyの全ての号からランダム化割り付けを行った73件の報告を見つけた。 結果の評価 　ランダム化、試験サンプル・サイズ、基線比較、intention-to-treat分析（訳注：試験開始時のランダム化割り付けままで解析を行う方法）の適切性の直接的・間接的計測。 結果 　ハンドサーチによって73件のランダム化比較試験が検索されたが、MEDLINEのPublication Typeのclinical trialsによる検索ではこれらのうちの31件だけしか見つからなかった。73件のランダム化比較試験のうち、68件は分析に十分含まれる情報を含んでいた。ランダム割り付けの方法を述べていたのは1件の研究だけ（1%）で、割り付けについて述べていないのは5件の研究だけ（7%）だった。単純なランダム化割り付けを用いた38件の臨床試験のうち、単純なランダム化が適切に行われていないか、述べられていない可能性のある比較群のサンプル・サイズが同一だったのは22件であった。 ほとんどの臨床試験（88%）では、その分析から一部のランダム化された対象を除外していた。サンプル・サイズの中央値は、1つの臨床試験につき23だった。1つの臨床試験だけは、サンプル・サイズと統計的パワーに関する考察を報告し、演繹的な主仮説を持っていた。 結論 　ハンドサーチは、全ての関連のある臨床試験を検索するために重要である。皮膚科学分野の雑誌に報告されている臨床試験において、より高い方法論的質が必要とされている。臨床試験の報告のエビデンスを強化し、妥当性を強化するために、臨床試験の報告のためのチェックリストとCONSORT(Consolidated Standards of Reporting Trials)を採用するべきである。

医学生のためのMedline？　正解の検索

Reiter HI, Neville AJ, Norman G. Medline for Medical Students? Searching for the Right Answer. Adv Health Sci Educ Theory Pract. 2000; 5(3): 221-232. ［抄録］(2003/11/14) 目的： 　伝統的な情報源に加えてMEDLINEも利用するとき、医学生の臨床診断の正確性は、MEDLINEを加えないときと比べて改良されるかどうか？ 研究デザイン： 　無作為化比較試験。 調査対象： 　マクマスター大学医学部（Undergraduate Program.） 参加者： 　101人の医学生（1998年組）のクラス全員。9つの質問項目全体の回答率は56%（510/909）、9つの項目すべてに回答したのは35%（35/101）だった。 介入： 　全ての参加者は、提示された介入を適用するかしないか選べる9つの臨床的な各シナリオにランダム化された。コントロール群にランダム化されると、学生は意思決定のために伝統的な情報源を使用した。実験群にランダム化されると、学生は意思決定のために、より伝統的な情報源に加えて、MEDLINEも検索した。 主なアウトカム計測： 　情報検索の前後に、学生は提示された介入を使用する際にそれらの快適さを7ポイントのLikertスケールで示した。 結果： 　一方向分散分析で分析したところ、非MEDLINEのコントロール群の検索後平均レートは2.94（SD = 1.80）（1 =正、7 =不正）、実験的MEDLINE群は2.71（SD = 1.81）、(F(1,522) = 2.03, p = 0.15 n.s)であった。コントロール群の平均変動は0.97（SD = 2.04）であり、実験群については1.008（SD = 1.92）、(F(1,511) = 0.04, p = 0.84n.s.)であった。 結論： 　医学生の伝統的な解答探索行動にMEDLINEを追加することは、臨床意思決定に有益な影響を及ぼすことはない。

高血圧の患者配布用チラシのシステマティック・レビュー

Fitzmaurice DA, Adams JL. A systematic review of patient information leaflets for hypertension. J Hum Hypertens. 2000 Apr; 14(4): 259-62. ［抄訳］(2004/12/29) 目的 　現在患者が利用できる情報の質について調査するために高血圧の患者配布用チラシをレビューする。 デザイン 　患者の情報の標準化された系統的評価は、英国で高血圧のために散らしを配る。 主要な評価点 　内容、文体、読みやすさ、構成に関するマークによる基準を使った、事前に決められた評価スケールに基づくチラシ毎の品質スコア。 結果 　42枚はインターネットから、19枚はその他の情報源から、合計61枚のチラシを入手した。　最高で84点のスコアをあげるチラシがあった。　スコアは、インターネット上のものが28点から67点までで、インターネット以外のものは30点から70点だった。　Boeringer Ingelheim for the British Hypertension Society and Greenlines PublishingがKnoll社の医学教育研究費を得て作成したチラシが全体的に最も高いスコアをあげた。　インターネット以外のチラシの詳細な分析では、そのほとんどが適当な言葉と文体で書かれていて、多くの大人には読むことができるにもかかわらず、全体的に重要と思われる情報を含むものがほとんどないことが示された。 結論 　チラシは適当な標準以下の内容に陥りがちだが、高品質の情報は患者にも利用できる。　患者にアドバイスする医療専門家は、良い品質の情報についての知識を持ち、患者が使用する情報源に批判的でなければならない。　理想的には、患者が最も彼らのニーズに合うチラシを選べるように、外科や内科の医院は利用可能な広範囲の最高の情報を蓄積しておくべきである。

歯科補綴学のランダム化比較試験のMEDLINE検索式の評価

Dumbrigue HB, Esquivel JF, Jones JS. Assessment of MEDLINE search strategies for randomized controlled trials in prosthodontics. J Prosthodont 2000 Mar; 9(1): 8-13. ［抄録］(2002/10/26) 目的 　本研究の目的は、歯科補綴学におけるランダム化比較試験（RCTs）を見つけるために、MEDLINE検索の感度、特異度、精度を評価することである。 データ及び方法 　1988年から1997年の間にInternational Journal of ProsthodonticsとJournal of Prosthetic DentistryとJournal of Prosthodonticsに発表された論文をハンドサーチしてRCTｓのリストを作成した。そのRCTｓを「ゴールド・スタンダード」として、いくつかの異なるMEDLINE検索式と比較した。MeSH、キーワード、チェックタグ、Publication Typeとそれらの組み合わせを用い、それらの結果を「ゴールド・スタンダード」と比較した。 結果 　感度は9%から67%、特異度は全ての検索で少なくとも96%、精度は22%から59%の範囲だった。最も生産的な検索は、Publication Typeの"clinical trial"と"randomized controlled trial"による検索だった。検索語の組み合わせは、歯科補綴学雑誌に掲載されたRCTsの検索の感度を改善はしなかった（p値 > .10）。 結論 　これらの発見は、MEDLINEに収録される歯科補綴学関係の論文の正確なインデクシングを容易にするための試験方法のより詳細な報告の必要性を示している。

次のミレニアム（1000年紀）ではMEDLINEは何語で作られるか？

Sousa Escandon M.A., Gonzalez Guitian C., Gonzalez Fernandez M.M. Which language will MEDLINE speak in the next millennium? ARCHIVOS ESPANOLES DE UROLOGIA 2000 53:2 (93-99) ［抄訳］(2002/06/23) 目的： 　MEDLINEに収録される全論文とその中の特に泌尿器科学関係の論文について、収録時から現在までの間で、MEDLINEで使用される言語の傾向を分析する。その結果から次の15年間の傾向を推論する。 方法： 　MEDLINEに収録された論文の総数と発行年、言語、出版国による分布を決定するために、インターネット上のPubMedのページ（http:www.nlm.nih.gov/pubs/factsheets/nlm. html）とMEDLINE（OldMedline 1960-1965と現在のMedline 1966-1999）にアクセスした。同じ方法で、泌尿器科学分野に特に関係している論文についても調査した。 結果： 　全体的に、MEDLINEに収録された1000万件近い論文の75％が英語で占められた。1966年にはすでに53％を占めていた英語の優勢は、1999年には89％を占め、毎年1％の割合で着実に増加している。同様の結果は、泌尿器科学分野に特に関係している論文にも見られた。MEDLINEに収録される英語論文の数は1966年に比べて400％近く増加しているのに対し、その他の言語で書かれた論文は40％減少した。オランダ、ドイツ、日本などの国では、ほとんどの論文が英語で発表されている。 結論： 　現在の傾向が続くとすると、2014年にはMEDLINEデータベースに収録される全ての論文が英語で書かれたものだけになる。

MEDLINEのCD-ROMによる一元的利用とイントラネットによる分散した利用の比較研究

Darmoni S.J., Benichou J., Thirion B., Hellot M.F., Fuss J. A study comparing centralized CD-ROM and decentralized intranet access to MEDLINE.. Bulletin of the Medical Library Association 2000 88:2 (152-156) ［抄録］(2002/06/29) 目的： 　生物医学データベースであるMEDLINEとEMBASEのリハビリテーションにおける有用性を分析し、包括的な検索をするのに必要なディスクリプタとテキスト用語について調べる。 方法： 　神経科、整形外科、呼吸器科、泌尿器科、リウマチ科のそれぞれのリハビリテーションに関する、1990年以降に発表された論文を検索した。リハビリテーションに関する全てのディスクリプタとテキスト用語を探し、それらを掛け合わせた。 結果： 　EMBASEで159件、MEDLINEで165件の論文が検索され、それらの重複は17%だけだった。MEDLINEで検索された論文の32％とEMBASEで検索された論文の35%だけが関連があった。重複していない214件の論文のうち、84％は両方のデータベースの収録誌で発表されたものだが、索引付けは異なっていた。 結論： 　包括的な文献検索を確実にするためには、少なくとも2つのデータベースとも使わなければならない。MEDLINEの後、EMBASEの検索で、25件の論文（32%）が得られた。内容の違いのため、リハビリテーション関係の文献検索は特に複雑である。包括的な検索を確実にするためには、情報専門家と臨床医の協力が必須である。

医学生のエビデンスに基づく情報のMEDLINEでの検索の評価：過程と結果の応用

Burrows SC, Tylman V. Evaluating medical student searches of MEDLINE for evidence-based information: process and application of results. Bull Med Libr Assoc. 1999 Oct; 87(4): 471-6. ［抄録］(2004/03/04) 目的 　マイアミ医科大学に入学した全ての医学生に、通常行われるMEDLINE説明会の適切性と、それらの３年生の学年末までに臨床意思決定のために効果的に検索しエビデンスに基づく情報を検索する学生の能力を評価する。 方法 　著者は1996年、1997年、1998年6月にOSCEを受けた３年生が選択した検索戦略と文献を評価するための戦略を開発し、実行し、ＥＢＭに関する文献と医学生の検索の評価をレビューした。 結果 　学生の検索戦略の平均5%と選択された文献の平均26%は「優」か「良」にランク付けられた;検索戦略の平均26%は「可」のランクを、平均69%は「不可」にランク付けられた;そして、選択された文献の平均22%は「可」のランクを、平均52%は学生の検索を評価するために開発された戦略に基づき「不可」にランク付けられた。 結論 　エビデンスに基づく情報のため医学生の検索の評価は、学生の検索能力を評価する効果的方法であり、翻って彼らが受ける説明会の適切性につながる。OSCE試験の結果に基づくと、医学校は図書館の教育的役割を拡張し、図書館ではトレーニング計画において大きな変化が行われた。エビデンスに基づく医療に関する情報は、現在MEDLINE説明会に組み込まれている。図書館スタッフは、学生が１年生、２年生の間に求められる、エビデンスに基づく情報に必要な検索を評価した;30%の学生は、評価に基づき個別の説明が追跡して確認された;そして、新しい症例に基づくカリキュラムが、14週間の問題に基づく学習（PBL）で提唱された。これらの開発は、米国医科大学協会から最近出版されたエビデンスに基づく能力をタイムリーに考慮したものである。

言語障壁と書誌検索の有効性：フランス語を話すエンドユーザーによるMEDLINEの利用

Mouillet E. Language barriers and bibliographic retrieval effectiveness: use of MEDLINE by French-speaking end users. Bull Med Libr Assoc. 1999 Oct; 87(4): 451-5. ［抄録］(2003/10/24) 目的： 　本研究は、フランス語を話すエンドユーザーによる書誌検索が英語のインターフェイスによって損なわれるかどうかを検証するために行った。モデルとしてアメリカのデータベースであるCD-ROMのMEDLINEを用いた。 方法： 　1997年の2ヵ月間に、自己記入方式のアンケート調査を、Victor Segalen Bordeaux 2大学の2つの図書館で行った。以下の3つの研究対象を設定した：Ovid版MEDLINEのエンドユーザー、Ovid版MEDLINEの図書館員が代行するユーザ、Pascal（フランスの書誌データベース）のエンドユーザ。 結果： 　対象となった191人のうち、22%だけが英語が書誌検索の障害となっていると考えていた。しかしながら、一般的に、研究ソフトウェアはあまり使われておらず、検索の質は低かった。図書館員よるトレーニングを受けたユーザと自分で修得したユーザの差は統計学的に有意であり、前者の方がよりよく検索を行っていた。 結論： 　学生の母国語には関係なく、医学部のカリキュラム内におけるコンピュータ・書誌データベース検索のための特別なトレーニング・プログラムを作成することが必要である。

うつ病の認知療法の無作為化比較試験の検索：Embase、Medline、PsycINFOの効率性の比較

Watson R.J.D., Richardson P.H. Identifying randomized controlled trials of cognitive therapy for depression: Comparing the efficiency of Embase, Medline and PsycINFO bibliographic databases. British Journal of Medical Psychology 1999 72:4 (535-542) ［抄訳］(2002/06/30) 　本研究では、うつ病の認知療法の無作為化比較試験を検索するために、書誌データベースのEmbaseとMedlineとPsycINFOの感度と精度を比較した。特定の5誌において手作業による検索とそれぞれのデータベースの検索とを比較した。（索引語だけによる）標準的な検索の感度は、Embase、Medline、PsycINFOで、それぞれ68%、84%、38%であった。（索引語と自由語による）熟練した検索の感度は、Embase、Medline、PsycINFOで、それぞれ76%、97%、65%であった。Medlineは、心理学的治療評価について書かれた論文を検索すること（再現率）に最も効果的なデータベースであることが示された。

全MEDLINEデータからの名詞句の抽出

Bennett N.A., He Q., Powell K., Schatz B.R.. Extracting noun phrases for all of MEDLINE.. PROC AMIA SYMP 1999 : 671-675. ［抄訳］(2002/07/09) 　あらゆる医学の文章で名詞句を抽出できる自然言語パーサ（構文解析プログラム）は、情報検索で内容を分析するのにとても有益である。我々は、特定の医学領域に調整しない一般のパーサを用いたMEDLINEからの名詞句の抽出について論ずる。 名詞句抽出器は以下の３つの部分から成り立つ： 　・名詞化 　・タグ付け 　・名詞句の認識 　このプログラムを使って、930万の抄録を含む、全てのMEDLINEデータから名詞句を引き出した。 ２億７０００万以上の名詞句が抽出され、そのうちの４５００万は固有のものだった。これらの名詞句の質は、サンプルの抄録の全ての句を調べて評価した。一般的なパーサによって抽出した句と以前評価した他の３つのパーサによって抽出した句の精度と再現率の優位性を比較した。我々は、一般的なパーサは全ての医学文献から全ての異なる名詞句を効果的に抽出できることを検証し、パーサの改善を続けている。

WWW上の無料MEDLINEの分析

Klemencic, E., Todorovski L. Analysis of free MEDLINE on the WWW. Studies in Health Technology and Informatics 1999 ; 68 : 553-556. ［抄録］(2002/07/02) 　本論文では、WWW上で無料で利用できるMEDLINEについて調査している。我々は、無料でかつ無制限にMEDLINEを提供する５つの異なるベンダーを比較した。検索式の数、検索フィールドの数、検索式を組み合わせる機能、検索の限定の数について、異なる検索内容で比較した。検索では、MeSHシソーラスの利用可能性についても調査した。最後に、上記の５つのベンダーが提供するMEDLINEの検索によって得られた２つの検索質問の結果を比較、評価した。 (コメント） 　スロベニアの医師による調査である。実際の調査は1999年１月なのでデータとしてはいささか古いが、興味深い調査と言える。最後の方で述べている「MeSHの階層構造を利用することで検索の質が向上する」という結論は同感だが、PubMedをはじめほとんどの無料MEDLINEではそれができない、と決めつけるなど、取り上げた５つのベンダーそのものに関する調査が不十分に思われた。　（シン）

救急医学文献からのランダム化比較試験の検索：ハンドサーチとMEDLINE検索の比較

Langham J, Thompson E, Rowan K. Identification of randomized controlled trials from the emergency medicine literature: comparison of hand searching versus MEDLINE searching. Ann Emerg Med. 1999 Jul; 34(1): 25-34. ［抄録］(2004/03/18) 目的 　コクラン共同計画に関連して、救急医学文献の全てのランダム化比較試験（RCTs）を識別する進行中のプロジェクトの一部として、2つの異なる研究を行った; 　第一に救急医学専門家による文献のハンドサーチへの能動的参加の動機を比較し、第二に多くの救急医学雑誌のMEDLINE検索とハンドサーチを比較する。 方法 　英国救急医学協会（BAEM）と救急医学会（SAEM）の全てのメンバーに、プロジェクトの目的を概説した手紙と交互の基礎の上で割り当てた3つの見出し語のうちの1つを送った。 　協力を得られたボランティアは、救急医学文献から優先度をつけてハンドサーチを行った。 　各雑誌の各号についてRCTsをハンドサーチした。 　さらに、広範囲のMEDLINE検索を各雑誌について行った。 　2つの検索方法から得たRCTsは、個々の雑誌と各雑誌について個々に比較した。 結果 　BAEMとSAEM（各10.1%、1.8%）からの回答率は低く、本研究への参加のための動機は明確に確認できなかった。 識別された62の雑誌のうちの18（29.0%）だけは、MEDLINEに収録されていた。 　ハンドサーチを行ったMEDLINEに収録されている14の雑誌で、合計710のRCTsが、以下の2つのアプローチの組み合わせによって検索された;592（83.4%）はハンドサーチ単独で検索され、483（68.0%）はMEDLINE単独で検索された。 　両方の方法では365（51. 4%）のRCTsが検索された;MEDLINEで検索されなかった227（32.0%）がハンドサーチでさらに検索され、ハンドサーチで検索されなかった118（16.6%）がMEDLINEで検索された。 　MEDLINEとハンドサーチによる検索される比率の較差は（15.4%; 95%信頼区間[CI]、12.7%−17.9%）は統計学的に有意だった（McNemarのカイ２乗検定、1df、33.8; Ｐ値<.0001）。 　この較差は、８誌については有意でなかった。 結論 　本研究への参加を求める依頼状の関連専門機関会員への郵送の回答率は非常に低く、そのようなアプローチが経済的でないことが示唆された。 　しかし、正式な費用を要する行動も行わなかった。 　検索の結果は、ハンドサーチを行ったMEDLINEに収録される14の救急医学雑誌で、ハンドサーチはMEDLINEで見つからない追加のRCTs（一次文献）の識別に至ることを明らかにした。 　しかし、ハンドサーチはMEDLINE検索より統計学的にかなり有意であるけれども、MEDLINE検索によって検索されるRCTsの一部を識別するのに失敗した。これは、ハンドサーチが「ゴールド・スタンダード」な方法ではなく、コクラン共同計画によって推奨される二重のアプローチが、MEDLINEに収録される雑誌のための最適のアプローチであることを示唆している。

MEDLINEとEMBASEデータベースを使った医療技術評価の質とコストに関する文献検索の比較

Topfer LA, Parada A, Menon D, Noorani H, Perras C, Serra-Prat M. Comparison of literature searches on quality and costs for health technology assessment using the MEDLINE and EMBASE databases. Int J Technol Assess Health Care. 1999 Spring; 15(2): 297-303. ［抄録］(2003/11/07) 　生物医学データベースは、医療技術評価のための重要な情報源である。しかし、商用データベースにアクセスするためのコストにはかなりの幅がある。 　我々は、主要なデータベースであるMEDLINEとEMBASEで検索される情報の、質、重複度、コストについて調査を行った。これらのデータベースを使って、2つの医療技術評価機関の図書館員が、さまざまな医療技術について合計8通りの文献検索を実行した。 　全ての検索結果について、2人の研究者がそれぞれチェックした。彼らは、関連文献を選別し、それぞれのエビデンス・レベルをランク付けした。その結果は、各データベースで検索された文献数、エビデンス・レベルでランク付けされた関連文献数、それぞれのデータベースに固有の文献数の表にした。 　また、各データベースの検索コストについて計算した。 　各データベースには、他では検索されない関連文献が含まれていた。 　MEDLINEに収録されるためのタイムラグがEMBASEよりも長いために、EMBASEでのみ検索されたように思われた文献の多くは、しばらくしてMEDLINEでも検索された。 　この研究を行った後、MEDLINEはインターネットを通して無料で世界中で利用できるようになった。そのため、これらのデータベースのコストの差は、現在はさらに大きくなりつつある。しかし、それらのコストにもかかわらず、どちらか一方のデータベースだけに依存する文献検索は必然的に関連のある情報を落としているように思われる。

MEDLINE検索での省略形の使用

Federiuk CS. The effect of abbreviations on MEDLINE searching. Acad Emerg Med. 1999 Apr; 6(4): 292-6. ［抄訳］(2003/10/31) 目的 　MEDLINE検索での省略形や頭文字の使用の効果を検証する。 方法 　MEDLINEの自由語検索で最低400件の文献で検索された20の一般的な医学の省略形について調査した。省略形が適当なMeSH用語にマッピングされるかどうか調べるために、MEDLINEの主題検索にそれぞれ入力した。MeSHカテゴリーと検索される文献数を記録した。省略形とその正式名とで別々に自由語検索を行い、検索される文献数を記録した。検索された同一の個々の文献数を見るために組み合わせた。 結果 　MEDLINEでは、20のすべての省略形が認識され、それぞれ適切なMeSH用語にマッピングされた。しかしながら、MeSH用語の割り当ては場合やスペースに敏感である。20の省略形のうちの18の省略形では、自由語検索よりもMeSH用語による検索の方が多くの文献を検索した。各々の方法によって検索された文献の組み合わせの比較は、各々に共通の文献のサブセットを示した。検索された全ての組み合わせで重複していたが、２つは同一でなかった。さらに、各文献の組み合わせは、ユニークな文献比率を示した。 結論 　全てのユニークな文献の検索は、以下の3つの検索を必要とする;省略形による主題検索、省略形による自由語検索、正式名による自由語検索。これらの結果は、MEDLINEの利用者にとって重要な示唆を含んでいる。

臨床上の疑問に答えるためのMEDLINE検索の技術と科学。正しい数の文献の検索

Allison JJ, Kiefe CI, Weissman NW, Carter J, Centor RM. The art and science of searching MEDLINE to answer clinical questions. Finding the right number of articles. Int J Technol Assess Health Care. 1999 Spring; 15(2): 281-96. ［抄録］(2003/10/27) 　情報検索は、現在の医学を取り巻く環境において、臨床医の現実に重要な問題となっている。多くの方法が臨床医に提供されているが、ここでは、我々は現在の最高水準の技術を要約し、技術強化のために革新的なアプローチを用意することによって、MEDLINEについて採り上げる。新しい検索エンジンが急速に現れているので、我々は様々なシステム（まだ利用できないものでさえ）に容易に適応できる一般的な原理に焦点を当てる。 　MEDLINE検索の結果のための理想的な分類方法を提唱する。 　A型検索は、緊急性の疑問に直接関連する高品質の文献を検索する。 　B型検索は、より関連のある多数の文献を検索する。 　C型検索はほとんど文献が検索されず、検索されてもあまり関係がない。 　関連性のある高品質の文献が存在するならば、B型とC型検索は検索技術に注意することでしばしば改善されるかもしれない。再現率と精度が低い場合に問題が生じる。最も困難な作業は、多すぎる文献と少なすぎる文献のバランスをとる場合にある。 　理論的な枠組みといくつかの実際の例によって、検索者は以下に提示する障壁を克服する準備をするべきである： 　ａ）よく組み立てられた疑問から始められない; 　ｂ）Medical Subject Headingsを使用できない; 　ｃ）再現率と精度の関係に影響を及ぼせない; 　ｄ）検索を適度に制限できない。 　思考と実践がMEDLINE検索の有用性と面白さを増加する。

集団精神療法に関する研究結果へのアクセス：MEDLINEとPsycINFOの検索の感度と精度

Watson RJ, Richardson PH. Accessing the literature on outcome studies in group psychotherapy: the sensitivity and precision of Medline and PsycINFO bibliographic database searching. Br J Med Psychol 1999 Mar; 72 ( Pt 1): 127-34. ［抄訳］(2002/08/14) 背景： 　MedlineとPsycINFOのような書誌データベースは、システマティック・レビューのための最初の主要な情報源である。本研究は、グループに基づく心理学的治療の研究結果について述べている論文を検索する際のMedlineとPsycINFOの適切性を調査する。 方法： 　多くの集団精神療法に関する論文を発表している１０誌を、1993年と1994年についてハンドサーチした。それらの論文を、MedlineとPsycINFOそれぞれ用に作成した絞った検索式と広めの検索式によって検索した。 結果： 　Medlineでの絞った検索と広めの検索の感度（各検索によってヒットした関連文献の数を、データベース検索とハンドサーチの両方で検索された関連文献の総数で割った値）は、それぞれ28%と67%であった。精度（検索によってヒットした関連文献の数を、その検索でヒットした関連文献数と非関連文献数の合計で割った値）は、それぞれ絞った検索が91%、広めの検索が35%だった。PsycINFOの絞った検索と広めの検索の感度は、それぞれ8%と47%だった。精度は、絞った検索は30%で広めの検索は36%であった。ハンドサーチは、すべての関連文献の94%を検索した。 結論： 　PsycINFOは、Medlineより役に立たなかった。Medlineを使って研究結果の67%を検索することができたが、そのために必要な検索式での精度の低さは、臨床においては不経済である。どちらの検索式によっても検索されない文献について、その理由を考察するために抄録を調べた。Medlineについては、一般には集団精神療法を検索するために用いる用語によった。PsycINFOについては、索引システムが研究結果の簡単な検索には利用できないことが示された。

PubMedのrelated articles機能を使った文献目録の更新

Liu X, Altman RB. Updating a bibliography using the related articles function within PubMed. Proc AMIA Symp 1998;: 750-4 ［抄録］(2002/09/03) 　包括的な文献目録は、文献のレビューや分野内の進歩の評価にとって有益である。このような目録は広汎で包括的であったり、あるいは焦点を絞ったその収録基準に適合するものであったりする。いずれにせよ、特定の研究分野における完全な文献目録を維持するという作業は、多様性や複雑性、新しく発表される文献の膨大さなどによって困難を極める。 　効果的かつ自動的に関連文献を取り出すという作業において、これまでと異なる検索方法と索引ツールがPubMedのRELATED ARTICLES機能として開発された。この論文では、PubMedのRELATED ARTICLES機能を使用して文献目録を徐々に更新するためのプログラムについて報告している。 　始めに実験的尺度となる非常に専門的な文献目録として、30S細菌性リボゾームのサブユニットの構造を設定すると、そのシステムはより多くの関連文献を検索した。この特定の作業において、システムは75%の再現率と32%の厳密な精度、42%の部分的な精度を示した。 　これらの結果は、RELATED ARTICLES機能は純粋に統計的な処理にすぎないにしても、なお特定の文献から非常に関連性の強い文献集合を選択できることを明らかにしている。

OVIDとDialogでのMeSH検索機能の比較研究

Hallett KS. Separate but equal? A system comparison study of MEDLINE's controlled vocabulary MeSH. Bull Med Libr Assoc 1998 Oct;86(4):491-5. ［抄訳］(2002/06/16) 　この研究は、2つのオンライン・システムのシソーラスによる検索の効果を試験したものである。具体的には、エクスプロード、メジャー・ディスクリプター、ディスクリプター、サブヘディングの4つの統制語検索機能による検索率を調べた。各検索機能は、レファレンス担当の医学図書館員から得た9つの検索質問に適用した。同じ質問を、DialogとOvidのMEDLINEの全年代ファイルで検索した。ユニークな文献（すなわち2つのシステムのうちの1つだけで検索された文献）を識別、分析した。質問全体のほぼ20%で、DialogはOvid以上の文献を検索した。調査の結果、利用者は同じシソーラスによる検索機能についてでも、異なるシステムでは異なる検索式を必要とするかもしれないという、システムの特徴を知っている必要があることがわかった。

様々なMEDLINE検索エンジンの評価基準

Jacobs M., Edwards A., Graves R.S., Johnson E.D. Criteria for evaluating alternative MEDLINE search engines. MEDICAL REFERENCE SERVICES QUARTERLY 1998 17:3 (1-12) ［抄訳］(2002/07/03) 　WWW上のMEDLINEを検索するためのとても多くのオプションやオンライン・サービスの機能により、MEDLINEに替わるWebサイトの長所・短所の決定において図書館員を支援するための評価基準について述べている。MEDLINEサイトを組織的に比較するために、ある検索式を利用した。評価するサイトは、Avicenna、America Online、HealthGate、PubMed、Medscape、Physicians' Onlineなどである。これらのサイトを評価するのに用いたいくつかの点は以下の通りであった。 　デフォルト・フィールド; 　演算子（デフォルト）; 　MeSHの利用; 　サブヘディング; 　MeSHで保護されているストップ・ワード; 　トランケーション（前方一致）; 　ステミング（階層構造）。 　本論文は、利用者を特定のMEDLINEサイトに導く際に図書館員を助ける一般的結論と、その評価基準に至るまでの一連の過程について述べている。

Journal of Hepatologyの臨床試験についての報告の質の評価

Gluud C, Nikolova D. Quality assessment of reports on clinical trials in the Journal of Hepatology. J Hepatol 1998 Aug; 29(2): 321-7. ［抄訳］(2002/10/25) 背景/目的 　ランダム化比較試験と比較対照試験のための電子的データベース検索はハンドサーチほど多くの臨床試験を検索せず、臨床試験の報告を台無しにするかもしれない。本研究の目的は、Journal of Hepatologyに掲載された全てランダム化比較試験を検索し、それらの報告の質的評価を行うことである。 方法 　文献は、雑誌の組織的なハンドサーチとMEDLINE検索によって検索された。臨床試験報告の質を評価するために、試験の質の主要範囲を用いた。 結果 　ランダム化比較試験は、原著論文の8.4%（2028件中171件）だった。10件の原著論文（0.5%）は、分類できなかった。MEDLINEの検索は、ランダム化比較試験の81.3%を検索した（それはすなわちハンドサーチによって見つかった171件のうちの139件に当たる。合計166件のランダム化比較試験が質を評価できた。それらのうち47件（28.3%）は適切なランダム割付けを報告してあり、22件（13.3%）は適切な割付けかどうか不明で、95件（57.2%）はわずかな脱落だけで治療指向分析を行い、50件（30.1%）は二重盲検で、33件（19.9%）は標本数の算出が明記され、13件の試験（7.8%）はクロスオーバー法を使用し、対照グループでの介入毎の被検者の中央値は19人だった（四分位数間領域(interquartile range)：11-31、範囲：5-519)。報告の質は、増刊号よりも通常号の文献の方が有意に良かった。 結論 　多くの重要なランダム化比較試験はJournal of Hepatologyで発表されているが、報告の質の改良の余地は十分あると思われる。

学術医療センター・産婦人科での研修中の個別の利用講習のMEDLINE 利用に関する影響：ランダム化試験

Erickson S, Warner ER. The impact of an individual tutorial session on MEDLINE use among obstetrics and gynaecology residents in an academic training programme: a randomized trial. Med Educ. 1998 May; 32(3): 269-73. ［抄訳］(2003/11/18) 　この10年の間に、オンライン・データベースはますます健康・医療専門職に利用されるようになった。全体として、これらの『エンドユーザー』は、医学の発展に遅れないためや、研究のため、特殊な患者の診療の問題の対処のために、データベースを利用すると報告している。 　文献によると、医学・医療の専門家（主題のエキスパート：'content experts'）は、図書館員（検索のエキスパート：'search experts'）より、検索者として有能でないことが示されている。この食い違いの潜在的に意味するものが心配である。例えば、いくつかの臨床上のシナリオについて、発表された報告は矛盾した結論を出しているかもしれない。未熟な検索者は、この事実を認識するために十分な文献を検索できないかもしれない。そのため、検索技術の最適化はゴールとして意義がある。 　多くの医学校では最初に、学生にオンライン・データベース（ほとんどはMEDLINE）を紹介する。研修医期間は、この訓練を続けるのに理想的な時である。 　研修医に正式なMEDLINEの指導を行うための障害としては、時間的な制約が認められる。そのため、本研究では、学術的な医療センターの産婦人科での研修中に、個別の１時間の利用講習がMEDLINEの利用に関して持つ影響を確認するために調査を行った。結果の評価尺度には、MEDLINEの検索回数、期間、再現率、精度、検索者の満足度を含む。検索の再現率では、手元に問題に関連すると考えられる文献を探し出す検索者の能力を判定する。検索の精度では、無関係な文献を除去する検索者の能力を判定する。 　講習はかなり受け取られたが、評価尺度の分析からは改善は示されなかった。したがって、費用対効果の高い教育戦略が広範囲に利用されるためには、更なる研究が必要である。

臨床上の自由文からMeSH用語を確定するための辞書的方法と統計的方法の比較研究

Cooper GF, Miller RA. An experiment comparing lexical and statistical methods for extracting MeSH terms from clinical free text. J Am Med Inform Assoc 1998 Jan-Feb;5(1):62-75 ［抄録］(2002/06/19) 目的： 　1990-94年UMLSの助成を受けたピッツバーグ大学のプロジェクトの主な目的は、PostDoc（辞書的索引システム）とPindex（統計的索引システム）の比較とハイブリッド・システムとしての組み合わせにおける開発と評価であった。それぞれのシステムは、患者の電子カルテの物語部分(narrative part)から自由文を一部入力すると、文中の概念をに含んだMedline検索を公式化のためのMeSH用語のリストを提示する。この論文では、これらのシステムについて述べ、評価を報告している。このような評価は、医療スタッフが電子カルテを使ってMedlineから個々の患者に特定化した検索を行うのを助けるシステムの最終的な実現化のステップとして意義がある。 研究デザイン： 　PostDoc、Pindexとそれらを組み合わせたハイブリッド・システムの性能について、ランダムに選択されたカルテからとった文章を使って試験を行った。それらの文章には、6つの放射線医学報告、6つの病理報告、6つの排泄概要が重なって含まれていた。一人の患者に特定したMedline検索を実行する際に使われると考えられるカルテにおける概念について調査した。各システムには、それらのカルテの文章を入力された。システムが提示したMeSH用語のリストとこれらの文献の関連性の範囲については、筆者らによって盲検的に決定した。 結果： 　PostDocは、１つの報告につき平均約19のMeSH用語を出力し、それは関連した報告概念のうち約40%を含んでいた。Pindexは、１つの報告につき平均約57のMeSH用語を出力し、関連した報告概念の約45%を占めた。ハイブリッド・システムは、１つの報告につき約71のMeSH用語を出力し、関連した概念の約66%を占めていた。 結論： 　PostDocとPindexの出力は、臨床における自由文から補完的にMeSH用語を取り出している。これらの結果は、臨床的に関連のあるMeSH用語だけを出力するためにUMLSセマンティック・タイプを使用することを含め、関連用語のパーセンテージは維持したまま、用語の出力数だけを減らすことが可能であることを示している。

MEDLINEのPublication Typeを使ったRCTの検索：高血圧の場合

Brand M, Gonzalez J, Aguilar C. Identifying RCTs in MEDLINE by publication type and through the Cochrane Strategy: the case in hypertension . Abstr Workshops Sci Sess Int Cochrane Coll. 1998; 6:89. San Antonio Cochrane Center, USA. ［抄訳］(2003/03/05) 背景 　MEDLINEでランダム化比較試験（RCTs）の報告を検索しようとする研究者が利用できるツールには、以下のものがある。1）1991年にできたPublication Typeの「ランダム化比較試験(randomized controlled trial)」、2）Cochrane Highly Sensitive Search Strategy（Cochrane Strategy）。 目的 　主要な高血圧関係の雑誌４誌でRCTsの報告を検索するためのCochrane Strategyの感度とPublication Typeの「RCT」の感度の計算。Cochrane Strategyの３段階の徐々に増加する検索件数（陽性適中率）の計算。RCTの抄録中に「ランダム(random)」（またはその変形）という語が出現しないことに基づいて、「ランダム化されていない」報告として除外することの適切性の判定。 方法 　The Journal of Cardiovascular Pharmacology、Hypertension、the Journal of Hypertension、the American Journal of Hypertensionの４誌について、RCTsを検索するために各々の雑誌の創刊から1996年までのすべての号を遡及してハンドサーチした。合計18,041件の報告が評価された。機械検索のための感度と検索件数算出には、ハンドサーチの結果を「ゴールド・スタンダード」として用いた。 結果 　1990年以前では、Cochrane StrategyがRCTsの93%を検索したのに対し、MEDLINEはPublication Typeの「RCT」をRCTｓの59%にしか適切に付与していなかった。1991-1996年では、Publication TypeとCochrane Strategyの感度は、それぞれ88%と97%であった。1990年以前では、Cochrane Strategyの第１段階(Phase1)で検索された369件中152件（検索件数としては41%）は、Publication Typeの「RCT」が付与されていないRCTｓだった。Cochrane Strategyの第２・第３段階では、それぞれ10%と5%の検索結果だった。1991-1996年では、第１・第２・第３段階では、Publication Typeの「RCT」が付与されていないものが、それぞれ9%、5%、2%だった。基本的用語の「random$」は、第１・第２・第３段階で検索されたRCTｓの、それぞれ70%、47%、0%の抄録に含まれていた。 結論 　システマティック・レビューのためにMEDLINEでRCTsを検索するためには、Cochrane Searchが十分に感受性があるのに対して、Publication Typeの「RCT」は十分な感受性がない。Cochrane Strategyの３つの段階は、1991-1996年では第３段階を除きリーズナブルな検索結果を示した。比較対照試験は、「ランダム化でない」と除外される前に、全文を評価するべきである。

オンラインの内視鏡検査情報：内視鏡検査専門医は、既知のこととそれを行うことの間のギャップを埋めることができるか？

Krabshuis J. Endoscopy information online : can endoscopists close the gap between what is known and what they do? Endoscopy 1997 Nov; 29(9): 871-82. ［抄訳］(2002/07/12) 　あなたはどんなときにインターネットにアクセスするか、どんなときに消化器内視鏡検査に関する情報を探すためにオンライン・ホストにアクセスするか？ この論文では、オンライン・ホスト、MEDLINEやEMBASEといったオンライン・データベース、サーチエンジン、検索語、シソーラスについて述べる。 特に、MEDLINEのMedical Subject Headings（MeSH）やEMBASEのEMTREEのような複雑な階層的シソーラスの使用（または不使用）のような問題について述べる。 これにより、「用語のエクスプロージョン(Explosion)」や類義語の自動マッピング機能（またはインターネット上でこれらの機能を使わない場合）の長所（短所）を簡単にまとめる。 　冒頭は、以下のような情報ニーズに関する質問で始まる。あなたが必要なのは臨床情報ですか？　製品情報ですか？　患者情報ですか？　研究情報ですか？ 　論文の主要部分は、インターネットでの利用可能性と、現在と将来において利用可能なホストサービスに関するものである。内視鏡検査における情報検索に関する今後の発達について、簡単に（もしかしたらより刺激的に）概観した。 　結論は、以下のようなものである。 　・インターネットは、ガイドラインやトレーニング、製品情報を探すために適している。 　・インターネット上では、無料で利用できる発表された研究はほとんどない。 　・出版された研究を探すには、MEDLINEやEMBASE、DIMDI、STN、DataStar（この優先順位で）検索する。 　・あなたが最も新しい内視鏡検査の研究が必要ならEMBASEを検索する。 　・あなたが内視鏡検査に関連する最も新しい医薬品情報を必要ならEMBASEを検索する（もしも予算がないならMEDLINEを検索する）。 　・MEDLINEの検索で好まれる（無料の）フォームはPubMedである。。 　・インターネット上の情報はすべて疑え。

1957年〜1994年のJournal of Intellectual Disability Researchに掲載されたランダム化比較試験に関する研究

Duggan LM, Morris M, Adams CE. Prevalence study of the randomized controlled trials in the Journal of Intellectual Disability Research: 1957-1994. J Intellect Disabil Res 1997 Jun; 41 ( Pt 3): 232-7. ［抄録］(2002/11/12) 　患者ケアのシステマティック・レビューは診療のガイドとして益々有力となりつつあり、学習機能障害の分野においてもそのような研究を行うために全ての関連したランダム化比較試験（RCTs）が検索されることが重要である。 　Journal of Intellectual Disability Researchとその前誌の全てのRCTsをハンドサーチによって検索し（1957-1994）、頻度、起点、介入、ランダム化の記述の質について述べた。臨床試験の機械検索は1974年〜1994年について行い、索引の質を調査・検討した。そして、これらの機械検索は、『ゴールド・スタンダード』検索と比較した。 　56件のRCTsが検索された。タイトルで『ランダム化した』という言葉を使ったものはなく、抄録中で言及したものは9件だけだった。1974年と1994年の間で発行された37件のRCTsから、36件はPsycLITで、37件はMEDLINEで検索された。MEDLINEレコードのうちの1件は抄録が間違っていた。 　電子的レコードで使用される方法論的な語法は粗雑であり、両方のデータベースを使用した機械検索の精度は低いものだった。この国際雑誌はいくつかのタイプの介入を含んだRCTsを世界中から集めている。残念なことに、これらの臨床試験は、RCTsを見つけるための方法論的な語法を使って、直ちに電子的にアクセスできるようにはなっていない。 　索引の質の改良は、RCTsの検索とその利用を容易にする。

MEDLINEを使った根拠に基づく医療（EBHC）の文献の検索戦略

Harrison J. Designing a search strategy to identify and retrieve articles on evidence-based health care using MEDLINE. Health Libr Rev. 1997 Mar; 14(1): 33-42. ［抄訳］(2003/11/28) 　根拠に基づく医療の実践には、方法論に関するその情報がMEDLINEのようなデータベースから検索されることが必要である。これまで、根拠に基づく医療のためのmedical subject headings (MeSH) がなかった。1997年から'EVIDENCE-BASED MEDICINE'がMeSH用語として作成された。この概念のためのMeSHがない1997年以前については、検索者の力量が問われる。 　この論文では、新語の'EVIDENCE-BASED MEDICINE'の導入以前に発行された根拠に基づく医療の方法をとった文献をMEDLINEで検索するための、関連資料の検索に求められる自由語とMeSH用語の最適の組み合わせといった検索戦略について述べる。 　本研究は、自由語とMeSH用語検索について、感度と特異度の最適のバランスを試みる。はじめに自由語とMeSH用語検索を別々に調べた。 　自由語検索が50%の感度と67%の特異度を示す一方、MeSH語検索の感度は33%、特異度は80%であった。両方の方法を合わせた最終的な検索戦略では、感度は82%〜90%、特異度は83%で、より高い値を示した。 　したがって、感度と特異度の比較的高い割合で、根拠に基づく医療の方法をとった文献を検索するための検索戦略を考案することは可能である。しかし、MEDLINEだけでは限界があり、根拠に基づく医療の方法をとった文献を検索する際には、さらに追加のアプローチが必要となる。

New Zealand Medical Journal誌40年間のランダム化試験

Neal B, Rodgers A, Mackie MJ, MacMahon S. Forty years of randomised trials in the New Zealand Medical Journal. N Z Med J 1996 Oct 11; 109(1031): 372-3. ［抄訳］(2002/11/13) 目的 　New Zealand Medical Journalに発表された全てのランダム化試験を検索し、これらの試験の基本的特徴についてまとめ、medlineでの検索可能性を調査すること。 方法 　1943年から1995年のNew Zealand Medical Journalの全ての号を、組織的にハンドサーチした。検索された全ての試験は、特徴をまとめ、最適のmedline検索式によって検索される試験と比較した。 結果 　ハンドサーチによって152件のランダム化比較試験（最初の発表は1955年）が検索された。検索された試験の半数は被験者が34人未満であり、90%以上は薬物による介入だった。研究の18%だけがランダム化の方法について報告していて、最終解析がintention to treat法（試験開始時のランダム化割り付けのままで解析を行う方法）に基づいて行われたエビデンスを提供したのは13%だった。51%の試験はプラシーボ対照群を使用し、28%はクロスオーバーデザインを含んだ。Medlineが利用可能な1966年以降、143件の試験が出版され、そのうちの89件（62%）がMedlineによって検索された。 結論 　これらに基づくシステマティックレビューを本調査では行い、主な２つの問題点に直面した。一つ目は、研究デザインとデータ解析に関する重要な情報は、しばしば試験の報告から落ちている点である。二つ目は、発表されたランダム化試験のかなりの数が、Medlineでは検索できない点である。コクラン共同計画のInternational Register of Randomised Controlled Trials of Health Careでのハンドサーチによって検索された試験の登録と試験結果を報告するための標準フォーマットは、信頼性が高いシステマティックレビューの将来の生産を容易にする。

看護文献の検索のためのデータベース選択：ＭＥＤＬＩＮＥかＣＩＮＡＨＬか

Brazier H, Begley CM. Selecting a database for literature searches in nursing: MEDLINE or CINAHL?　J Adv Nurs 1996 Oct; 24(4): 868-75. ［抄訳］(2002/08/09) 　本研究では、看護過程履修後の学生にとって、MEDLINEとCINAHLデータベースの有効性について比較した。 　我々はタイトルの用語だけを使って９つの主題について検索した。２つのデータベースでの同一の検索では1162件が検索され、その88%はMEDLINEで、33%はCINAHLで、20%は両方で検索された。検索された文献の関連性については、学生に評価させた。 　CINAHL（70%）の適中率はMEDLINE（54%）のそれよりも高かったが、MEDLINEはCINAHLの２倍の関連文献が検索された。MEDLINEの感度は85%（95%信頼区間 82-88%）であり、CINAHLのそれは41%（95%信頼区間 37-45%）であった。文献の得やすさを評価するために、我々はアイルランドと英国の図書館での所蔵館の多さを基に、アクセスしやすさの指標を示した。全体的に、関連のある文献の47%は学生の所属する図書館で利用でき、64%は48時間以内で得られた。 　２つのデータベースの間には総合的には較差なかったが、特に看護の組織に関連する２つのトピックを除けば、MEDLINEで見つかった文献はかなりアクセスしやすかった。看護の組織に特に関連したものでなければ、書誌データベースを探すときは、どんな主題であってもMEDLINEをまず選択するべきだと我々は勧告する。

MEDLINEの文献検索におけるより報知的な（構造化）抄録の効果に関する予備的調査

Wilczynski NL, Walker CJ, McKibbon KA, Haynes RB. Preliminary assessment of the effect of more informative (structured) abstracts on citation retrieval from MEDLINE. Medinfo 1995; 8 Pt 2:1457-61. ［抄録］(2002/10/04) 目的： 　臨床医学雑誌のためのより報知的な抄録（MIA)のガイドラインに基づいた抄録を掲載する雑誌と伝統的な抄録を掲載する雑誌の論文の検索について、MEDLINEでの検索の再現率と精度を比較する。 デザイン 　主要誌でMIA抄録を載せたものと載せないものとで、成人医療の臨床で直接利用できるだけの基本的方法論的基準を満たしている研究を見つけるために、MeSH用語とテキストワードの演算の特徴について分析調査する。 尺度 　1986年と1991年の内科総合医学雑誌10誌の全論文を手作業でレビューしたもの（ゴールド・スタンダード）と比較して、検索語の感度と特異度と精度を決定した。1991年にMIA抄録を載せた雑誌と載せない雑誌の2誌について、MIA抄録導入前後における各検索語の有効性を比較した。 結果 　いくつかの用語の感度は、MIA抄録を用いることで増加し、更に1986年と比較して1991年の通常の抄録を載せた雑誌における同じ量によっても増加した。MIAの利用は、疫学と予後で最大の影響があった。多くのMeSHとテキストワードが、1991年のMIA抄録の掲載誌と非掲載誌とで、MIA抄録の採用前後に、相当な有効性を示した。 結論 　より報知的な抄録（MIA)は全てではないがいくつかのテキストワードとMeSHの検索特性を改善した。書誌検索におけるMIA抄録の効果をより強力にするには、更なる研究が必要と思われる。

エンドユーザによるMEDLINE検索の質と影響

McKibbon KA, Walker-Dilks CJ. The quality and impact of MEDLINE searches performed by end users. Health Libr Rev 1995 Sep; 12(3): 191-200. ［抄録］(2002/10/03) 　MEDLINEが患者のケアと健康を改善するための重要な臨床ツールになっていることはエビデンスが示唆している。エンドユーザーによる検索の質と影響力を改善するための努力が必要とされ、現在進められている。エンドユーザーは、多くのMEDLINE検索を行っている。彼らは自分たちの検索技術のフィードバックに沿った訓練を評価する。しかしながら、練習は検索の質を改善するための最大の要素の一つである。エンドユーザーの検索における図書館の主要な役割には、最も効果的なMEDLINEの同時アクセス数を可能な限り最大限に提供し、フィードバックと練習を含んだトレーニングの機会を提供することなどが含まれる。構造化抄録(Structured Abstracts)や索引やシステムデザインや情報学研究や文献そのものにおけるシステム全体での進歩は、将来のより簡単でより効果的な検索を実現するだろう。検索結果の質よりも重要なことは、エンドユーザー検索が患者のケアやアウトカムに影響を与えるということである。患者のケアとアウトカムがエンドユーザー検索によって改善されることを示すエビデンスが増えている。

研究論文の検索：New England Journal of Medicineの書誌データと全文データの比較

Johnson ED, Sievert MC, McKinin EJ. Retrieving research studies: a comparison of bibliographic and full-text versions of the New England Journal of Medicine. Proc Annu Symp Comput Appl Med Care 1995;: 846-50. ［抄訳］(2002/11/29) 　医学における全文データベースの主題検索は書誌データベースでの主題検索よりも再現率が高いことは確証されている。本研究において、我々は研究デザインのような主題によらない検索についても、同じことが言えるかどうか検証しようとした。 　New England Journal of Medicine誌の書誌と全文のデータを、各々の種類の方法によって検索される項目の数を調べた。フィルターは次の５つの異なる研究タイプによって行った：ランダム化比較試験、その他の臨床試験と前向き研究、コホート研究、長期追跡調査、多施設共同研究。本研究のポイントは、書誌データベース（MEDLINE）の検索数とNEJMの全文データベースからの検索数を比較し、各々のファイルに固有のアクセス・ポイントを検証することだった。 　全ての研究タイプについて、全文ファイルはMEDLINEより多くのデータを検索し、そのほとんどはタイトルや抄録ではなく本文中のメソドロジー（研究方法）用語によって検索された。MEDLINEでは、ディスクリプタとPublication Types（２つとも索引者によって付与される項目）による検索が、タイトルや抄録だけでの検索よりも、11-89%も多くのデータを取り出した。

MEDLINEでの方法論的なMeSH用語とテキスト語の感度と特異度が失われる理由

Wilczynski NL, Walker CJ, McKibbon KA, Haynes RB. Reasons for the loss of sensitivity and specificity of methodologic MeSH terms and textwords in MEDLINE. Proc Annu Symp Comput Appl Med Care 1995;: 436-40. ［抄訳］(2002/07/03) 目的 　成人一般の医療において、病因、予後、診断、予防または疾患の治療に関する臨床試験を検索するために、MEDLINEで方法論的なMeSH用語とテキスト語の感度と特異度の低下の理由を決定すること。 研究デザイン 　一般成人医療での臨床用の基本的かつ方法論的基準を満たす研究を見つけるために選ばれる方法論的MeSH用語とテキスト語の情報検索特性に関する分析的調査。 調査方法 　診療の基本的基準を満たす研究と満たさない研究において、関連のある方法論的MeSH語とテキスト語の不使用と誤用の頻度を、1986年と1991年の内科および総合医学雑誌10誌に掲載された全論文の手作業によるレビュー（ゴールド・スタンダード）によって決定する。 結果 　基本的かつ方法論的基準を満たしている論文のうち関連のある方法論的用語の不使用による感度の低下は、1991年と1986年では治療より診断、予後、病因の領域で顕著だった。関連のある方法論的用語の語法は、予後を除いて全ての領域で1986年から1991年までに改善されていた。基本的で方法論的な基準を満たしていない論文のうちで、関連のある方法論的用語の語法による特異度の低下は、治療と疫学では最も頻繁に見られた。 結論 　一般成人医療の臨床での使用の基本的かつ方法論的基準を満たしている研究の中で、方法論的なMeSHとテキスト語の適切な使用は1986年から1991年までに改善されているけれども、診断と予後と病因の領域ではさらに多くの改良が必要である。基準を満たす方法を使った研究に関連のある方法論的索引語を割り当てる場合や著者がタイトルや抄録中に関連のある方法論的なテキスト語を使用する場合における改良が必要である。本研究が明らかに研究方法の基準を満たさない場合も、方法論的な用語の不使用におけるいくつかの改良が必要となる。 （コメント） 　医学図書館員にしてＥＢＭのメッカとも言えるマクマスター大学のMcKibbonらの調査結果である。1995年の調査結果でありデータも１０年前のものなのでその後さらに改良されていると思われるので、一度検証してみても面白いと思うが、これはこれで参考にはなる。特に最後の自分たちの研究の索引についての言及は専門家としてのプライドを感じさせる。このような調査研究を の上に、「マクマスター・フィルター」なども作られているわけで、いずれEvidence-Based MeSHでもレビューしたいと思う。（シン）

システマティック・レビューのための関連研究の検索

Dickersin K, Scherer R, Lefebvre C. Identifying relevant studies for systematic reviews. BMJ 1994 Nov 12; 309(6964): 1286-91. ［抄訳］(2002/12/09) 目的 　ランダム化比較試験のMedline検索の感度と精度を調べる。 デザイン 　1988年に発表されたことがすでにわかっている眼科領域のランダム化比較試験と他の関連分野の研究から類似で不可分の結果のシステマティック・レビュー（メタ・アナリシス）を「ゴールド・スタンダード」としてMedline検索の結果と比較する。 対象 　ゴールド・スタンダードは、Medlineに収録される雑誌に1988年に掲載されたランダム化比較試験と、Medlineに収録されない雑誌からハンド・サーチによって検索されたランダム化比較試験とで構成した。メタ・アナリシスで結合される他の研究のゴールド・スタンダードは以下のものに基づいた。Medlineへの収録に関係なくあらゆる雑誌に発行されたランダム化比較試験;Medlineに収録される雑誌に発表されたランダム化比較試験;Medlineに収録される雑誌のうち選抜群に発表されたランダム化比較試験。 主要な評価点 　各研究について感度（検索された既知のランダム化比較試験の総数の比率）と精度（Medlineで検索された文献の実際にランダム化比較試験であった比率）を計算し、加重平均を求めた。複雑な検索の後、「最高の」感度を示した検索が感度と精度評価のために用いられた。 結果 　ゴールド・スタンダードをすべての雑誌にすると1988年に発表された眼科領域ののランダム化比較試験の検索の感度は82%であり、Medlineのすべての収録誌をゴールド・スタンダードにすると87%、Medline収録誌のうち選抜群に対しては88%だった。全ての研究にわたる感度の加重平均は、それぞれ51%、77%、63%であった。精度の加重平均は、8%（中央値32.5%）であった。大部分の検索者は、自由語による主題用語やトランケーションを使わないようだった。 結論 　ランダム化比較試験のMedline検索に利用できる索引語は改善されたけれども、感度はまだ不満足なままである。既知の臨床試験を『登録』する何らかの仕組みが必要である。望ましくはMedlineデータの遡及的索引や、1966年以前発表された臨床試験やMedlineに収録されていない雑誌の臨床試験もシステムに取り入れるような。

方法論的検索語を使ったMEDLINEでのプレエクスプロージョンとサブヘディングの量的比較

Wilczynski NL, Walker CJ, McKibbon KA, Haynes RB. Quantitative comparison of pre-explosions and subheadings with methodologic search terms in MEDLINE. Proc Annu Symp Comput Appl Med Care 1994;: 905-9. ［抄訳］(2002/10/15) 目的 　一般成人医療における病因、予後、診断、予防、疾患の治療に関するいい臨床研究を検索するために、MEDLINEでサブヘディングの検索特性を方法論的なテキストワードやMeSH用語と比較する。 デザイン 　一般成人医療における直接臨床に利用するための基本的方法論的基準を満たす研究を見つけるために、方法論的なテキストワード、単独の方法論的なMeSH用語、プレ・エクスプロージョン、サブヘディングの選択の情報検索特性の分析的調査。 尺度 　検索語の感度、特異度、精度は、1986年と1991年の内科学及び総合医学分野の10誌に掲載されたすべての論文のマニュアル検索の結果（ゴールドスタンダード）とMEDLINEでの検索式による結果との比較によって決定した。 結果 　1991年の治療と診断、1986年の治療と診断と病因については、プレエクスプロージョンが15%増と最も高い感度をもたらした。 1991年の病因と予後、1986年の予後については、テキストワードやMeSH用語が最も高い感度をもたらした。 全ての事例において、感度の増加は、特異度と精度の低下と関連していた。 結論 　単一の方法論的なテキストワードと件名による検索との比較では、一般成人医療での疾患の診断と治療に関する臨床研究の検索は、プレエクスプロージョンによって常に強化されるが、特異度と精度は減少する。

精神科医療の効果に関するランダム化比較試験（RCT）のMEDLINE検索の適切性に関する調査

Adams CE, Power A, Frederick K, Lefebvre C. An investigation of the adequacy of MEDLINE searches for randomized controlled trials (RCTs) of the effects of mental health care. Psychol Med 1994 Aug; 24(3): 741-8. ［抄録］(2002/12/14) 　精神科医療の効果に関するレビューの有効性は、可能な限り全ての関連のあるランダム化比較試験（RCT）を検索することに依存する。 　精神医学のRCTに関するMEDLINE検索とハンドサーチの両方の感度と精度を調査するために、精神医学の専門誌でMEDLINEに収録されている12誌を1971年、1976年、1981年、1986、1991年について検索した。 　ハンド・サーチの感度は94%（95%信頼区間93-95%）であったが、精度は7%（95%信頼区間6-8%）に過ぎなかった。最適のMEDLINE検索では、感度は52%（95%信頼区間48-56%）だけで、精度は59%（95%信頼区間55-63%）だけだった。 ハンド・サーチによって検索されたRCTのうち、9%（95%信頼区間7-11%）は、まったくMEDLINEには含まれていなかった。ハンド・サーチでのみ検索されたRCTのうち、84%（95%信頼区間）では著者は研究方法に関して記載していた。 　MEDLINE検索だけによる精神科医療のシステマティック・レビューは、関連のあるRCTをかなりの割合で見過ごしてしまい、それ故に任意の過誤や偏向を免れない。精神科医療のRCTの登録が至急に求められる。

MeSHサブヘディング情報を探すための創造的手法

Bronson R.J. Creative ways to locate MeSH subheading information. MEDICAL REFERENCE SERVICES QUARTERLY 1994 13:1 (73-80) ［抄訳］(2002/06/22) 　MeSHのサブヘディングに関する注記を探すことは、MEDLINE検索の最も難しい側面の1つであると言える。Medical Subject Headings（MeSH）の使用は、サブヘディングは見出語の論点について制限するか定義するのに役立つ。米国国立医学図書館（NLM）の索引作成者（MEDLINEにMeSHによる索引付けをするスタッフ・メンバー）は、自由にサブヘディングを使用している。彼らは索引規則に則って索引付けを行い、ベテランの検索者であれば検索手順を助けるために基本的なサブヘディングの情報を得る方法を知っている必要がある。サブヘディングの使用のための注記を見るには、多くの方法がある。この論文では、そのような情報を探すためのいくつかの方法について概要を述べている。

MEDLINEの方法論的な検索フィルターの評価

Wilczynski NL, Walker CJ, McKibbon KA, Haynes RB. Assessment of methodologic search filters in MEDLINE. Proc Annu Symp Comput Appl Med Care. 1993;: 601-5. ［抄訳］(2004/02/05) 目的 　一般的成人医療での疾患の病因、予後、診断、予防、治療の方法論的な研究を検索するために、MEDLINEでの方法論的な自由語とMeSH用語の検索の特徴を調べる。 デザイン 　内科・一般の医学雑誌１０誌の1986年と1991年について、文献（ゴールド・スタンダード）のハンド・サーチとMEDLINEでの検索の方法論的な検索用語と表現の比較。 尺度 　検索戦略の感度（検索される方法論的で内容的にも適当な研究の比率）と特異度（検索されない適当でないか違う主題の文献の比率）。 結果 　目的カテゴリーによって1991年の最も高い感度を示した個々の検索語は、以下の通りであった。 　　病因　risk (tw) 　　予後　exp cohort studies 　　診断　sensitivity (tw) 　　治療　clinical trial (pt) 　1986年の対応する用語は、以下の通りであった。 　　病因　risk (tw) 　　予後　prognosis: (tw) 　　診断　sensitivity (tw) 　　治療　random: (tw) 結論 　MEDLINEの方法論的なMeSH用語と自由語の検索性は、1986年から1991年までの間に大きく変わった。より複雑な検索戦略には、検索の最適化が求められる。

アジア系アメリカ人種／太平洋諸島人種に関する文献のMEDLINE検索戦略

Kroll SM, Brandigan PS. MEDLINE Search Strategies for Literature on Asian Americans/Pacific Islanders. Asian Am Pac Isl J Health. 1993 Summer; 1(1): 56-62. ［抄訳］(2004/02/18) 目的 　本研究の目的は、MEDLINEに収録されるアジア系アメリカ人種／太平洋諸島人種に関する専門的医学文献を調べ、MEDLINEで使用されている索引方針をレビューし、MEDLINEの最も効果的な検索方法を示すことにある。 方法 　著者は、データベース検索戦略をたてるために、MEDLINEの検索を行い、アジア系アメリカ人種／太平洋諸島人種に関係のある米国国立医学図書館(NLM)の索引方針について調べた。 結果 　アジア系アメリカ人種／太平洋諸島人種に関する医学文献の検索の困難性関連する2つの要因が見られた。それは他の人種に比べ出版される総量の少なさと、経験の少ないデータベース検索者にとって問題となるようなMEDLINEの索引の複雑な性質である。 結論 　アジア系アメリカ人種／太平洋諸島人種に関する雑誌の増加、それらに関する文献を最もよくMEDLINEから検索する方法のより完全な理解、NLMデータベースへのより親しみやすく緻密なアプローチの開発などが、アジア系アメリカ人種／太平洋諸島人種に関心を持つ研究者を助けるだろう。

ICD９-CMからUMLSを使ったMeSHへの変換

Cimino JJ, Johnson SB, Peng P, Aguirre A. From ICD9-CM to MeSH using the UMLS: a how-to guide. Proc Annu Symp Comput Appl Med Care 1993;:730-4. ［抄録］(2002/06/26) 　Unified Medical Language System（UMLS）の1つの目的は、ある１つの医学の統制語彙から他の１つへの用語の変換を容易にすることである。我々は、UMLSを使って、International Classification of Diseases, 9th Edition, Clinical Modifications (ICD9-CM) をMedical Subject Headings（MeSH）に変換する能力について調査した。本稿では、ICD9-CMの30.4%をUMLSにマップした方法について述べる。これらのうち、95.0%はMeSHにリンクし、90.4%が直訳だった。 我々は、MedlineのようなMeSHで索引されたデータベースの検索のための、これらの変換の利用について述べる。

システマティック・レビューのためのランダム化比較試験の網羅的検索

Jadad AR, McQuay HJ. A high-yield strategy to identify randomized controlled trials for systematic reviews. Online J Curr Clin Trials 1993 Feb 27; Doc No 33. ［抄訳］(2002/12/19) 目的 　システマティック・レビューのためにランダム化比較試験（RCTs）を検索する時に、MEDLINE検索とハンド・サーチの感度、精度、コストを比較する。 デザイン 　麻酔と疼痛関係の9つの雑誌を1970年、1980年、1990年についてMEDLINEと手作業の両方で検索し、刊行の数と疼痛関係のランダム化二重盲検比較試験の検索に要する時間と文献数を記録する。 結果 　5583件の文献（24,417ページ）と2889件の抄録とレター（1755ページ）を含む34巻をハンド・サーチし、フルペーパー142件と抄録・レター171件が適合する（確かにRCTs）と判断された。MEDLINE検索では274件の報告が検索され、そのうちの138件が適合し、125件はフルペーパー、1件はレター、12件は抄録であった。MEDLINEによって検索された2つのフルペーパーは、ハンド・サーチでは見過ごされた。フルペーパーのMEDLINE検索全体の精度は52%（[ 125/242 ] x 100）、感度は87%（[ 125/144 ] x 100）であった。これは現在までに報告された感度と精度の最高の組み合わせであった。抄録はMEDLINEに収録されなかったSupplementのものが大部分であった。抄録やレターのハンド・サーチとMEDLINEの併用では、94%の感度が得られた。 結論 　全ての雑誌のハンド・サーチが適格な報告の検索のための最も正確な方法であることに変わりはないが、それは最も時間のかかる方法である。MEDLINE検索はより迅速だが、収録される適格な報告の少なくとも13%を検索できなかった。理想的には、ハンド・サーチとMEDLINE検索の両方が用いられるべきである。レターと抄録を判別するハンド・サーチとMEDLINE検索の組み合わせは、完全なハンド・サーチのプロセスを踏むことのできないレビューアーにとって、受け入れ可能な代替策であると思われる。

MedlineとEmbaseによるコンピュータ検索の包括的性。ホメオパシーと風邪のためのアスコルビン酸と脳機能不全及び間欠性跛行のためのイチョウの比較試験の検索

Kleijnen J, Knipschild P. The comprehensiveness of Medline and Embase computer searches. Searches for controlled trials of homoeopathy, ascorbic acid for common cold and ginkgo biloba for cerebral insufficiency and intermittent claudication. Pharm Weekbl Sci. 1992 Oct 16; 14(5): 316-20. ［抄訳］(2004/01/27) 目的 　比較試験の検索におけるMedlineとEmbaseのコンピュータ検索の包括性を評価する。 デザイン 　MedlineやEmbaseにより網羅的に検索された文献の比較。これは、以下の3つの介入の有効性に関する比較対照試験の検索について実行された：ホメオパシー、かぜ症候群のためのアスコルビン酸、間欠性跛行及び脳機能不全のためのイチョウ。文献の網羅的な検索によって見つかった比較試験の数は、107件、61件、45件であった。 結果 　ホメオパシーとアスコルビン酸とイチョウに関するすべての臨床試験のうち、Medlineによって検索されたのはそれぞれ17%、36%、31%で、Embaseではそれぞれ13%、25%、58%であった。Medlineに収録される文献に限って見てみると、全臨床試験のうちの44%と79%と76%が検索された。Embaseに収録される文献に限って見てみると、全臨床試験のうちの42%と72%と93%が検索された。約20%の文献には、正しく索引語が付けられていなかった。最高の臨床試験は、Medlineではそれぞれ68%、91%、83%が検索され、Embaseではそれぞれ55%、82%、92%が検索された。 結論 　以上のように、、MedlineとEmbaseによる検索は比較試験のエビデンスを得るためには、さらにその引用文献を参照する以外には十分である。もちろん、より完全なものを得たいなら、追加の検索を行うことには意味があるが、それはまた別の話である。

オンラインMEDLINEアクセス・ルートの性能評価

Walker CJ, McKibbon KA, Haynes RB, Johnston ME. Performance appraisal of online MEDLINE access routes. Proc Annu Symp Comput Appl Med Care. 1992;: 483-7. ［抄録］(2004/01/11) 目的 　ElhillシステムのMEDLINEと11種類のMEDLINEオンライン・データベースの性能とコストを比較する デザイン 　比較研究。 システム 　MEDLINEデータベースを提供している北米で市販されている11種類のオンライン・システム。 基準 　関連文献数、非関連文献数、関連文献を検索しない検索の比率、関連文献ごとのコストについて、各システムで分析した。18の臨床的質問について図書館員と臨床医の検索方法を、各システムの妥当性とコストを、NLM MEDLINEの直接検索と比較した。両方の方法によって検索された文献をプールし、７ポイント・スケールで関連性を評価した。 結果 　関連文献数と関連文献毎の平均コストおよび非関連文献は、図書館員が検索するより臨床医の検索の方が高く、臨床医のアプローチによって検索される文献の総数も多かった。臨床医の検索では関連性のない文献の比率は、図書館員の検索より低かった。 結論 　11種類のMEDLINEシステムは、同様の検索群の範囲内では検索語とコストに関して同様の結果を示した。しかし、臨床医は図書館員よりも、多くの関連文献と非関連文献を含む大量の検索結果を得る傾向が見られた。

MEDLINEから二重盲検の文献を再現するための検索戦略の比較

Gotzsche PC, Lange B. Comparison of search strategies for recalling double-blind trials from MEDLINE. Dan Med Bull. 1991 Dec; 38(6): 476-8.. ［抄訳］(2004/01/05) 　文献検索でバイアスの影響を最小にするために、多くの関連文献を再現するコンピュータ化された検索式を使用することは重要である。 　Medical Subject Heading（MeSH）の「Comparative study（比較研究）」を含んだMEDLINE検索において、慢性関節リウマチでのNSAIDの二重盲検の再現率は93.1%（122/131）、精度は19.0%（122/641）であった。 　「Double-blind method（二重盲検法）」を使うと、MeSHまたは自由語のどちらでも、再現率は72.5%（95/131）だけ、精度は22.7%（95/419）であった。組み合わされた検索式では、精度は17.3%（128/738）だが、再現率は97.7%（128/131）に増えた。MeSH用語「Random allocation（ランダム割付け）」では、8件の関連文献告だけが検索され、いずれも新しくなかった。「Clinical trials（臨床試験）」を単独で用いると、11件の報告が検索結果から漏れた。 　MEDLINEで二重盲検を捜すとき、「Comparative study（比較研究）」が「Double-blind method（二重盲検法）」より適当であると結論された。

臨床でのMEDLINEへのオンライン・アクセス：利用料金の影響

Haynes RB, Ramsden MF, McKibbon KA, Walker CJ. Online access to MEDLINE in clinical settings: impact of user fees. Bull Med Libr Assoc. 1991 Oct; 79(4): 377-81. ［抄録］(2003/12/30) 　臨床医によるGRATEFUL MEDを使ったMEDLINE検索の頻度と質について、利用料金を導入する効果を調査した。 　調査に先立つトレーニングと無料での利用の後、同意を得た被調査者は、検索料金を払うグループ（支払いグループ）と支払わないグループ（未払いグループ）とにランダムに割り当てられた。 　59人の内科医の協力を得た。事前の調査で頻繁に検索していた人の中で、支払いグループは、未払いグループの3分の1未満が検索した。 　事前の調査であまり頻繁に検索しなかった人では、未払いグループの85％に対し、支払いグループの48％だけが検索を行い（Ｐ値 = 0.006）、検索者のうちでもその頻度はほとんど半分であった。しかし、検索の質については有意差はなかった;両方のグループは同様の再現率（Ｐ値= 0.77）を示したが、図書館員独自の検索よりはかなり低い精度（Ｐ値= 0.03）を示した。 　同様に、2つのグループの臨床決定に影響を及ぼすような検索の比率には違いがなかった。このように、一定期間の無料利用の後に臨床におけるオンライン検索に利用料金を課すことは、検索の質の面でなく量の面でマイナスの影響を及ぼす。 　MEDLINE提供者は、利用料金がその利点を徐々に妨げるかどうかを考慮しなければならない。

臨床におけるエンドユーザのMEDLINE検索技術の強化のための研究：研究デザインと基準の検索

McKibbon KA, Haynes RB, Johnston ME, Walker CJ. A study to enhance clinical end-user MEDLINE search skills: design and baseline findings. Proc Annu Symp Comput Appl Med Care 1991;: 73-7. ［抄訳］(2002/09/27) 目的 　臨床におけるGRATEFUL MEDを使ったMEDLINE検索で、医師の検索を改善するものは、検索コーチと適時性かどうかを検証する。 研究デザイン 　無作為化比較試験。 対象 　300床のプライマリケアからターシャリーケアを行う教育病院。6つの主要な臨床サービスの病室と診療室、救急室、ICU（集中治療室）、NICU（新生児集中治療室）にコンピュータを設置した。 調査対象分野 　対象となった医師及び研修医は、一般医学や家庭医学、外科学、精神医学、小児科学、産婦人科学が専門で、全員がこの調査の間に少なくとも8週間患者の診断を行っている。 介入 　全ての調査対象者は、2人の研究図書館員のうちの1人から、1時間の検索トレーニングと個別の1時間の検索時間を与えられる。トレーニングの後、調査対象者は、MEDLINE検索の経験のある臨床の教師を選び、最初の10検索については研究図書館員が検索の質を評し、その改善に関する示唆を与えた個別のフィードバックを受ける介入群と、追加の介入を受けない対照群とにランダムに振り分けらされた。フィードバックは、各検索の後、最初のウィークデイに通知された。 主要指標 　調査対象グループ（専門分野、練度、参加比、検索比）による基準性質。 主要結果 　392人の適格な医師のうち308人が本研究の対象となった。調査対象者は約80%で、練度や専門分野による若干の多様性があった。基準性質の優秀なバランスは、最初の検索をした数と同様に、2つのグループで達成された。介入群の対象者は、対照群（対照群の月2.5回に対し月3.5回、Ｐ値=0.046）よりもしばしばMEDLINEを検索した。両方の群の最初の検索の再現率と精度は、図書館員のそれよりもかなり低かった。調査データの分析は、1991年9月までに完了した。 結論 　臨床医は、本来は臨床においてMEDLINEのセルフサービス検索をしたいのだが、それらの精度と再現率は訓練された図書館員より基準線においても低い。そのため、検索技術の強化が必要であり、フィードバックと教師の効果について本研究では検証した。 （コメント） 　これもマクマスター大学のMcKibbonらの研究。１０年以上前のものだが、このような研究結果が今のPubMedに活かされているということであり、調査結果は興味深い。臨床医が検索にかけられる時間の少なさを考えれば、臨床現場において自分でやってしまいたいというのは今も変わらないニーズであろうし、PubMedが利用可能な現在、個々の病院におけるセルフサービスと図書館員によるサポートについて、臨床医のニーズを調査し、サービスとして提供することは必要なことだと思われる。

臨床でのMEDLINE検索はどのくらいよいのか？　臨床のエンドユーザーと図書館員の比較研究

McKibbon KA, Haynes RB, Dilks CJ, Ramsden MF, Ryan NC, Baker L, Flemming T, Fitzgerald D. How good are clinical MEDLINE searches? A comparative study of clinical end-user and librarian searches. Comput Biomed Res 1990 Dec; 23(6): 583-93 ［抄訳］(2002/10/02) 　本研究の目的は、内科医、研修医、熟練検索者（臨床医と図書館員）によるMEDLINE検索の質を評価することである。その研究デザインは、300床の教育病院の内科病棟、ＩＣＵ、ＣＣＵ、救急室、外来診療所でのセルフサービスによるオンライン検索において、個別回答による分析調査である。被験者はすべて、上記の部署において患者に責任を有するM.D.を持った勤務医であった。被験者への介入は、MEDLINEの自由な利用の前の、２時間の小単位での解説と１時間のMEDLINE検索実習（GRATEFUL MED）から成る。104のランダムに選択された初心者検索からの検索質問が、検索経験のある13人の臨床医のうちの1人に与えられ、3人の図書館員のうちの1人に個別の検索を実行させた（3回の検索）。3回の検索による各文献の測定と主な結果は、関連性（７ポイント・スケール）の度合いに応じて熟練の臨床医に送られた。再現率（個々の検索式で検索された文献数を同じ主題に関する全ての検索による関連文献の総数によって割った数値）と精度（各々の検索における関連文献の比率）を計算した。 　図書館員は、いずれの初心者よりかなり優れていた。図書館員は、経験豊かなエンドユーザーと同等の再現率と、それ以上の精度を示した。予想外に、3セットのうちの1回以上で検索されたのは関連文献の20％だけであり、短時間のトレーニングの後のGRATEFUL MEDによるMEDLINEの初心者検索では再現率と精度は比較的低くなると結論された。 　再現率は経験によって改善されるが、精度は最適状態に及ばないままである。「学習曲線」の評価や、トレーニングの介入の評価、異なる捜索者による関連文献の非重複検索の調査のために、さらに研究が必要である。

新生児ケアに関するランダム化臨床試験のMEDLINE検索

Kirpalani H, Schmidt B, McKibbon KA, Haynes RB, Sinclair JC.Searching MEDLINE for randomized clinical trials involving care of the newborn. Pediatrics 1989 Apr; 83(4): 543-6. ［抄録］(2002/10/20) 　ランダム化臨床試験は、新生児管理に関する論文の小さな部分と、全ての人を対象とする論文のより小さな部分しか占めていない。忙しくい中でも医学文献を常にチェックしていきたい小児科医は、迅速かつ確実にそのような関連研究を見つけるための戦略を求めている。 　MEDLINEのコンピュータ検索は魅力的で潜在的に強力な手段だが、このような目的のための方法としては十分確認されていない。そこで、MEDLINEの感度と特異度と精度を検証するため、新生児疾患の予防と治療に関するランダム化臨床試験を検索するようにデザインした２種類の検索式を用いて、1985年に小児及び総合医学雑誌10誌に掲載された人を対象にしたすべての原著論文を調べた。 　両方のMEDLINEの検索結果を、手作業による検索（ハンドサーチ）の結果と比較した。調査した10誌に掲載された人を対象にした原著論文2,988件と新生児ケアに関する論文233件について、手作業で調査したところ、新生児ケアに関する53件のランダム化臨床試験が検索された。 　MEDLINE検索の感度はそれぞれ53%と34%、精度は82%と69%であった。両方のコンピュータ検索の特異度はほぼ100%であった。21件のランダム化臨床試験はどちらの検索式でも検索されず、そのうちの17件は索引者による方法論的用語のまったくの索引漏れか不十分な索引が原因だった。そのため、方法論的用語を用いなければ、感度はそれぞれ77%と68%と高い数値を示した。しかし、それと付随して精度は20%以下に減少した。 （コメント） 　マクマスター大学のMcKibbonたちの調査結果である。Gold Standardの53件中21件が漏れてしまうのは驚くべき結果だが、この調査も1991年のPublication Type新設前のものであり、現在では違った数値が出るものと思われる。

医薬品情報薬剤師と医学図書館員によるMEDLINE検索の有用性の比較

Wanke LA, Hewison NS. Comparative usefulness of MEDLINE searches performed by a drug information pharmacist and by medical librarians. Am J Hosp Pharm. 1988 Dec; 45(12): 2507-10. ［抄訳］(2003/12/26) 　オンライン・トレーニングを受けた医薬品情報薬剤師によるMEDLINE検索の効用について、医学図書館員による検索のそれと比較した。 　大学の医薬相談サービスで3ヵ月間に受けた医薬品情報のリクエストに関連のある文献の検索を、３人のレファレンス担当図書館員のうちの１人と薬剤師によって別々に実行した。3人の図書館員は、大規模なオンライン検索のトレーニングを受け、MEDLINE検索の経験があり、薬剤師は、米国国立医学図書館（NLM）の研修教材を使って、４番目に経験の豊かな図書館員かつ検索者によってトレーニングを受けた。 　各々の医薬品情報要請のために、薬剤師と図書館員は、NLMサービスの2つのMEDLINEファイルを捜した。2人の検索者による検索結果のプリントアウトは、医薬品情報薬剤師が関連問題に答える際に各文献リストがどれくらい役立つかについて、2人の医薬品情報薬剤師によって評価された。 　検索結果48セットの大多数は有益であると判断された。96の検索結果からの「ベスト検索」の投票（検索結果各48セットに２つの投票）で、薬剤師の検索には34票、図書館員の検索には28票、34票がタイであった。 　有益な最良かそれに代わる文献の数が、検索結果が「ベスト検索」の評価を受けるかどうかの最良の指標であることがわかった。 　医薬品情報のリクエストに対して、オンライン・トレーニングを受けた医薬品情報薬剤師によるMEDLINE検索は、図書館員によって検索されたのと同程度に有益であると医薬品情報薬剤師に判断された。

MeSH用語パターン検索

Backus J.E., Davidson S., Rada R. Searching for patterns in the MeSH vocabulary. BULLETIN OF THE MEDICAL LIBRARY ASSOCIATION 1987 75:3 (221-227) ［抄訳］(2002/06/21) 　米国国立医学図書館(NLM)は、生医学的文献と医学のコミュニティの変化を毎年反映するためにそのMeSH用語集を修正している。本研究は、NLMのMeSHに関する2つの仮説を検証した。 　第一の仮説は、「新しい用語がMeSHに加えられるのは、その用語の上位語（より広い用語）の索引数が増加したときである」ということである。 　ある検査では、最新のMEDLINEファイルにおいて、新しい用語と既存の用語の上位語の数を比較した他、いくつかの比較を行った。どの比較でも、有意な統計的差異は見られなかった。 　第二の仮説は、MEDLINEの索引・検索とMeSHの階層構造の間に関係性があるということであり、全ての用語の分布とMeSHの検索語の分布を比較することにより調査した。その結果、一般には期待したよりも少ない数しか検索されないのに対し、正確な階層構造の方が、全ての用語の分布による予測より、しばしば多くの文献が検索されることがわかった。 　まとめ：(1)新しい用語は既存の用語の索引数の増加によって予測することができない、(2)検索者と索引者によるMeSH用語の階層構造の利用は、MeSHの階層構造における用語の分布とは相関しない。

MeSHと医学用語：カルテ用語の分析

Masarie FE Jr, Miller RA. Medical Subject Headings and medical terminology : an analysis of terminology used in hospital charts. Bull Med Libr Assoc 1987 Apr; 75(2): 89-94. ［抄録］(2002/07/10) 　日常の論文において医療専門家が使う用語を、Medical Subject Headings（MeSH）のような標準化された医学語彙集の用語と比較した。５０の病院カルテを無作為に選択し、それらのカルテからMeSH用語を識別するコンピュータプログラムを使って分析した。カルテは、一つはMeSH用語を含み、もう一つはMeSH用語と参照語の両方を含む、２つの関連したMeSH語彙について分析した。冠詞と前置詞のような短い語を無視すると、カルテ中の語のほぼ５０%がMeSHに関連した用語であることがわかった。さらに、カルテ中のMeSH関連語の約４０％は、いずれのMeSH用語でも、参照語でもなかった。

文献を読む：周産期の臨床試験データベースとMEDLINEの検索の比較

Dickersin K, Hewitt P, Mutch L, Chalmers I, Chalmers TC. Perusing the literature: comparison of MEDLINE searching with a perinatal trials database. Control Clin Trials. 1985 Dec; 6(4): 306-17. ［抄訳］(2003/12/20) 　英国オックスフォードのNational Perinatal Epidemiology Unitの周産期医学の臨床試験登録制度（レジスタ）は、MEDLINEのオンライン検索の有効性を評価するのにいい材料である。 対象分野の関連するすべてのランダム化比較試験（RCTs）を検索することは、メタ・アナリシスにおいて重要である。 1966年から1983年の間の新生児高ビリルビン血症の予防と治療、脳内出血（IVH）の予防に関するRCTsの報告を、レジスタとMEDLINEデータベースで検索した。 主題検索の比較によって、その後著者検索によって確認された各ファイルのリストにない多くの文献が明らかになった。 MEDLINE検索ではアマチュアはエキスパートより明らかに非効率的だったが、エキスパートはMEDLINEに収録される高ビリルビン血症に関連する文献の29%だけとIVHのRCTsの56%だけを検索した。 検索漏れの一部は、抄録中の自由語を検索する能力や新しいMeSH用語（例えばRANDOM ALLOCATION）の追加のような索引の改善によって修正された。 タイトルと抄録を作成するときに、MEDLINEの索引作成者によって使用されるMeSH用語に注意を払う著者と編集者が最も効率性を促進できるだろう。

医学文献の機械検索. MEDLINE検索システムの評価.

Haynes RB, McKibbon KA, Walker CJ, Mousseau J, Baker LM, Fitzgerald D, Guyatt G, Norman GR. Computer searching of the medical literature. An evaluation of MEDLINE searching systems. Ann Intern Med 1985 Nov; 103(5): 812-6. ［抄訳］(2002/10/16) 　臨床医は現在では診療室やベッドサイド、手術室から電子的に医学文献を探すことができるけれども、オンライン情報サービスの特性については少しも知らない。 　雑誌文献のデータベースであるMEDLINEへの１４種類のアクセス方法について、一般的臨床の問題に関する標準的な検索とランダムな検索のユーザや時間、コスト、検索の量と質について比較した。 　我々が臨床問題に関して最も決定的なものであると判断した論文は、全てのアクセス方法で検索された。しかし、同様の検索について各アクセス方法は（Ｐ値0.01以下で）以下の有意差を認めた。オンライン接続時間は平均5.15〜18.72分、全検索時間は8.37〜20.55分、コストは3.38〜11.62ＵＳドル、主題と関連のある文献の比率は98％〜75％。一方、「ユーザ・フレンドリー性」は、我々の結果では、高コストに比べて検索結果の悪さを示した。 　臨床医はどの検索システムを使うかを決めるとき、これらの主要な較差を考慮するべきである。 （コメント） 　１７年前の調査結果であることを考慮する必要がああるが、ユーザ・フレンドリー性が効率性や精度と反比例するのは現在であってもやむを得ないところだろう。

MeSHの用語特異性とMEDLINEの付与の関係

Weinberg BH, Cunningham JA. The relationship between term specificity in MeSH and online postings in MEDLINE.. Bull Med Libr Assoc 1985 Oct; 73(4): 365-72 ［抄訳］(2002/07/04) 　MeSHを含め階層構造を持ったシソーラスは、オンライン・データベースにおいて用語の特異性とその付与数は反比例の関係にあるとの仮定を検証した。この仮定は、末梢の用語だけにあてはまり、分野の中心の用語にはその逆のことがあてはまることが示唆された。MeSHの「Environment」の階層構造を使って「末梢」の用語に関する仮説したが（有意水準.05で）、「中心」の用語の仮説の検証に用いた「Endocrine Diseases」の階層の分散ダイヤグラムは0.02より高い水準だった。より広い意味の用語が数多く付与されるとき、特定の用語がシソーラスに加えられるという一般に思われている考えについても、調査した。特異性と作成日の関係は、MeSH（.015）で裏付けられた。「最近できた用語は、より少い文献に付与される」という推論は、有意水準.001で裏付けられた。MeSHでの結果は他の階層構造を持ったシソーラスでの結果よりも非常に有意であり、それは米国国立医学図書館(NLM)のシソーラスの開発が、1つの用語に対する付与数の超過を避けるためのMEDLINEとの相互作用を含むことを示している。